岡田奈々はAKB48グループに欠かせない存在に 加入から10年、そのアイドルキャリアを辿る

 AKB48の数ある関連書籍のなかでも、グループ結成からの10年間をまとめた重要な一冊と言えば、2016年3月発売『涙は句読点〜普通の女の子たちが国民的アイドルになるまで〜AKB48公式10年史』(日刊スポーツ新聞社)である。

 この書籍の終盤、有識者9名による「2020年の神セブン予想」という企画がある。タイトル通り、2020年のAKB48の主力となる7人を、それぞれがピックアップしたものだ。そこには各48グループの有望株が名前を連ねており、HKT48に在籍していた宮脇咲良や同グループの現中心メンバーである田中美久、矢吹奈子が人気を集めたほか、AKB48からも向井地美音、小栗有以、小嶋真子、倉野尾成美らの名前が複数名から挙げられていた。

 しかし“彼女”の名前を挙げたのは、9名中たったひとりだった。“彼女”を2020年の神セブンに予想したフリーライターの関根弘康氏は「何に対しても全力で真面目に取り組む姿を、周りはちゃんと見ている。『努力は必ず報われる』」と短評で記していた。

 ファンの意見は間違いなく異なっていただろう。しかしメディア関係者のなかでは当時の段階ではまだまだノーマークに近かったと言える。そんな存在が、今ではすっかりAKB48の看板メンバーとなった。もし“令和の神セブン”を決めるなら、必ずそこにリストアップされるはず。そんな“彼女”の名前は、岡田奈々。

「根も葉もRumor」のMVでこぼした言葉「ダンスは苦手」

 岡田は2022年7月14日、AKB48加入から10周年を迎えた。2012年に14期生としてお披露目され、翌年8月に研究生からチーム4の一員に昇格。2014年には36thシングル『ラブラドール・レトリバー』にて表題曲の選抜に初めて入った。2015年はチーム4の副キャプテンに就任。2016年の『選抜総選挙』では14位、2017年は9位、そして2018年は5位にまで順位を押し上げた。「2020年の神セブン予想」で名前が多く挙がらなかったことが意外なほどの実績の持ち主なのだ。

 歌唱力、ダンススキルはグループのなかでも屈指。AKB48は今、本格的なダンス&ボーカルグループ路線に向かいつつあるが、その起点となった楽曲「根も葉もRumor」(2021年)でも堂々のセンターをつとめあげた。ただ、同曲のミュージックビデオのインタビューパートで岡田は「ダンスが苦手なんですよ。だから『ダンスとは』って聞かれたら、私の苦手なもの」と答えていた。それでも一目を置かれるまでになったのは、やはり先述の関根氏が評価した「努力は必ず報われる」という部分に結びつくのではないだろうか。

【MV full】根も葉もRumor / AKB48 58th Single【公式】

 岡田は2017年、新設された姉妹グループ・STU48の兼任もスタートさせた。2020年までキャプテンを担当するなど同グループの成長に貢献。そして2022年3月18日に行われたSTU48としてのラストコンサートを持って兼任が解除された。5年という長期間、2つのグループの第一線で活動していたのだ。しかもAKB48は東京、STU48は中国・四国が活動拠点。体と気持ちの強さがないとこなせないだろう。YouTubeチャンネル『岡田奈々の落とし穴チャンネル』の4月5日配信回「【裏側密着】岡田奈々STU48ラストコンサート」のなかで、甲斐心愛に「(甲斐は)今まで5年間、STUをやってきたから。いけるよ。できないことなんかない」と今後の活動に発破をかけていたが、岡田自身、自分ができることを一生懸命、全力でやりきって力をつけてきたからこそ言えるものだったのではないか。

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