さだまさし、アルバム『孤悲』から伝わる強い意思 コロナ禍における葛藤と願いが色濃く描かれた“生活の歌”

 1960年代後半、次作の詩集を渋谷で手売りしていた高校の後輩をモチーフにした「詩人」、もともとはダイキン工業に依頼されて制作された〈世界中に美しい風を贈ろう/世界中に幸せの風を贈ろう〉という言葉が気持ちよく広がる「風を贈ろう」、これまでに受けた批判や悔しさを滲ませながら、“歌えなくなる日まで歌いたい”という思いを描いた「偶成」、〈あなたにわたしの愛の何もかも捧げよう〉と歌い上げるラブソング「OLD ROSE」など、タイムレスな魅力を備えた楽曲が収められた本作。特に心を打たれたのは、「キーウから遠く離れて」だった。ロシアがウクライナに侵攻した直後、ウクライナの女性がロシア兵に近寄り、「あんた達、何をしにここに来たの」と問い詰める映像が世界中に配信された。彼女が言った「ポケットにひまわりの種を入れておきなさい。あんたが死んだ後にわたしがその花を眺めてあげるから」という言葉に衝撃を受けたことをきっかけに書かれた同曲。戦争反対、と声高に叫ぶのではなく、あくまでもその土地で暮らす人々の目線に立ち、そこから戦争の怖さ、愚かさを描く、彼らしい反戦歌だと思う(1991年、グレープ再結成の際に発表された「あと1マイル」も素晴らしい反戦歌なので、ぜひ聴いてほしい)。

 前述した通り、今年の10月25日にグレープとしてシングル『雪の朝』でレコードデビューしてから50周年を迎えるさだまさし。アルバム『孤悲』のリリースに先がけ、今月21日から全国ツアーをスタートさせるなど、精力的な活動を続けている。時代と向き合い(ときにぶつかり)、人々に寄り添い(ときに憤りや葛藤を感じ)ながら歌を紡ぎ出してきた彼の表現は、本作によって新たな地平を切り開くことになるだろう。70歳を迎えたさだがこの先、どんな言葉とメロディを聴かせてくれるのか、楽しみで仕方がない。

さだまさし『孤悲』

■リリース情報
アルバム『孤悲』
6月1日(水)リリース
¥3,850(税込)

<収録曲>
01, 孤悲
02, 抱擁
03, 詩人
04, キーウから遠く離れて
05, 緊急事態宣言の夜に
06, 風を贈ろう
07, 偶成
08, OLD ROSE
09, 鷽替え
10, 歌を歌おう

■配信番組概要
配信番組『アルバム「孤悲」発売週だから生でさだまさし』
6月3日(金)19時~生配信
LINE LIVE: https://live.line.me/channels/520/upcoming/19871693
Youtube Live:https://youtu.be/S22zobEKMjk

■関連リンク
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