ももいろクローバーZが14年もの間、愛され続ける理由とは? 結成日を目前に辿る、“終わりなき革命”の数々

 ももクロは、主人公が絶対に変わらない大河ドラマである。有安、早見のように主人公のひとりが物語から去ることはあった。それでも新しいメインキャラは登場しない。それなのに見ていて飽きないのは、メンバーが試練を乗り越えていくおもしろさがあったからだ。

 ワゴン車1台に乗り込んで全国24カ所、計104公演をおこなった過酷なツアー『ヤマダ電機Presents〜ももいろクローバーJAPANツアー2009 ももいろTyphooooon!〜』、当時のアイドルのやり方としては異色だったバンドとの対バンイベント、2011年4月の早見脱退イベントでの改名発表など、ももクロの歴史に試練はつきものだった。

 特に改名のときは、高城れにも「それまでのももクロが全部否定された気がした」とショックを隠しきれなかった。それでも「早見が抜けた感動やしんみりした雰囲気をファンにひきずってほしくない」と改名理由を説明する川上の意気に応えるように、メンバーはさらなる快進撃へとつなげていった。

行くぜっ!怪盗少女 / ももいろクローバーZ

 人気、実力ともに抜群だった早見が脱退した翌年、念願の『第63回NHK紅白歌合戦』(NHk総合)の出場をつかみとったももクロの姿は、試練を乗り越えた先には大きな喜びが待っているかもしれないことを教えてくれた。当時は東日本大震災もあり、日本全体に苦しい雰囲気が漂っていた。それだけに、彼女たちが示してくれたものはとても大きいように感じた。そのような状況で『紅白』で披露した楽曲「行くぜっ!怪盗少女」では、歌詞の一部であるメンバー紹介の部分で早見の名前も交えて歌った。あの瞬間は、ファンの心に焼きついてずっと離れない。

 ももクロはそうやって一つひとつの試練を点として見ていない。必ずストーリーとして結びつけてきた。すべてがつながってできているストーリーだからこそ、登場人物はいまの4人以外考えられないのだ。それを、ファンもずっと見てきた。前述した改名時の高城のショック、『紅白』での想いなど、メンバーがそのとき感じていたことを、ファンも一緒に共有できる仕掛けになっていた。つまり、ファンであるモノノフ(ももクロファンの総称)たちも「ももクロ」という大河ドラマの登場人物であるのだ。だからこそ、ももクロは長く愛されてきたのではないだろうか。

 近年のももクロは、「いま、会えるアイドル」という初期からのキャッチフレーズをより体現して活動している。地方自治体との連携を強めて、様々な場所でライブをおこなっているのだ。

 今回の『祝典』発売記念ツアーでも、大都市だけではなく小さな町にも足を運んでいる。そういった独自の方向性は、全国各地を元気づけることへとつながる。

 日本の隅々までももクロを楽しんでもらおうという考え方は、これからも長く活動していくという気持ちのあらわれではないだろうか。川上はかねてより「メンバーが結婚しても長く続けられるグループにしたい」と語っていた。それが単なる理想論ではなく、現実味を帯びてきたように感じられる。私たちも、そんな彼女たちの“終わりなき革命”をいつまでも見守っていきたい。

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