日向坂46 河田陽菜&山口陽世、東京ドーム公演を経た現在の心境 変革期迎えるグループの今後の目標とは?
日向坂46が、7枚目のシングル『僕なんか』を6月1日に発売した。3月には悲願の東京ドーム公演『3周年記念MEMORIAL LIVE 〜3回目のひな誕祭〜』という大舞台を見事に成功させ、一段と成長した彼女たち。今回のシングル表題曲はそのドーム公演2日目のアンコールでサプライズ披露されており、胸を掴むような切ないメロディと歌唱が印象的で、前作『ってか』とはまた違うベクトルで新しい扉を開く1曲となっている。もちろん、一期生〜三期生までそれぞれの魅力を味わえるカップリング曲も充実しているとともに、本作をもって渡邉美穂が卒業を発表していることからも、二期生にとっては特別な想いのシングルとなりそうだ。今回、リアルサウンドでは二期生の河田陽菜、三期生の山口陽世にインタビュー。新メンバーの加入も控え、新たなフェーズへと変化していく日向坂46の現在地について、2人に語ってもらった。(編集部)
【オリジナル動画】日向坂46 河田&山口、お互いの好きなところ
河田陽菜&山口陽世、東京ドーム公演を振り返って
ーー3月30日、31日の東京ドーム公演、お疲れさまでした。開催発表から2年3カ月を経て、ようやく到達できた“約束の彼の地”。ライブを終えて2カ月経ちましたが、手応えや達成感はいかがですか?
河田陽菜(以下、河田):一番はやっぱり楽しかったなというのが大きくて。ライブにはいろんな段取りがあるので、普段のライブでは心の底から楽しむ前に「ここではこうしなくちゃ」と細かいところまで考えてしまうことが多いんです。ただ、東京ドームは2日間とも、最初から最後まで“楽しい”が勝っていたんです。ここまでに2回も開催が延期になって、ときにはみんなで揃って出られないのかなって思ったりもしたので、渡邉美穂の卒業が決まった今……濱岸(ひより)は参加できなかったけど、気持ちは22人で立てたので、すごくいい時間だったなと思います。
山口陽世(以下、山口):私は最初に開催が決まったときはまだ加入していませんでしたが、それでも先輩たちが東京ドームにかける気持ちが人一倍大きいことは理解していたので。日向坂のメンバーだけじゃなくておひさま(日向坂46ファンの呼称)のみんなと、ここまでたどり着けてよかったなと思えた2日間でした。
ーー日向坂46はこれまでも幕張メッセなど大会場でのライブ経験が多いですが、それらと比べても東京ドームで目にした景色は違いましたか?
河田:全然違いました。本当に上のほうまでおひさまの皆さんがいらっしゃったので、「これが東京ドームか……」とステージに出た瞬間ドキドキしました。
山口:リハーサルのときからその大きさにびっくりして。立ち位置に振られる番号も、いつもより多めでしたし。
ーー聞くところによると、縦横含め、かなり細かく番号が振られていたようですね。
山口:そうなんです。そういう部分では大変さもあったんですけど、気づいたらダッシュしたりしていて(笑)、終始楽しめたライブでした。
ーー実際、山口さんはすごく目立っていたと思いますし、僕もすぐに見つけられましたよ。
山口:うれしいです(笑)。ありがとうございます。もちろん自分だけ楽しむんじゃなくて、おひさまの皆さんも一緒に盛り上がれるように、声は出せないんですけど近くの方と目を合わせたり、コミュニケーションはたくさん取れた気がします。
ーー河田さんは「キツネ」でのパフォーマンスが印象的でした。
河田:ありがとうございます。この曲では煽りもやらせていただいたんですが、私は煽りとかすごく苦手で。(佐々木)久美さんとかの煽りって、自分たちメンバーも鼓舞されるというか「ああ、楽しいなあ」って気持ちが高まるので、そういうことが私にもできたらいいなと思って久美さんに相談したんです。久美さんから「この会場にいる人たちはみんなおひさまで、味方だから大丈夫だよ」と言ってもらえたことで、より頑張ろうと思えました。
ーーそうだったんですね。その2日目のアンコールで、今回のシングルの表題曲「僕なんか」を初披露しました(※1)。最初にこの曲を聴いた感想は?
山口:これまでは元気な曲が多かったんですけど、今回はいつもと違ってゆったりめで。若干暗めのトーンで、歌詞を読んだときもちょっとネガティブなのかなと思いました。
河田:私は小坂(菜緒)のセンターにすごく似合いそうだなと思いました。小坂はデビュー曲の「キュン」から4枚目までセンターを務めてくれて、最近はお休みをしていたんですが、また帰ってきたタイミングに彼女にぴったりの曲をいただけて。私は第一印象から気に入っていました。
ーー「僕なんか」というタイトルは一見ネガティブですが、曲を聴き進めていくと最後には前向きさも伝わってきます。そういう歌詞を表現する際に、おふたりが心がけていること、意識していることはどんなことでしょう?
山口:ダンスレッスンのときに振り付けの先生が「今まで自分が出していなかった、『僕なんか』というネガティブさを無感情で表すんじゃなくて、感情的になって出すことで見てくださっている方により強く伝わるよ」と言ってくださったので、そういうことを意識していて。最後の〈僕なんか もう二度と言いたくない〉というところは、聴いてくださっている方のネガティブな気持ちに寄り添いつつ、自分が一歩踏み出したところを見てもらって勇気を持ってもらえるように、パフォーマンスに臨んでいます。
河田:ダンスもコンテンポラリーの要素が入っていたり、すごく心を表しやすいものになっているんですけど、だからこそ自分の殻をいかに破れるかが大きなポイントで。今はそれができるようにと頑張っているところです。メンバーの中でも、特に上村ひなのちゃんのダンスを見ているとすごく気持ちが伝わってくるので、いつもすごいなと思いながら参考にしています。
ーーこの曲名にちなんで、すでに何度も聞かれているかと思いますが、皆さんは「僕なんか」と思ってしまうタイプですか?
山口:思いますね(笑)。こういう活動をしていると周りの人と比べられたり、自分でも比べてしまうことも多いので、特にそういうときに考えてしまいます。
河田:22人もメンバーがいて、みんないろんな個性を持っていると、「私なんかいなくてもいいんじゃないか」とネガティブに考えてしまうこともあるんですけど。でもそういうときこそメンバーに支えてもらったり励ましてもらったりすることが多いので、やっぱりメンバーってありがたい存在だなと思います。
ーーMVもこれまでとは違った雰囲気に仕上がりましたが、注目してもらいたいポイントは?
山口:序盤はみんな感情が見えない感じで踊っているんですけど、2番サビで小坂さんが合流してみんなが笑顔になって感情を取り戻す、笑顔で踊っているシーンです。
河田:小坂が走ってきて一緒に踊るシーンは、メンバー自身もすごく好きな場面で、ファンの方も観ていてグッとくるんじゃないかなと思います。
ーーVFXが駆使されているそうですが、あの街並みは実物ではないんですよね?
山口:そうなんです。現場は更地で、後ろには何もない状態でした。
河田:グリーンバックみたいなのがあって、そこで「ここに銀座が建ちます。銀座があると思って歩いてください」と言われてパフォーマンスしたんですけど、なかなかイメージがつかなくて(笑)。なので、完成したMVを見てびっくりしました。
山口:言われないと、本物かどうかわからないですよね。
ーー本当にわからなかったです。撮影中、思い出に残っていることは何かありますか?
山口:朝早くから撮影していたんですけど、すごく寒かったのでベンチコートを着てカイロを2つ持って、メンバー同士寄り添ったりして暖かくしていたことかな。あと、皆さん夕方に動画を撮っていましたよね?
河田:そうだね。その日は朝陽も夕陽もすごく綺麗に見えたので、みんなでカメラを向けて楽しんでいました。
ーーさっきお話に挙がった小坂さんですが、おふたりにとって小坂さんがセンターを務めるのは特別なことなんでしょうか?
河田:やっぱりセンターが似合うというのはあります。本人は復帰してすぐにセンターに選ばれて、いろいろ思うことはあるでしょうけど……後ろから見ていてすごくたくましいなと思いますし、モニター越しで観ていても本当にいいなと思えるんです。小坂しか持っていない雰囲気や出せない空気があって、私はそこに惹かれます。
山口:私は今回のシングルで初めて小坂さんのセンターを経験したんですが、普段はすごく静かなのにパフォーマンスが始まった途端に感情が昂っていく感覚を画面越しでも感じることができて。河田さんが言ったように誰にも出せないような魅力がありますし、いつも惹きつけられています。