『ONE PIECE』『マクロスF』『ギルティクラウン』……声優と歌唱キャストが異なる作品、その利点とは?

 8月6日に公開される映画『ONE PIECE FILM RED』で、シャンクスの娘であり世界的な歌姫・ウタのCVを名塚佳織、歌唱キャストをAdoが演じると発表され話題となっている。6月8日にデジタル先行配信された主題歌「新時代」は中田ヤスタカの提供曲で、Adoのパワフルなボーカルはそのままに、『ONE PIECE』の壮大な世界観も加わって、今までにないAdoの新たな魅力が発揮された。YouTubeで公開された「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」の動画は300万回を超える再生数を記録している(6月14日現在)。

 ウタのようにCVを声優が、歌唱キャストをアーティストが務めるケースは決して珍しくなく、これまでも人気アーティストが多数担当してきた。「炎」などの大ヒットで知られるLiSAは、その代表格として知られる。2010年に放送された『Angel Beats!』(TBS系)の劇中ロックバンド「Girls Dead Monster」(以下、ガルデモ)の二代目ボーカル・ユイ(CV:喜多村英梨)の歌唱キャストを務めたLiSAは、「Girls Dead Monster starring LiSA」としてツアー『Girls Dead Monster Staring LiSA Tour 2010-Keep The Angel Beats!』を行うなど活躍した。劇中歌を収録したCDはオリコンチャートでトップ10入りを果たす人気となった。『Angel Beats!』の原作・脚本を務める麻枝准による独自の世界観もあいまって、ガルデモのユイとして歌った楽曲は、普段のLiSAとは少し異なるエモーショナルな魅力に溢れていた。

 また、ガルデモの初代ボーカル・岩沢雅美(CV:沢城みゆき)の歌唱キャストを務めたmarinaも、DECO*27作品やsasakure.UKのバンド「有形ランペイジ」にてボーカルを務めるなど活躍した。2016年に開催された『Animelo Summer Live 2016 刻-TOKI-』にLiSAが出演した時は、marinaがシークレットゲストで出演し約6年ぶりにガルデモ楽曲を生で披露。昨年末にも『ビジュアルアーツ冬フェス2021 + コミケ99』で、新曲として「Awakening Song / Girls Dead Monster STARRING LiSA&marina」を含むCDを販売するなど、ガルデモは今もファンの胸を熱くさせている。

 歌唱キャストから人気アーティストを生み出した作品としては、『マクロスF』(TBS系)と『マクロスΔ』(TOKYO MXほか)が有名だ。2008年に放送された『マクロスF』では、シェリル・ノーム(CV:遠藤綾)の歌唱キャストをMay’nが務めた。シェリル・ノーム starring May'n名義でリリースしたシングル『ダイアモンド クレバス/射手座☆午後九時 Don't be late』は、オリコンチャートでデイリー最高2位、週間最高3位を記録。翌年にはミニアルバム『ユニバーサル・バニー』をリリースすると、オリコン週間3位を記録した。

 2018年には10周年記念企画としてシェリル・ノーム starring May'n/ランカ・リー=中島愛としてシングル『Good job !』をリリースした他、昨年末には同名義でライブ『マクロスF ギャラクシーライブ 2021[リベンジ] ~まだまだふたりはこれから!私たちの歌を聴け!!~』を開催。6月22日には、同ライブの映像作品がリリースされる。

 また、2016年に放送された『マクロスΔ』では、美雲・ギンヌメール(CV:小清水亜美)の歌唱キャストをJUNNAが務めた。オーディション当時まだ中学生だったにも関わらず、圧倒的なボーカルセンスを発揮して同役に抜擢される。同作の劇中ユニット・ワルキューレのメンバーとしてアニメ放送終了後も活動する傍ら、2017年にJUNNA名義でソロデビューを果たす。その歌声に惚れ込み、菅波栄純(THE BACK HORN)、山下穂尊(ex.いきものがかり)、降谷建志(Dragon Ash)、梶浦由記などのアーティストが楽曲制作に参加している。8月からは、『JUNNA ROCK YOU HALL TOUR 2022』を開催するなど、着実に活動の場を広げている。

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