スカイピース、自然体のまま届けた熱いパフォーマンス 初の武道館は“ピースなお祭り空間”に

 まさに“Festival”、まさに“Live”、「これぞスカイピース!」といったライブで、アンコールを含めて全20曲を完走。4月22日に日本武道館で開催された『SkyPeace Festival in 日本武道館』は、スカイピースの楽しさ、熱さ、真面目さが随所に表れ、十代を中心に何故人気なのか、その理由が詰め込まれた集大成のようなライブだった。

 「証明」の壮大なイントロとラップが会場に流れると、客席にはカラフルなペンライトが次々と点灯。〈さぁ今がその時だ 自分を証明しろ〉。立ちこめるスモークの中に、拳を掲げる2人のシルエットが浮かび上がると、会場には抑えきれない歓声が響いた。約3年越しのこの光景をずっと待っていた観客の気持ちに応え、☆イニ☆(以下、じん)とテオくん(以下、テオ)の歌声にもうれしさが滲む。ダンサーと一緒に曲に乗ってジャンプすると、大きく揺れた武道館。「俺たちは命をかけて武道館に挑戦してきた。その目で、耳で、心で、全てを感じろ!」という、2人の熱い言葉に全身の血が滾った。

 高速ラップでユーモアたっぷりに聴かせた“オタク賛歌”「悪いが中二病が世界を救う」。ステージを右へ左へと走り回りながら、“ライブあるある”を歌った「100年後も忘れないライブを」。バンドの迫力ある演奏をバックに受け、レーザービームのド派手な演出と共に聴かせた「SkyPeaceのテーマソング」。サビの〈目瞑んないで ちゃんとこっち向いてるか〉という歌詞を向かい合って歌った、エモーショナルな歌声が胸を打った「雨が降るから虹が出る」。会場全体がタオルを回して盛り上がったサマーソング「青春スプラッシュ」。

 ここまででゼエゼエと息を切らす2人。それもそのはずで「(セットリストの選曲は)楽しさのことだけを考えて、体力のことまで考えてなかった」と、じん。テオも「せっかくの武道館だから、めちゃくちゃ(たくさん)曲をやりたくて。しゃべってる姿はYouTubeでいつでも観られるから」と、ライブを意識した構成について話す。どれも観客と一緒に楽しむことが念頭に置かれ、「無計画の旅」では一緒に振り付けを楽しみ、「荒野行動あるある」は、ステージをフィールドに見立てて走り回り、2人の完璧なエイムに観客はハートを打ち抜かれた。

 2人もおおはしゃぎだったのは、トロッコに乗る演出。「みんなの近くに行っちゃうね!」と言いながら、颯爽とトロッコに乗車。「おバカだっていいじゃないか!」を歌いながらアリーナの外周を回り、スタンド席の観客に手を振る。MCでは「アイドルしか使わないやつ!」と笑っていた2人だが、トロッコから手を振る2人は、まさしくアイドルのようだった。ステージでは火花が吹き出す演出でも魅せるなど、武道館でやりたいことランキングがあったとしたら、きっと上位に入るであろう演出を次々と実現していったのも見所だ。

 ハプニングが起きたのは、次の曲「相棒」を紹介するMCでのこと。「次は僕たちのお母さんに感謝を伝える曲です」としゃべり出したじんに、焦った様子で「それ、次の次の曲やん!」とテオ。じんが「サプラーイズ!」と大声でごまかそうとするが、テオは“やっちまったな”という雰囲気で首を振った。日本武道館には魔物が住んでいる。これまで数多くのアーティストが、初の武道館で何かしらのハプニングを体験してきた。そう考えれば、これも武道館に立った証明かもしれない。

関連記事