今のAKB48は“絶対的センター”がいないから面白い? 大島優子、宮脇咲良ら歴代メンバーの活躍から考える

絶対的センター不在の面白さ

 「NO WAY MAN」は、当時開かれていたオーディション番組『PRODUCE 48』でファイナリストとなり、最終結果2位で日韓混成グループ・IZ*ONEのメンバー入りを果たした宮脇咲良がセンターに。世界へ羽ばたく実力を示し、そして彼女にとってAKB48グループでの活動休止前の最後のシングル曲という背景もあった。同シングルでのセンターは、彼女を華々しく送り出す意味もあったのではないか。

【MV full】NO WAY MAN / AKB48 54th Single[公式]

 続く「ジワるDAYS」(2019年3月発売)も、指原莉乃にとってHKT48在籍最後のシングル曲のセンターポジション。『選抜総選挙』で2015年からの3連覇を含め、計4度の戴冠に輝くなど、前田、大島の卒業後のAKB48グループで絶対的な存在として君臨した。同シングルは、その旅立ちを祝したような形となっており、こちらもメンバー個人の背景を重ねてセンターを任せている。

【MV full】ジワるDAYS / AKB48 55th Single[公式]

 2017年11月に『第3回AKB48グループドラフト会議』で合格し、翌年にお披露目された矢作萌夏は、スピード出世で56thシングルの表題「サステナブル」(2019年9月発売)でセンターに。同曲がリリースされた年は、4月に総監督が横山由依から向井地美音にバトンタッチされるなど、新しいAKB48がスタートした時期。矢作がセンターに選ばれたということは、間違いなく彼女にグループの未来を託す意思があったはず。しかしシングルリリースからわずか1カ月後、『ミライ☆モンスター』(10月27日放送/フジテレビ系)内でまさかの卒業宣言。そのまま矢作は翌年2月4日、AKB48としての活動を終えた。

【MV full】サステナブル / AKB48 56th Single[公式]

 宮脇、指原はその後の進路が予定されていたものだったが、矢作が卒業したことで、立て続けにセンター=はなむけのような形になってしまった。その点で、57thシングル『失恋、ありがとう』ではセンターへの強い憧れを持ち続けていた逸材・山内瑞葵、「根も葉もRumor」ではSTU48との兼任解除によりAKB48一本で勝負をかけることになった岡田奈々という、活動がブレない2人をセンターに持ってきたのは好判断だったように思える。

【MV full】失恋、ありがとう / AKB48 57th Single【公式】

 ただ、大島の先述のコメントのように、近年のAKB48は特に絶対的センターという存在を設けようとはしない。だからこそ、次は誰がセンターになるのかという楽しみが膨らみ、楽曲ごとに放たれる色がはっきりと変わることでよりおもしろくなる。まず、本田がセンターをつとめることで、59thシングルがどんな仕上がりになるのか期待したい。

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