GRAPEVINEが鳴らす現実と重なり響く言葉たち レアなセットリストで臨んだ『SPRING TOUR』中野サンプラザ公演
終盤らしいスケール感があった「Silverado」、金戸覚のベースが唸った「Shame」はスペイシーに広がり、「阿」はスリリングな演奏が冷笑的な歌詞に凄みを加えた。穏やかな「さみだれ」で場面を転換すると、アグレッシブな演奏になった「その未来」では〈そのまま/見ろ〉と田中が叫び、本編ラストの「Gifted」へ。イントロを立体的に変えながら、この曲でも歌詞が喚起するイメージを田中の歌が体現していた。タイトルが意味する“(誰にも平等に)送られたもの”とは命のことなのだろうか。〈神様が匙投げた〉のはどんな瞬間なのだろう。歌詞を深読みするのは聴き手の勝手だ。
そして、最後にアンコールで歌われた曲は「光について」。メジャーデビュー後、最初のヒット曲だが、今も彼らが歌う〈光〉の起点はここにある。極力落とした照明の中で歌い出し、最後に一気に光が溢れる演出は、未来に向けて放たれた光のように思えた。
このライブのあった夜、作家の村上春樹は自身のラジオ番組『村上RADIO』(TOKYO FM)でこう言った。
「音楽に戦争をやめさせる力はないと思います。でも聴く人に、戦争をやめさせなくちゃいけないという気持ちを起こさせる力はあります」
戦争だけでなく、さまざまなことに対して疑問や気づきを与えるきっかけに、音楽はなり得る。GRAPEVINEの音楽は、まさにそうしたものの1つだと思う。そして、そのためにも楽しんでほしいと思っていることが伝わるライブだった。
■GRAPEVINE「OUR NEW FRUITS」公開中
視聴はこちら
■ライブ情報
『grapevine in a lifetime presents another sky』
7月1日(金) 昭和女子大学人見記念講堂
7月8日(金) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
7月9日(土) 高松festhalle
7月15日(金) Zepp Sapporo
7月17日(日) 仙台PIT
7月22日(金) 広島クラブクアトロ
7月23日(土) 福岡DRUM LOGOS
<チケット>
●オフィシャルファンクラブ先行:
https://fc.grapevineonline.jp
4月4日(月) 12:00~4月12日(火) 23:59
●オフィシャル先行販売:
https://www.grapevineonline.jp/
4月15日(金) 12:00~4月21日(木) 23:59
●一般発売:5月14日(土)
※ポストカードセット付チケットはオフィシャルFCオフィシャルFC「BALLGAG」先行のみの販売