BEYOOOOONDSは唯一無二のハイブリッドなアイドルへ 今できることをすべて詰め込んだ初の日本武道館公演
アンコールでは、アッパーな新曲「涙のカスタネット」が披露された。コロナ禍での制限に対する窮屈な思いをユーモラスに歌ったBEYOOOOONDSらしいメッセージソングで、スクリーンには歌詞とともにカスタネットを叩くタイミングを表すアイコン表示も。客席はさながら大規模なリズムゲーム会場のような様相を呈し始め、さらに間奏ではメンバーの掛け声に続いてファンがカスタネットを打ち鳴らす、コール&レスポンスならぬ“コール&カスタネット”も発生していた。
続くMCでは、メンバー一人ひとりがこのステージに立った感慨を述べていく。清野は「BEYOOOOONDSの輪が広がってきたね!」と大観衆を前にした万感の思いを語り、岡村は客席への「今日、本物のアイドルになれていましたかー?」という問いかけに呼応した万雷の拍手に思わず涙する。江口は「これからの私の人生の中でも、今日は本当に忘れられない素敵な1日になりました」としみじみ噛みしめ、西田は「これからもBEYOOOOONDSは皆さんを応援するアイドルであり続けたい」と宣言してみせた。
続いて山﨑は「こんな広い夢のようなステージで私がパタパタ羽ばたくことができたのは、大好きなみんなのおかげです。宇宙一ゆはっぴー!」と笑顔を弾けさせ、前田は「これからもたくさんの方に愛していただけるグループになれるように、精いっぱいがんばっていきます」と前を向く。里吉は「言おうとしていたことが、すっかりなくなりました!」と独特の表現で笑いを誘ったのち、「(脳内の)言いたかったことが入っていたところに、うれしかった気持ちとか楽しかった気持ちとか、皆さんが見せてくれる景色が入ってきて、スポンと押し出されちゃったのかな」と感覚的な言葉で補足した。島倉は「この12人のメンバーの中に自分が入れていることが、とても幸せだなと実感しました」と満足げだ。
小林は「3年ちょっと前までは普通の女の子だったので、こういう大きなステージでピアノが弾けるなんて全然想像していなかったんです。本当にBEYOOOOONDSでよかったなって」と感無量の表情を浮かべ、平井は必死で涙をこらえながら「唯一無二のBEYOOOOONDSショー、本当に幸せな時間でした! アンコール(の拍手)も聞けたしね」とグループ初となったアンコールの実現に言及。そして高瀬が「自分に自信を持てるタイプじゃない私がこんなに自信満々になれるのは、紛れもなくBEYOOOOONDSだからです!」とグループ愛をあふれさせると、最後に一岡が「BEYOOOOONDSの物語はまだまだ続くので、推し変とかしないで(笑)、これからも目を離さずにずっと応援していただけたらうれしいです!」と呼びかけた。
会場中が温かなムードに包まれる中、続いて披露されたのは、この日のセットリスト全曲を数秒ずつ立て続けに歌唱するダイジェストメドレーだった。BEYOOOOONDSとしては初の試みで、楽曲を細切れにつないだ結果、必然的にオケはなかばアバンギャルドとも言えるプログレッシブなアレンジに。12人はそんな変則的な構成をものともせず歌いこなしていき、この日披露していない「色とりどり伸びよ!!」(ハロプロ研修生)を紛れ込ませつつ「この曲やってません!」とのセルフツッコミを挟むなど芸の細かさも光った。そしてオーラスには王道感あふれるソウルナンバー「伸びしろ~Beyond the World~」を晴れやかな表情で歌い踊り、会場中の空気をハッピーな成分で満たしていく。今の彼女たちが今できることを一番いい形で徹底的に表現し尽くすべく綿密に構成された武道館公演は、会場中の満ち足りた笑顔に包まれて幕を閉じた。