Who-ya Extended、1stワンマンライブでぶつけたデビューからの思い 『呪術廻戦』『PSYCHO-PASS』などアニメ主題歌も披露

 この日会場に来られなかった観客の事情も受け止めた上で、「どんな選択をしても間違いではない。ただ1つ、声を大にして伝えたいのは、この会場に来るという選択をしてくれた、あなたの気持ち、あなたのその選択を、誰よりも大切に受け止めたい。本当にありがとう」と感謝の気持ちを伝え、デビューからの2年を、「僕らにとっても世界にとっても変化を求められた、特別な2年間だった」と振り返ったWho-ya。その2年間で感じた気持ちが落とし込まれたのが2ndアルバム『WⅡ』であり、収録曲の中でコロナ禍への思いが最も如実なのが「透明な花」だ。

 「ここにいる皆さんの大切な人や物を心に浮かべて聴いてください」とWho-ya。「透明な花」は、ピアノをメインにしたサウンドのバラード。人と人が触れあうことの尊さや平和の脆さを訴えながら、もうこれ以上悲しみが広がらないようにという祈りと共に、優しく手を差し伸べてくれるような楽曲だ。Who-yaは思いを込めるように、目を閉じて最後のロングトーンを響かせた。ジッと静かに聴き入りながら、大切な人と会えなかった辛い日々を思い出したのか、涙しているように見える人もいた。

 終盤は一転、アッパーのナンバーで会場を熱くした。両手でがっちりハンドマイクを握りしめ、体を前後に揺らしながら力強く歌った「Synthetic Sympathy」。「Call My Name」は、シューゲイザーのようなキラキラとしたギターが鳴り響き、Who-yaと観客がお互いにとっての光であることを歌う。もしも声が出せたなら、きっとお互いを呼び合い、コールアンドレスポンスが行われていたことだろう。しかし、今日は会えただけで十分とばかりに、「それはまた今度のお楽しみ」と笑ったWho-ya。そして本編ラストは、「僕らの始まりの曲」と紹介して、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』オープニングテーマ「Q-vism」で締めくくった。会場にはレーザービームだけでなくミラーボールも回り、この日一番の華やかさで観客を楽しませた。

「ステージに立っている時間はすごく不思議で、永遠に続けばいいのにと思うのに気づいたら一瞬で過ぎてしまうんです。これから先、僕たちはたくさんのステージに立ちます。だけど今日の初ワンマンの景色は、ずっと色褪せず僕たちの中に残ります」

 そんなMCのあと、アンコールの最後に歌った「memorized.」は、ピアノをメインにしたサウンドで歌われる、どこかフォークソングを感じさせるようなミディアムバラードだ。出会いの喜び、別れの寂しさ、人生の機微を真っ直ぐ歌ったシンプルな歌詞。そして、Who-ya Extendedの楽曲の中でも珍しくファルセットをほとんど使わず、地声に近い歌声でストレートに歌ったボーカルが胸に突き刺さる。今日という日をまぶたの裏に刻むかのように、目を閉じてピンスポットを浴びながら歌うWho-yaに、最後に観客から大きな拍手が送られた。

 シリアスでダークな世界観、文学的で時にはシニカルさも携えた歌詞。ラウドロックを軸に様々なジャンルを取り込みながら、映画音楽のようなスケール感とドラマ性で聴く者を魅了するサウンド。そして、Who-yaのハイトーンを駆使したパワフルかつ繊細なボーカル。そのどれもが唯一無二で、真っ直ぐ前を見ていると感じた。しかしメシアなどではない。ならば“Guess Who?”。Who-ya Extendedは混迷を来す世界を共に歩む、運命共同体のようなものなのかもしれない。

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