春畑道哉が語る、ギタリストとしての挑戦と“TUBEの夏” 「やりたいことがたくさん出てきてる」

春畑道哉、ギタリストとしての挑戦

 TUBEのギタリスト春畑道哉が、海外ドラマ『リーサル・ウェポン』シーズン2の日本版オリジナルエンディングテーマとして、新曲「【Re:birth】」を書き下ろし。1月22日より配信がスタートした。

 2016年にソロデビュー30周年を迎え、通算9枚目のフルアルバム『Play the Life』をリリース、その後は全国ツアーも回った春畑道哉。新曲「【Re:birth】」では、『リーサル・ウェポン』の物語をさらに引き立たせるための音を追求したドラマチックな楽曲に仕上がっており、デビュー30周年を超えても、なお新たな挑戦を続ける春畑の姿を垣間見ることができる。

 今回のインタビューでは、楽曲の制作過程はもちろん、今後のソロ活動について、そして昨年8月に行われた、TUBEの29回目の横浜スタジアム公演について話を聞いた。(編集部)

「あのスピード感が、一曲でうまく表現できれば」

――1月22日に配信リリースとなる新曲「【Reːbirth】」は、緊張感のある激しいギターリフから始まり、一本の映画を観るようなドラマティックな楽曲です。人気海外ドラマ『リーサル・ウェポン』シーズン2日本版のエンディングテーマとして書き下ろしたということですが、どんなところから構想を膨らませたのでしょうか?

春畑道哉(以下、春畑):シーズン1の映像をいただいて、イメージを固めていきました。とにかくのめり込みましたね。18話というボリュームで、しかもレコーディングで忙しい時期だったこともあり、飛ばし飛ばしに観て要素をつかもう、と思っていたんだけれど、一話目を観たら、もう止まらなくなってしまって(笑)。本当に多くの要素が詰まった作品なので、結果としてすべて観てよかったです。

――激しくスピーディなところから、家族や仲間への温かな思い、そして立ちはだかる壁とそれを乗り越える力……と、さまざまなイメージがシームレスに、違和感なく表現されているように感じました。

春畑:そうですね。このドラマはカーチェイスや銃撃戦、街中での爆破シーンなど、刺激的な部分とスピード感が最初に飛び込んでくるので、まずはそれに合うギターリフを考えて。ドラムも普段とは違う、爆破しているような音を使ったり、ギターもメタルなどによく使われるドロップD(6弦を1音下げる)という変則チューニングにしました。TUBEでは一度も使ったことがないチューニングですね(笑)。

 あとは、痛快というか、ポジティブというか、スカッとするドラマでもあると思うので、サビの部分は前向きな気持ちになれるような、躍動感のあるスッキリとしたメロディにして。おっしゃるように、家族愛や友情を感じるシーンもテンポよく描かれているので、一曲にそれも入れてしまおうと。泣けるシーンだと思ったらすぐに笑えるシーンが来て、笑っていたら背筋がゾッとする場面が来たり。あのスピード感が、一曲でうまく表現できればと考えました。

――サウンドメイクの面では、どんなことを意識しましたか?

春畑:シーンごとに録っていったので、凶悪犯罪をイメージする部分では、それこそドロップDでアンプも強い設定にして。また友情や家族愛を感じさせるシーンでは温かいトーンを目指して、サビでは爽快感とポジティブさを出せるように……と、ギターチョイスもアンプのセッティングも、シーンに合わせて調整したんです。

――ドラマの制作サイドとは、どんなやり取りがあったのでしょうか?

春畑:やっぱり、ポジティブであるということはすごく重要視されていました。ただスリリングでスピード感があるだけでなく、前向きであってほしいと。僕が思ったのは、シーズン1で挿入曲も本当にカッコいいものが使われているので、「エンディングだけダセえよ」とは絶対に言われたくないな、ということで(笑)。『リーサル・ウェポン』は、映画版ではエリック・クラプトン、デヴィッド・サンボーンという、どちらかと言うとブルージーで、シンプルなギターフレーズ、サックスフレーズが印象に残るけれど、ドラマ版はヒップホップだったり、「これぞアメリカ!」というカントリーだったり、シーンに合わせてさまざまな曲が流れていて、映像にマッチしている。その流れのなかでカッコよく聴こえるものにしたい、というのはずっと思っていました。

――劇中の挿入曲もそうですが、エンディングを締めくくる音楽も、ドラマのイメージをつくる大切な要素ですね。

春畑:そう思います。映画を観終わったあと、エンディングのクレジットが流れるときにかかる曲で、「ああ、制作者はこういう印象で締めくくりたいんだな」というメッセージが伝わってきますから。

――人気ドラマのエンディングテーマだということを抜きにしても、リスナーを熱く鼓舞する聴き応えのある一曲です。リスナーには、どんなシチュエーションで聴いてもらいたいですか?

春畑:僕、ミックスの確認をけっこう車でするんですね。スタジオだけだと、どうしても視野が狭くなってしまうし、周りがうるさい状態で聴くとどうなのかな、ということを確認したくて。それでこの曲も車で聴いてみたら、アクセルを踏み込みそうになって危なかったので、注意してください(笑)。

――気持ちよくドライブできそうな曲ですが、注意ですね(笑)。例えば社会人だったら、大きな仕事に臨む前に聴くとパワーがもらえそうです。

春畑:確かに、「これから戦いに行くぞ」というタイミングにいいかもしれないですね。

――さて、ソロデビュー30周年を超えて、さらに新しいことにチャレンジする姿勢が伝わってきますが、いまはギタリストとしてどんな時期ですか?

春畑: 「【Reːbirth】」をつくって、面白い作品ができたと自分でも思っていて。ガットギターのフラメンコスタイルにも取り組んでいますし、やりたいことがたくさん出てきているんですよね。それだけに、一枚のアルバムにまとめるのは大変そうですが(笑)。

――今年の活動も楽しみです。あらためて、ドラマを楽しみにしているファンにも一言、メッセージをお願いします。

春畑:僕自身、こんなに引き込まれるとは思いませんでした。本当にいろんな面から楽しめるドラマで、家族や仲間を大切にしようと思わせてくれるところもあるし、「このミッションを意地でもやり遂げたるで!」という気持ちにもしてくれる。オススメです。

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