シドが描く“10の愛の物語” アルバム『海辺』先行試聴会にてファンに直接伝えた特別な思い
ゆうや(Dr)は、本アルバムの楽曲を改めて振り返り、「全体的に艶っぽい曲が多い印象です。僕らも19年やってきているので、大人に変わってきていると思う」と、メンバーの内面の進化も実感していると語る。アルバムを制作する中で、シドの最初のアルバム『憐哀-レンアイ-』を作ったときの気持ちを思い出したという明希(Ba)は、「まだ1枚目の新鮮さが僕たちにはたくさん残っているんだとすごく実感できた、最高の1枚です」と自信作であることを明言した。また、「海辺」のレコーディングでは結成当初に買ったベースを使ったと明かすと、「原点に返るっていうわけじゃないけど、『あのベース、今どんな音するのかな』と思って久しぶりに引っ張り出してみたら、すごく味のある音になった」と嬉しそうに話した。
Shinji(Gt)は「海辺」のキーワードである流木に触れ、「流木にはドラマがある。川とか色々なところから流れてきて、段々削り落とされて丸くなって綺麗になる。色々なものにぶつかって角が取れて丸くなっていくのって人間と一緒だなって。僕たちもバンド始めたころは尖ってたけど今は丸くなりました」と、自分たちの人生にも重ねながら話した。
ここでMCの星野が、収録曲「13月」にちなんで「好きな月は何月か」と質問。マオは「12月。クリスマスがあるし、一年頑張ったなと思える」と答えるが、「好きな人の誕生日があるっていうのも……」と意味ありげに続け、12月生まれのゆうやがマオの顔を見つめ、「そうだよね?」と自分のことか確かめる。その様子に笑いながら、「ゆうやくんとは言ってないけどね」とイジるマオ。逆にゆうやは、マオの誕生日である「10月23日が好きです」とピンポイントで答える。この流れを汲んだ明希とShinjiは、「じゃあ僕らは2月だね」と顔を見合わせながら互いの誕生月を答えた。メンバー同士の仲の良さが滲み出たやりとりに、ファン全員がほっこりする時間だった。
最後にマオは、集まったファンへ「今日ここにきて、みんなの顔を定期的に見ておかなきゃ嫌だなって心から思いました。シドは今ツアーをやれずにいるけど、こうやってお互い顔を合わせるだけでも、この試聴会の意味があったと思っています。シドが19年やってこれた証が『海辺』だと思うので、このアルバムをしっかり聴いて、20周年を迎えましょう」とメッセージを送った。
今年1月、マオの喉の不調から当面のライブ活動休止を発表したシド。『海辺』には、今の彼らが伝えたい強い思いがこめられている。その思いが直接ファンに伝えられたこの試聴会は、ファンにとってはもちろん、メンバーにとっても大切な時間になったに違いない。