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春畑道哉の絶頂期を示すクリエイティビティ 2年ぶりのソロツアー東京公演レポ

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 その夜そのステージで見たのは、絶頂期にあるアーティストの放熱だ。50歳を超えても、ことさらに若ぶることもなく、キャリア30年を超えても、ことさらにベテランぶることもなく、あるがまま持てるものを惜しみなく現わす春畑道哉がそこにいた。

 約2年ぶりとなるソロツアー。『MICHIYA HARUHATA LIVE AROUND 2018 Continue』。その東京公演が12月20日、昭和女子大学 人見記念講堂で行われた。キャパ2000人規模のホールを満員にし、ギターインストゥルメンタルで2時間以上のショーを成立させられるギタリストは……日本では、春畑以外、思い浮かばない。

 オープニングナンバーは「LIFE」。青いFender Michiya Haruhata Stratocasterでのプレイ。ソロ30周年と齢50歳、二つの大きな節目にリリースしたアルバム『Play the Life』の核となった楽曲。この日も1音1音をいつくしむように奏でた。ギターのハーフトーンのためか、まさに歌っているようだ。2曲目は「BORN TO WIN」。25年前、Jリーグのテーマ曲を依頼された際、2曲提示したうちの1曲がこれ。躍動するリズムに乗り、春畑のギターがドライブした。速弾きをすれば、ドライブするものではない。ましてやディストーション(歪み)で弾けば、ドライブするものでもない。肝心なのは、音のうねりが見えるか否か。すなわちギターをドライブさせられるか否かは、ギタリストの力量次第。

 ちなみにツアー前、ライブで聴きたい春畑ソロ曲とカバー曲のリクエストを募ったとのこと。3曲目からは、リクエスト上位の春畑ソロ曲をメドレーで演奏。「Sparkling Heaven」~「Mother Ship」~「Mermaid’s Kiss」~「Color of Life」。ここで明らかになったのは、春畑のギターインストが観客を強く惹きつける、3つの理由。

 まずは10年経とうが、20年経とうが、それ以上だろうが、色あせないメロディ。さらにオリジナルバージョンの匂いを残しながらも、サポートミュージシャンのキャラを最大限活かすライブアレンジ。過去のソロライブでも、参加ミュージシャンとのリレーションを重視していたことからもわかるとおり、バンド志向やセッション志向が彼の根底に流れているのだろう。残る1点は、曲ごと、メロディごとで色を変えるギターサウンド。たとえば「Sparkling Heaven」では太く粘りのある音色、「Mermaid’s Kiss」では夏の乾いたそよ風のような音色と使い分ける。以上の3要素が網羅されたとき、観客は音楽の中で自分だけの画を見るに違いない。記憶の底にある夕景か、月明かりの浜辺か、青春時代の二人の長い影か……。

 マカロニウエスタンを連想させるアコースティックギターのイントロは、春畑ファンならピンときたはず。「SAMURAI Stranger」。開放弦の鳴りを巧みに組み込むギターならではのフレーズ。言い方を変えれば、ギターインスト映えする、そう、映えるフレーズが満載の1曲。と思いながら、春畑のプレイに浸っていたら、まさかの Michael Schenker Groupの「Into the Arena」へ雪崩れ込む。カバー部門のリクエスト上位曲だったらしい。「SAMURAI Stranger」とリズムとテンポが近かったせいもあり、メドレーになっても違和感がない。

 コンサート中盤は、MCをはさみながら、バラードの「Next Season」など、しっとりした4曲。アコギを抱え、カウンターチェアに腰かけて演奏した「Symphony Blue」。吉田羊出演の雲海酒造「いいともBLUE」のCMのために書き下ろした新曲。そして、「Smile On Me」は、意表を突き、弾き語り。MCで「うっかり歌ってしまいました」と照れ笑い。これといった落ちがあるわけでもなく、不思議なほど和ませてくるMCだ。人柄だろう。緩やかな空気の中、キーボードで演奏した「空」。長年、飼っていたトイプードルを見送った日の、抜けるような青空をイメージした曲とのことだった。

 コンサート構成上、この4曲が濃密な中盤だと思っていたら、意外な展開が待っていた。カバー曲コーナー。中盤はまだ終わらない。厚い。リクエスト上位のヴァン・ヘイレン「JUMP」~B’z「ultra soul」~マライア・キャリー「恋人たちのクリスマス」をメドレーで演奏する。10代の春畑もガッツリ影響を受けたという「JUMP」を演奏中、一瞬、ギター小僧が顔をのぞかせた。あの一瞬のきらめきは、春畑にとってギターとは、タイムマシンであることの証明。過去も未来も見せてくれる存在に違いない。

 メドレーに続き、カバー曲リクエスト1位を。イントロとともに場内がざわつく。「情熱大陸」。しかも、冒頭のメインテーマをバイオリンで演奏し、場内をさらに驚かせた。一転、そんな会場を静寂で一気に包み込んだのが、TAK MATSUMOTOこと松本孝弘と共演したアルバム『Theatre Of Strings』に収録されている「Merry Christmas Mr.Lawrence」。映画『戦場のメリークリスマス』主題歌。坂本龍一作曲のあのメロディをギターで奏でる春畑から、大人のロマンチズムが漂う。理性と知性をまとう慕情とでも言うべきだろうか。「JUMP」のあの一瞬が幻だったのかと思うほど大人の佇まいだった。

 中盤の出口、もしくは終盤の入口は、新曲「Continue feat.宮本笑里」。今年10月から放送されているテレビ番組『じょんのび日本遺産』(TBS系)のオープニングテーマ。もちろんゲストはバイオリニスト・宮本笑里。クラシックとロックの共演は、ジャンルを超えた響き。過去17年間で50万人超を動員しているコンサート『live image』シリーズへ、今年6月に出演した経験が、この楽曲に反映されているのかもしれない。

      

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