King Gnu、2021年に重ねた進化は次なるフェーズへ 『ミステリと言う勿れ』主題歌「カメレオン」から広がる新しい景色

 そんな怒涛の2021年を経て、2022年最初のアクションとなったのが、月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)主題歌として現在オンエアされている新曲「カメレオン」である。初回放送直前に行われた完成披露試写会に、King Gnuのメンバー4人がサプライズ登場したことも話題となったが、実際にドラマを観て、そのハマりぶりに感動した。田村由美による人気漫画を原作とし、菅田将暉が主演するこのドラマ、作品自体も素晴らしい出来なのだが、菅田演じる主人公・久能整が登場人物に朴訥と語りかけるクライマックスで、スッと「カメレオン」が流れてくるシーンがいい。

 井口の透き通るようなファルセットと、その裏に潜む激しいエモーションが、冷静な語り口の裏側に何かを抱えているような久能のキャラクターと完全にリンクする。作品と真正面から組み合ったような「BOY」とも、作品に寄り添いつつエッジを効かせた「一途」とも違う。作品に、そして主人公のすぐ隣に、スッと佇みながら存在感を放つ「カメレオン」の在り方は、これまで積み重ねてきたタイアップの中で常田が会得してきたものと、King Gnuがバンドとして磨き上げてきたスキルが最もいい形で発揮されたものだと思う。

 圧倒的に美しいメロディに対して、バックのトラックには「泡」にも通ずる緻密なコラージュが施され、ただの美メロバラードとは違う深みを感じさせる。歌詞に漂う物悲しさと切なさが、事件を解決しても決して解き明かされることのない謎の正体を浮き彫りにする。そんな“ただの”美メロバラードではない「カメレオン」が、同じく“ただの”ミステリードラマではない『ミステリと言う勿れ』の主題歌となったことの必然。そして、それが月9ドラマという文字通り“国民的”なポジションで流れることの必然……様々な必然が、この「カメレオン」という楽曲を取り巻いている。

 一連のリリースによって自分たちの音楽性をアップデートしつつ、よりポピュラーな存在になるべくチャレンジを繰り広げてきた2021年を経て、King Gnuの2022年は、その存在を確固たるものにするための“勝負の年”になる。その第一歩として「カメレオン」は、大衆性と先鋭性、安心感と斬新さが常に同居してせめぎ合っているKing Gnuというバンドの基本姿勢を改めて示す楽曲だ。この曲から始まる1年、彼らが見せてくれる新たな景色に全力で期待したい。

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■ドラマ概要
『ミステリと言う勿れ』
毎週月曜日21時~21時54分(フジテレビ系)
・出演者
菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、門脇 麦、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一 他
・原作:『ミステリと言う勿れ』田村由美(小学館『月刊フラワーズ』連載中)
・脚本:相沢友子
・音楽:Ken Arai
・プロデュース:草ヶ谷大輔、熊谷理恵(大映テレビ)
・演出:松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
・主題歌:King Gnu「カメレオン」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
・制作・著作:フジテレビ 第一制作部
【公式HP】https://www.fujitv.co.jp/mystery/
【公式Twitter】https://twitter.com/not_mystery_?s=09
【公式Instagram】https://www.instagram.com/not_mystery_not
©︎田村由美/小学館
©︎フジテレビジョン

『ミステリと言う勿れ』

King Gnu Official HP

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