BTS「Butter」リミックス以外にも Stray Kids、TWICE、SEVENTEEN……冬曲リリース増加の背景
また、TWICEとSEVENTEENは日本語での冬曲をリリースした。2組とも日本では、音楽番組への出演や大規模なツアーを開催するなど、知名度のある人気グループだ。
TWICEがリリースしたシングル『Doughnut』は、日本オリジナル曲の中では初めてバラードがリード曲の作品だ。TWICE×クリスマスで印象的なのは、2017年冬にリリースしたアルバム『Merry & Happy』とそのリード曲の「Heart Shaker」だろう。当時、元気で健康的、幸福感に満ち溢れていたTWICEは、ここ数年で大人路線へと成長。「Doughnut」では、恋愛に悩む心情を繊細な表現力で実現させた。日本のファンには心地よく思うほど“J-POP感”のある同楽曲だが、サビ前のラップやCメロでのJIHYO(ジヒョ)の歌唱力など、TWICEだからこその歌割が注目ポイントになっている。また、MVでは白銀の世界で踊るメンバーの麗しさに目がいく。代表曲の「What is Love?」をはじめ何かとドレスアップする機会が多いTWICEだが、今回のドレス衣装は儚げな印象を受けた。
SEVENTEENもバラード曲「あいのちから」をリリースした。〈これは白い雪が降っていた日の 僕たちの物語だ〉という台詞から始まる同楽曲は、歌詞の内容をSEVENTEENのメンバーとファンの関係に重ねて聴きたい一曲だろう。寒い冬をSEVENTEENが温めるだけでなく、季節が巡っても一緒にいるという決意が詩的に表現されている。最近は海外進出にも積極的なSEVENTEEN。同楽曲は、そのような目覚ましい成長を支えるファンを癒すプレゼントになっているとも言えるだろう。壮大な世界観で包み込む同楽曲は、SEVENTEEN史上最もロマンティックなのではないだろうか。また、普段はラップを担当するヒップホップチームのメンバーも歌唱に参加し、気持ちのこもった歌声で同楽曲のメッセージ性をさらに引き出している。MVも幻想的な映像に仕上がり、メンバー一人ひとりの魅力が丁寧にアピールされている印象だ。
“恋愛”に偏りがちな冬曲やクリスマスソングでも、活動歴を重ね個性の確立しているグループが歌うことで、いつも以上に差別化できる機会でもあるように感じた。