連載「lit!」第13回:VIVIZ、ヒョリン、NewJeans……日常生活の中にも溶け込むK-POP夏のダンスナンバー
PURPLE KISS「Nerdy」
昨年デビューした7人組グループ PURPLE KISS。その卓越したパフォーマンス力、そしてデビュー曲「Ponzona」から、2ndミニアルバムタイトル曲「Zombie」、前ミニアルバムに収録の「Pretty Psycho」など、ダークなサウンドと世界観で注目を集めている彼女たちだが、最新曲である「Nerdy」はそんなPURPLE KISSならではのアイデンティティが一聴して伝わるスプーキーでアップテンポなダンスナンバーに仕上がっている。散歩がてらスーパーで夕飯の買い物をするとき、帰宅して米を研ぐときなどにこの曲を聴いて踊りながらやると捗るような曲。
NewJeans「Attention」
7月22日に突如同曲のMVをドロップしてデビューを宣言、世間に衝撃を与えた新グループ NewJeans。お披露目早々に専用コミュニケーションアプリ「Phoning」をローンチしたり、デビューアルバム収録曲「Hype Boy」MV内でメンバー5人の名前を初公開したりなど斬新な取り組みのほか、コンセプトフォトやMVの世界観からもフレッシュでかっこいい魅力が伝わってきつつ、どこかノスタルジックな雰囲気をまとっているのも気になるところ。
今年、『コーチェラ・フェスティバル』のメインステージで「Let’s go back to the '98!」の掛け声とともに「Automatic」を歌った宇多田ヒカルが、舞台上の階段にダンサーたちと肩を並べ体を揺らすパフォーマンスを披露して私たちの胸をアツくさせたが、この「Attention」も聴きながら歩いていると近くの段差に座って「A-T-T-E-N-T-I-ON!」とノリたくなってしまう。
TWICE「MOONLIGHT」
最後は新作ではないものの、“夏のダンスナンバー”のテーマでどうしても紹介したいこちらの曲。
明快な16ビートで突き進み、終始ハネ続けているようなニュアンスのディスコビート、うねるベース音。70年代R&Bマナーに則ったオーセンティックでグルーヴィなサウンドに載せ、TWICEの9人が各自の個性が表れるボーカルでパートを歌い繋いでいく。
ミナからジヒョ、ジヒョからナヨンへ引き継がれるCメロのパート進行によって生まれるカタルシス、そこからラストのサビへなだれ込んでいく展開も最高で、これを聴くと勝手に体が動き出し、散歩中でも踊らざるを得なくなってしまう。すれ違う人に怪しまれても仕方ない。だって私はいまTWICEの「MOONLIGHT」を聴いているのだから。
ちなみにLAの野外スタジアム(バンク・オブ・カリフォルニア・スタジアム)で行われた公演では、この曲のパフォーマンス中メンバーと観客の頭上に見事な月が浮かんでいたのだそう。それはそれは美しい音楽体験だっただろう。(※2)
さて本稿を書いているのは8月頭なのだが、この後にも注目作のリリースが目白押しとなっている今夏のK-POPシーン。暑さでバテバテな私たちの体を有無を言わさず踊らせてくれるようなキラーチューンの出現に期待したい。
※1 https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2197429
※2 https://twitter.com/JYPETWICE/status/1525695170192105472?t=JeK3jIclHcBHTod8909u0g&s=19