Nirvana、『ザ・バットマン』劇中歌がバイラルチャート首位に ダークな曲調とフレーズが映画に与えた影響とは?
参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest
Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(3月17日公開:3月10日~3月16日集計分)のTOP10は以下の通り。
1位:Nirvana「Something In The Way - Remastered」
2位:O.A.KLAY「Cinema (feat. Memento Mori & 武蔵)」
3位:Lizabet「Another Day Goes By」
4位:TREASURE「DARARI」
5位:TAEIL「Starlight」
6位:OHAYO「GAL (feat. Shake Pepper & Yvngboi P) [Mixed]」
7位:OHAYO「GAL (feat. Shake Pepper & Yvngboi P)」
8位:Em Beihold「Numb Little Bug」
9位:Michael Giacchino「The Batman」
10位:早稻叽(はやいねちー)「热爱105°C的你(熱愛105℃の君へ)」
今週は1位を飾ったNirvana「Something In The Way」を取り上げる。本曲は、3月11日に日本公開された映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』の劇中歌だ。また、今週9位に『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のサウンドトラックからマイケル・ジアッキーノによるインストゥルメンタル曲「The Badman」もランクインしていることから、映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が大ヒットを記録していること、そして映像と音楽のシンクロ率が非常に高い作品であることもわかる。
アメリカン・コミックスが原作の『バットマン』は、アニメや実写を問わず、これまで幾度となく映像化されてきた。実写映画だけに焦点を当てても、これまで、ティム・バートンやクリストファー・ノーランなど、名だたる名匠が監督を務めている。
映画『バットマン』シリーズが、世界的にヒットした理由は何か。ひとつは、主人公も含め登場キャラクターが魅力的であること。悪役・ジョーカーをベースにした2019年公開の同名サイコサスペンス映画が、R指定映画で初めて世界興行収入10億ドルを突破したことも記憶に新しい。次に、監督や脚本家により、主人公に対する解釈や映像へのアプローチがまったく異なるということ。これは「バットマン」シリーズで描かれるスーパーヒーロー像が、トラディショナルなヒーローのひとつの理想形であり、材料が決まっているからこそ、味付けもしやすく、作品ごとの個性が際立つのだ。現在、大ヒット上映中の『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のマット・リーヴス監督は、主人公のイメージにNirvanaのフロントマンである故カート・コバーンを重ね、「Something In The Way」を聴きながら台本を書いたという(※1)。この言葉から、同曲は作品を完成させるために必要不可欠なファクターだったことがわかる。