AKB48 本田仁美&村山彩希&向井地美音が実感するグループの変化 技術を磨きながらアイドルとして目指す最終目的

AKB48の最終目的

私たちはあくまでアイドルとしてのプロ

――そういえば、Paraviオリジナル番組『あなたはなぜ、アイドルになったんですか?』で、向井地さんが「(「根も葉もRumor」を経て)今のAKB48は昔以上に実力で戦う場面が増えてきた」と言ってましたよね。それは要するに、これまで求められていたことと、今求められていることが変わってきた、という意味に受け取れるんですけど。

向井地:そうですね。昔はメンバーの個性とかキャラクター性がピックアップされて、それを武器に前へ出て行ったり有名になったりするパターンが多かったんです。だけど最近は時代の変化に合わせて、ダンスや歌唱力などのパフォーマンス面が評価されるグループになったと思います。

――2000年代以降のアイドルってどこか未完成だからこそ面白かったし、まだ何者でもない原石が徐々に成長していく過程を楽しむ、というのが醍醐味でしたよね。

向井地:そうかもしれないです。

――その状況を作ったのがAKB48だった気がするんですよ。だけど今は、完成度の高いパフォーマンスを提示する方にシフトチェンジしている。

向井地:確かに、ここ数年で見せ方はだいぶ変わりました。

本田:韓国のグループがそういう感じです。練習生の期間にみっちりレッスンを重ねて、完成されたパフォーマンスを皆さんに届ける。成長していく過程を応援してもらうのも、もちろん良いんですけど、今は完成されたものを見せることが重要視されている。それは韓国で身をもって感じました。私個人としても、伸び代ではなくて、磨き上げた技術を皆さんに見てもらいたい気持ちが強くあります。

村山:それこそ劇場公演は変化が分かりやすくて。コロナ禍になって16人でステージに上がれなくなり、2人公演が始まったのですが、途端にみんなの意識が高まったんです。一人ひとりが自分の歌やダンスに責任感を持てるようになったおかげで、すごく褒めてもらえるようになった。「自分達も実力で勝負できるように」という考えにメンバー全員が段々と変わってきた気がします。

――これからのAKB48は、どういう方向に舵を切っていくのでしょう?

向井地:昔のように成長を応援してもらうのも、もちろん素敵だと思います。ただAKB48は「あまり歌えない・踊れない」というイメージがずっとあったと思うので、それを覆していく方向に行きつつあるのかなって。常に挑戦し続けているグループだから、その時々によっていろんなことをやってきたと思うんです。今はダンスという大きな課題をいただいてるので、そこを伸ばしていくのが目の前にある未来かなと思います。

――よりダンスと歌を極めていくと。

向井地:でも、完全にアーティストみたいな感じで、クオリティだけを求められているのか? と言ったら、私たちはそうじゃないと思っていて。そこに至るまでの過程を含めてのAKB48な気がします。「根も葉もRumor」も、ただダンスが激しいから応援してもらえたというよりは、MVの青春感だったりヘトヘトになりながらも踊る姿を応援してくれている声があった。みんなで現状を超えていくストーリーを見せていく。そのツールとして、ダンスという要素を生かせたら良いのかなと思います。

――アイドルとアーティストって、今は境目が曖昧じゃないですか。

向井地:そうですね。

――そんな中、今のAKB48は良い意味で絶妙なポジションにいるような気がして。

村山:嬉しいです! ……でも、私たちは歌とかダンスに関して、プロなのかと言われたらそうじゃなくて。あくまでアイドルとしてのプロなんですよね。

――アイドルとしてだけでなく、アーティストとしてもプロだと思っているんですけど、ご本人たち的には違う?

向井地:どれだけダンスや歌が上手くなろうと、やっぱり私たちはアイドルだと思います。

――両者の決定的な違いはなんですか。

向井地:歌やダンスを好きになってもらうのは大事ですけど、それ以上に人間としての中身を好きになってもらいたいというのが根底にあって。それがアイドルだと思うんです。私はパフォーマンスを通して、人間性を好きになってもらうのがAKB48の最終目的な気がします。

――今日はかなりの数のインタビューを受けたそうですけど、何か発見はありましたか?

村山:「元カレです」の歌詞について、解釈の違いがありました。

向井地:そうだね! 人によって受け取り方が違うんだと思った。私は曲中の元カノってAKB48のことだと思っていました。だから「元カレです」はファン目線の曲だと捉えていたんですけど、インタビュアーの方は「これはAKB48目線の曲だ」と言っていて、なるほど! と。

本田:元カレがAKB48のことで、元カノがファンの方なのかなって。みんなと話している内に私もそう思えてきました。

――今作は「このダンスのジャンルはコレだ」とか「歌詞はこういう意味だ」とか、人によって受け取り方が分かれるかもしれないですね。

本田:確かに。人それぞれの感じ方とか、受け取り方が自由で良い曲だなって思います。

――ちなみに、この3ショットで取材を受ける機会ってありました?

一同:めちゃめちゃ珍しいです(笑)!

――言葉にすると、どんな3人ですか?

向井地:3人ともグループの中では、バランサータイプじゃない?

本田:あ、確かに!

村山:……ひぃちゃんってバランサー?

本田:ちょっと! 私だけ自己主張強いみたいな感じにするのはやめてください(笑)!

村山:ハハハハ。ひぃちゃんは誰といるかによって変わる気がする。同期といたら結構違うよね。

向井地:めっちゃ無邪気だよね。

本田:やっぱり先輩のお二人がいると、様子を探っちゃいますね(笑)。

――でも、ご自身の意見をハッキリと言っていて、すごく自分を持ってる印象を受けました。

村山:めっちゃ落ち着いてますよね。この中で一番後輩とは思えないくらい堂々としてる。

本田:えー! それは良いことですか?

村山:とっても良いことだよ。助けなきゃ! とかもないし。

向井地:そうだね。こうやってインタビューを受けていても不安になることがない。私たちは良い意味で落ち着いているし、ずっと良いテンションだよね。

――僕もこの3人だからこそ、今日はちょっと踏み混んだことをお聞きしたいと思いました。

向井地:ふふふ、ありがとうございます。かなり踏み込んでいただきました(笑)。

――キャリアを重ねると、質問される内容も変わってくるんじゃないですか。

向井地:私は総監督になってからグループに対する質問が増えたのかな。……いや、昔から多かったかもしれないですね。次世代メンバーと言われていた時から「未来のAKB48をどうしていきたいですか?」という質問が多かったですけど、総監督になってからより真剣な質問が増えた気がします。

本田:私の場合は、日本に帰ってきてから変わりました。それまではチーム8の活動が主だったので、今年1年の抱負とか「これから地元を盛り上げるためにどんなことをしたいですか」と聞かれることが多かったんですよ。だけど今は「グループをどうしたいですか?」と聞かれることが増えて。それによってグループ全体を見るようになったし、責任を感じることも増えてきましたね。

村山:私はこれまで“劇場専任の人”みたいな見方をされていたり、選抜というものに対してはお互いに距離があったんですよ。だけど、チーム4のキャプテンになり、選抜にも入るようになって、新たに学ぶこともあったりして考える幅も広がったし、劇場公演のセットリストを考えるとか、スタッフさんとの話し合いにも加わるようになったのが大きいと思います。そういう私の成長を見ていただいているのか、質問の内容もかなり変わってきましたね。

――精神論だけじゃなくて、より具体的な話になりますよね。

村山:そうですね。将来の夢を漠然と語るより、目先の目標だったりとか今後のリアルな話が増えてきた気がします。

――最後は、向井地さんにお聞きします。「時代の変化とともに求められることが変わってきた」という話が出ましたけど、逆にAKB48の変わらない魅力はなんでしょう?

向井地:秋元先生がおっしゃっていたのですが、AKB48は予定調和じゃないところが一番面白い部分だと思うんです。「根も葉もRumor」を超えるダンス曲はないと思っていたら、さらに一段階上の新曲が来た。そういうキャッチーなやり方とか、こういう大人っぽい曲で大人っぽいダンスを私たちがやっていくギャップとか。そういう一つひとつに驚きとか面白さを感じながら、AKB48を応援してほしいです。一方で私たちは与えられたものに、必死に挑戦するのみ。その気持ちを忘れずに前進していきたいと思います。

■リリース情報
「元カレです」
発売:2022年5月18日(水)
Type A【初回限定盤】(CD+DVD)
Type A【通常盤】(CD+DVD)
Type B【初回限定盤】(CD+DVD)
Type B【通常盤】(CD+DVD)
Type C【初回限定盤】(CD+DVD)
Type C【通常盤】(CD+DVD)
【劇場盤】(CD)

配信サイト
https://lnk.to/akb_motokaredesu_senkou

詳細はこちら
http://www.akb48.co.jp/
http://akb.kingrecords.co.jp/

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