春畑道哉、オーディエンスの想像力を広げるギタリスト 35周年の軌跡が濃縮された鮮やかなサウンドを解説
本作を携え、ソロツアー『MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND 2022 SPRING HAS COME +next』が4月29日の戸田市文化会館(埼玉)から始まる。あなたの街に“SPRING HAS COME(ハルが来た)”ということだ。
ニューアルバムを中心にしながらも、原点から現在まで35年の軌跡を描くセットリストになっているようだ。見逃せない。聴き逃せない。春畑は言う。「曲の内容、曲のテーマ、すべて自由に解釈してください。それがインストの醍醐味なので」(以下、発言は筆者と春畑の会話内によるもの)。また、「インストに詳しくない方も、そもそもライブってものを観るのが初めての方も楽しめるよう、映像・照明・音響と僕らミュージシャンの力を結集します」とのこと。
参加ミュージシャンは、春畑が「ライブはこのメンバーと決めていました」と言うほど、絶対的な信頼を寄せている4人。TUBEのライブでもおなじみの宮崎裕介(Key)。5弦・6弦・7弦ベース(通常は4弦)を操る奥野翔太(Ba)。DREAMS COME TRUE、稲葉浩志など多くのアーティストもサポートしているSATOKO(Dr)。春畑とは30年以上の付き合いになる勝田一樹(Sax)。この顔ぶれなら、最高の演奏もさることながら、春畑が1㎜の不安もなく、思う存分、自在にプレイできる環境も約束される。ギターが高らかに歌うだろう。
そう、春畑のギターは、ニューアルバムを聴けば一目(一耳?)瞭然、歌うのである。人が歌うのと同様に、ブレス(息継ぎ)を意識したメロディと演奏が化学反応を起こしているからだ。しかも、ただ歌うだけではない。ときに満面の笑みが、ときに切ない表情が見えてくるではないか。つまり、喜怒哀楽を豊かに表現しているということ。ライブでは、アルバムより生々しい感情表現になり、曲によってはもっとストレートな表現になるかもしれない。人間・春畑道哉の素が出るはずだ。
他にも、春畑ライブの期待ポイントは、いくつもある。彼のピアノ演奏だけの曲も、そのひとつ。ニューアルバム収録のピアノ独奏曲「ノスタルジア」を、今回のツアーで演奏する可能性は大きい。出身地である町田市での初めてのソロライブが間近に迫ったある日、それまでの人生のさまざまな場面が次々に甦り、1曲にまとまったという。春畑の人生を空想しながら聴くもよし、あるいは先述のとおり、インストは想像力の解放なのだから、みなさんそれぞれの人生や、今の自分と重ねて聴いてもらえば、自分だけのワン・アンド・オンリーな「ノスタルジア」になるだろう。
2020年、アルバム『Continue』で『第34回 日本ゴールドディスク大賞 インストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤー』を受賞した春畑。名実ともに日本のインストシーンを牽引する存在になっている。キャリア的にもベテランの域に達した。だが、いつも彼の中にはギター少年がいる。ギターを手にして1年か2年なのに進路指導の席で「これで生きていきます」「プロになります」と言い放ち、教師と親を困惑させた、中学生の純粋さを今も失っていない。だから、彼のインストのなかにキラリと光るものを見るのは筆者だけではないはずだ。ライブになると、そのキラリがギラリとなる瞬間に出会えるだろう。
インストだからこそ、観客は想像と空想の翼を大きく広げられる。そして、窓から飛び立ち、ひととき春畑ワールドの空を駆けめぐるだろう。春(ハル)の風に乗って……。
※1:https://twitter.com/HaruhataMichiya/status/1484873108699840515?s=20
■リリース情報
春畑道哉『SPRING HAS COME』
4月27日(水)リリース
・初回生産限定盤(CD+DVD+Guitar Book)¥4,900税込
・通常盤(CDのみ)¥3,000税込
<収録曲>
DISC1
1. Spring has come
2. FANTASIA ~LIFE WITH FOOTBALL~
3. I feel free
4. Promised Land
5. J'S THEME(Jのテーマ)~FRONTIER ver.~
6. ノスタルジア (at Billboard Live YOKOHAMA)
7. Kingdom of the Heavens
8. John English
9. Life is Beautiful
10. WE PROMISE
11. Period.
DISC2(初回生産限定盤)
『LIVE AROUND2022 SPRING HAS COME-DIGEST-』
2022.2.27 at Billbaord Live TOKYO
1. Mother Ship
2. 青いコンバーチブル
3. Ripple
4. Wave Rush
5. JAGUAR'13
6. Color of Life
7. WE PROMISE
■ツアー情報
『MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND 2022 SPRING HAS COME + next』
4月29日(金)戸田市文化会館(埼玉)
5月1日(日)JMSアステールプラザ・大ホール(広島)
5月2日(月)福岡市民会館(福岡)
5月7日(土)新潟県民会館(新潟)
5月8日(日)オリックス劇場(大阪)
5月13日(金)神奈川県民ホール・大ホール(神奈川)
6月3日(金)愛知県芸術劇場大ホール(愛知)
6月5日(日)昭和女子大学人見記念講堂(東京)