山下達郎、11年ぶりオリジナルアルバムがチャート首位 現在とこれからに思いを馳せたくなる“現役”の一作

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2022-07-04/

 2022年7月4日付のオリコン週間アルバムランキングで首位を獲得したのは山下達郎『SOFTLY』で、推定売上枚数は151,181枚。ついでStray Kids『CIRCUS』が131,921枚を売り上げて2位につけ、3位は発売2週目となったBTSのアンソロジーアルバム『Proof』で22,029枚を売り上げた。以下、トップ10圏内の初登場作品としては、5位超ときめき♡宣伝部『ハートギュッと!』(12,813枚)、6位宮内國郎, 鷺巣詩郎『シン・ウルトラマン音楽集』(11,782枚)、8位MONGOL800×WANIMA『愛彌々』(10,723枚)、9位Kep1er『DOUBLAST』(7,709枚)、10位Sou『Solution』(7,235枚)となった。

 本題に行く前に少し寄り道。個人的におもしろかったのは8位のMONGOL800×WANIMA『愛彌々』。世代の異なる先輩後輩2バンドのコラボ&スプリットEPだ。表題曲を除くと名義は各バンド単独になっているが、WANIMAがMONGOL800に、MONGOL800がWANIMAにそれぞれ提供し合った楽曲と互いのカバー曲が収録されている。バンドとしてストレートに楽曲の芯を表現するWANIMAと、豊かなアイデアで楽曲をふくらませるMONGOL800、どちらの魅力も感じられる一作だった。MONGOL800「てぃんがーら」(WANIMA提供曲)がフェイバリット。

MONGOL800×WANIMA「愛彌々」OFFICIAL MUSIC VIDEO

 さて、今回取り上げたいのは首位の山下達郎『SOFTLY』。前作『Ray Of Hope』のリリースが2011年。およそ11年ぶりとなるオリジナルフルアルバムだ。ディスコグラフィをふりかえっても、これだけアルバムリリースの間隔があいたことはない。しかしながら、2010年代を通じて映画やドラマの主題歌を提供したり、あるいは過去の作品が再評価されるなどして、その存在感はむしろ強まっていた。まさに待望された一作、と言えよう。

 とはいえ、収録曲の大半がここ10年ほどで発表されてきた楽曲であり、制作時期もまばらな本作。テーマやストーリーを通じてアルバム全体に没入させていくようなつくりではもちろんないし、スタイルが統一されているというわけでもない(特に、ハウシーな、ないしはユーロビート的な4つ打ちの「LOVE’S ON FIRE」には意表をつかれる)。にもかかわらずアルバム総体としての説得力がある、という点に凄みを感じざるをえない。シングル曲もアルバム収録にあたってあらためてミックスし直している、という点が最大の理由だろうし、時流に合わせたような曲作りをしていないことも大きいだろう。

山下達郎「LOVE'S ON FIRE」

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