ゴールデンボンバー 鬼龍院翔、バンド仲間や後輩らとの“ゲテモノ”ツアー フリーダムなパフォーマンスに大満腹

鬼龍院翔、“ゲテモノ”ツアーレポ

 続いてはJESTIVAL。鬼龍院からは「あの人がいるからゲテモノツアーになった、世界観が強すぎる」、「戸惑って正解、安心して戸惑ってください」と太鼓判を押されている存在である。

 ステージ中央にはバンドのロゴ入りフラッグが掲げられており、そこに映像が投影される。簡潔に内容を説明すると、忙しい現代人はゆっくり食事をとる時間すらない。ましてや音楽を楽しむ時間なんて、さらに限られている。そんな環境の中で聴かれることなく廃棄される音楽(ここでJESTIVALのYouTube再生数が公開される)。つまり「音楽業界にもSDGsを!」とミュージシャンの持続可能性を訴えているわけだ。切実な問題だし、まったくの正論であるが、のっけから予想外がすぎた。

 華やかなSEが流れる中、顔の大半が覆われた黒いマスクと白装束をまとってクララが登場。大きくシャウトし、1曲目の「ジャンル迷子」を投下。「好きなジャンルから外れたら(リスナーからは)見向きもされませんか?」「ジャンルは超えるものといっても、どこにも属せないと不安になりませんか?」という、やはり切実な状況を吐露した楽曲だ。そして曲が終わると、すかさず観客に「戸惑ってる!」と観客に呼びかけるクララ。

 観客の戸惑いなどお構いなしに「可愛さウイルス」では問答無用で“GLAYチョップ”を煽る。続いてはパリピ感のあるEDMにバンドに対しての想いを綴った「BAND MAGIC」を披露。現状は彼のソロプロジェクトだが、バンド体制になることを想定してJESTIVALという名前にしたという。なお、メンバーはまだいない。観客が返せないのも全く意に介さずコールアンドレスポンスを要求する堂々とした佇まいが印象に残った。

 鬼龍院が彼をリスペクトする気持ちもわかる気がした。キャッチーなメロディ、練られたサウンド、その上で観る者の予想を裏切る屈折したユーモア。スタンスが近いというか、芸風が近いというか、魂の種類が似ているのだ。聴かせるミドルナンバー「左利きの憂鬱」を披露し、MCへ。

 JESTIVALではクララが水を飲む際、観客は拍手するのが定番になっているという。これはソロアイドルのステージで、本人が水を飲む際に無音になってしまうため、その分観客が声援で盛り上げる「オタクの仕事」を、自分のバンドでもやっているとのこと。ひとつアイドルオタク知識が増えた。

 そして、「君たちが100歳まで生きても共感しないであろう曲」という「ボーダーレスボーダーライン」へ。本人いわく「もともとはオタクとアイドルの関係で、イベントで共演して演者同士ってわけにはいかないけど、実はワンチャン狙ってる曲」だそう。たしかにあまり共感できない精神ではある。イントロで「俺はちゃんと格好つけるからな!」と宣言した通り、スタイリッシュなサウンドに乗せて、複雑極まりないオタクの心情を歌い上げた。

 そして「ブラインドコミュニケーション」、「チェキを遺影に」という、やはりオタク精神あふれる曲で会場を大いに盛り上げ、「このご時世でもチェキを撮りたい気持ちは衰えない」と、照明スタッフを呼び込み、ソーシャルディスタンスを保ちチェキ撮影を行った。

 ラストはXジャンプを煽り「We Are X」と絶叫。最後まで愉快な戸惑いが続くJESTIVALの世界観を見せつけ、「X JAPANじゃないですけど。以上、最上級のゲテモノでした!」と常識ある一面を垣間みせながら、その存在感を観客に刻みつけた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる