WANDS、『スラムダンク』ED曲「世界が終るまでは…」世代超えて愛される理由 第5期セルフカバーに寄せられた歓喜の声

第5期WANDSから感じる、原曲へのリスペクト

 デビューから上杉脱退までが第1期、第2期と位置づけられ、以降、メンバーチェンジをはさみながら、現在は第5期としてWANDSは活動している。そんな第5期のWANDSが「世界が終るまでは…」をセルフカバーし、8月28日に配信リリースした。

 編曲はWANDSのギタリスト、柴崎浩がつとめた。音の面はさらに厚みが増しており、聴き比べると細かいアレンジが施されていることもよく分かる。ただ総じて感じるのは、原曲の良さをフルに生かそうという“想い”である。上原大史のボーカルからも、上杉へのリスペクトが多大に伝わってくる。もっとも印象的といえるサビのコーラスの重ね方からも、それがうかがえる。そしてなにより、原曲が持っていた“錆つき”みたいなものが再現されているところがすばらしい。すべてにおいて“名曲を歌い継ぐ”という意思がみなぎっているのだ。

 それぞれの時代には、それぞれの社会的な問題や課題がある。今回のセルフカバーを聴いて、あらためてこの曲は、どの時代にもフィットできる普遍性があることを再認識した。その点で「世界が終るまでは…」は、やはり“名曲”と言えるだろう。

曲の展開がバラエティに富んでいる「愛を叫びたい」

 8月23日には、第5期のWANDSの書き下ろし曲「愛を叫びたい」も配信リリースされた。現在のWANDSの表現が確認できる内容となっており、特に曲の展開がバラエティに富んでいるところが特徴的。オープニングのメロディはその後の展開がまったく読めないところがおもしろく、中盤も音の抜き差しを頻繁におこなうことでリスナーを聴き入らせていく。

 上原が書いた歌詞は“自分と君”というきわめてパーソナルな世界を描いており、誰にとっても身近に感じる内容となっている。なかでも〈割と前から 咲いてたんだろう ずっと綺麗な姿で 気付けなかった 見えるのに 見えなかった〉という歌詞はグッとくるものがある。大事な人やものほど、失ってからその大切さに気づかされるもの。多くの人が経験したことがあるような感情をストレートに綴っている。そして曲の後半に進むにつれて、その感情がどんどん高ぶっていく。

 現在のWANDSは、過去と現在をシンクロさせながら、自分たちらしい表現を模索しているように感じる。そもそも、ひとつのバンドがメンバーをチェンジさせながら約30年も続いていること自体、日本の音楽シーンでは異例なことである。そういった特殊な形態でしかできないことが、きっとあるはず。今年12月には原作者である井上雄彦監督・脚本のもと制作された『スラムダンク』の新作映画が、それこそ時を超えて公開を控えている。今回のセルフカバー配信に対する反響も大きかったが、映画への注目とともに「世界が終るまでは…」はより知られる存在となるだろう。その点においても、これからのWANDSがどのように活動していくのか、とても楽しみである。

■リリース情報
WANDS
「愛を叫びたい」
2022年8月23日(火)配信開始
作詞:上原大史 作曲・編曲:柴崎浩

「世界が終るまでは… [WANDS第5期ver.]」 2022年8月28日(日)配信開始
作詞:上杉昇 作曲:織田哲郎 編曲:柴崎浩

■WANDS Official Website
https://wands-official.jp/

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