なすお☆、『可愛いだけじゃない式守さん』OPテーマがバイラル首位 “替え歌カバー”からも垣間見えるキャッチーな作詞力
「ハニージェットコースター」の作詞と歌唱を担当したなすお☆は、YouTubeをメインに活動をしてきたシンガーだ。ヒット曲を女性目線で歌った替え歌カバーが話題となり、認知度を上げた。瑛人の「香水」のアンサーソングとして替え歌したカバー「君のドルチェ&ガッバーナの香水のせいだよ」は、2022年5月現在、490万回以上再生されている他、wacciの「別の人の彼女になったよ」を男性目線のアンサーソングとしてカバーした替え歌は340万回超え。他にも、まふまふの「女の子になりたい」の替え歌カバー「男の子になりたいver.」など、多くのカバー曲の視聴再生回数が100万回を突破している。中には、菅田将暉の「虹」をドラえもん目線で綴った替え歌カバーもあり、YouTubeにアップされている楽曲を見るだけで、その視点の広さ、鋭さがわかる。原曲をしっかり自分の中で咀嚼して新たな歌詞をつけているのも見事だが、メロディも楽曲の持つ雰囲気も壊さずに、自身の歌声で、カバーを超えオリジナル曲かのように聴かせているところに、なすお☆という表現者の底力を感じる。
「ハニージェットコースター」は、最初の〈なんかぼくよりも彼氏みたい!〉というワンフレーズだけでアニメの面白さを伝えているブライトなアップチューン。しかしながら、途中でジャジーなベースラインからテンポが落ち、レゲエ調のリズムにラップをのせるという斬新なアプローチもある。ところどころに挟み込まれる台詞のようなボーカルアプローチも、アニメのストーリーにリンクしている。さらに、縦読みで「あ」「い」「し」「て」「る」と仕込まれているなど、原作がTwitter発信だったからこうしたのかな……などと、楽しい考察をさせてくれる。聴けば聴くほど、歌詞を見れば見るほど、深読みをさせてくれるのが「ハニージェットコースター」の面白さだと思うが、一番の魅力は一聴しただけではそう感じさせないポップさであるように思う。これは、なすお☆が紡ぎ出す言葉の一つひとつが語感も含めてキャッチーで、素直に耳に入って来る言葉ばかりだからだろう。
恋愛は自分でコントロールできない。だから、自分とは別の生き物だと筆者は思っているが、その苦しさや切なさ、コントロール不可能なところも、すべて楽しさなのだと教えてくれるような1曲である。