荻原梓のチャート一刀両断!
King Gnu、初のシングルチャート首位獲得 焦燥感と夢心地ーー人間の愛情を表現する2つの視点
参照:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2022-01-10/
2022年1月10日付のオリコンチャートによると、King Gnu『一途/逆夢』が47,009枚で1位を記録し、なにわ男子『初心LOVE(うぶらぶ)』が9,961枚で2位、Snow Man『Secret Touch』が7,199枚で3位と続いた。年末年始で新作のリリースが少ない中で、King Gnuが自身初のシングル1位を獲得した週となった。
『一途/逆夢』はKing Gnuの4枚目のCDシングル。収録曲はそれぞれ、映画『劇場版 呪術廻戦 0』の主題歌とエンディングテーマ曲で、彼らにとって初のアニメ映画タイアップとなっている。
まず「一途」は、荒々しいバンドサウンドで最後まで疾走していく1曲で、終始掻き鳴らされるソリッドなカッティングギターが印象的。「一途」というタイトルが示す通り、歌詞には〈僕〉が〈あなた〉に対して〈一途に見つめます〉とひたむきに打ち込んでいる様子が歌われているが、ここで描かれているのはいわゆる“一途”という言葉から連想されるような温かく深い愛情ではなく、〈不幸話の背比べ〉〈愛が体を喰いちぎった〉〈喧騒に薪を焚べんだ〉といったフレーズに代表されるように、かなりドライで寒々しい風景だ。一心不乱に弾き狂う鋭利なギターの音色や、吐き捨てるような歌い方、どこか生き急いでいるような救いのない歌詞、あらゆる点に焦燥感が表れており、ひどく騒がしいタッチで表現されている。