ポルノグラフィティ、5年ぶりアルバムがチャート好調 ソロ活動の先に広がった歌のエネルギーと生身のメッセージ

 発売中の音楽雑誌『音楽と人』2022年9月号に興味深いインタビュー記事がありました。岡野はもともと自分の歌への評価に対してかなり無自覚だったようで、YouTube配信とその反響を経て「やっぱり歌は僕の強みなんだ、っていうのを自覚した」のだとか。20年以上第一線を走ってきたシンガーが、こんなきっかけで自信を得ることがあるのですね。マスを狙ったヒット曲を作り続けることは、時に苦しさや不安がつきまとう作業。しかし今の彼が放っている空気は、明らかに喜びに満ちたものに感じられます。

 まず岡野の覚醒があり、そこに触発されるように新藤も殻を破っていく。それが昨年発表されたシングル曲「テーマソング」です。暑苦しいほどのメッセージ、彼らの曲にはあまりなかった印象ですが、ここで新藤は〈フレーフレー この私よ そしてフレー 私みたいな人〉〈嘘でもいい I can do it I can do it 言い切ってしまおう〉などと直球の言葉を綴ります。もちろんコロナ禍があってのことでしょうが、こういう段階を経て、ニューアルバムにはかつてない生身のエネルギーが注入されていったように思います。

ポルノグラフィティ『テーマソング』/ PORNOGRAFFITTI『Theme Song』

 長らくヒットソングのイメージが先行していたポルノグラフィティに、今回、くっきりとした人間味やメッセージが加わりました。ドラマティックに盛り上がる後半のミドルテンポ「証言」など、かなり感動的。一語一句が深く突き刺さります。私に限らず、イメージが大きく変わる人も多いのではないでしょうか。

ポルノグラフィティ『証言』MUSIC VIDEO

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