Little Glee Monster MAYU&かれん、「透明な世界」で届ける新たなリトグリの歌声 激動の2021年も振り返る

 Little Glee Monsterが、CDシングルとしては約1年ぶりとなる『透明な世界』をリリースした。表題曲はアニメ『半妖の夜叉姫』(日本テレビ系)弐の章エンティングテーマとして、すでに10月からオンエア。アニメファンの間でも親しまれている。グループのイメージを一新するような同楽曲について、MAYUとかれんにインタビュー。さらに、4人で回ったツアーを含め、Little Glee Monsterの激動の2021年を振り返ってもらった。(編集部)【記事最後にプレゼント情報あり】

“変化していくことは悪いことじゃないよ”ということが大きなテーマ

ーー新曲「透明な世界」はCDリリースに先駆け、10月からスタートしたテレビアニメ『半妖の夜叉姫』弐の章エンディングテーマとしてオンエアされてきました。このテーマソング担当のお話を最初に聞いたときの、率直な感想は?

MAYU:私は高橋留美子先生の作品がもともと好きで、『犬夜叉』も幼少期から観てきたので、その続編にあたる『半妖の夜叉姫』がオンエアされていることはタイアップが決まる前から知っていたんです。しかも、弐の章のエンディングテーマを私たちが歌うと聞かされて、めちゃくちゃうれしくてテンションが上がりました。

かれん:久しぶりにアニメのテーマソングを歌えることもすごくうれしいですし、私はこのお話をいただいてからアニメを観たんですけど、『犬夜叉』の良さを残しつつ現代チックな部分もあったりして、すごく引き込まれる作品だなと思って。きっとリトグリのファンの皆さんもアニメを好きになってくれるだろうなと思いましたし、アニメファンの方にも「作品とマッチしていい曲だな」と思ってもらえるようにしたいと考えました。

ーー壱の章の終わり方が衝撃的で、弍の章はその続きからだったこともあり初回から手に汗握る展開でしたが、エンディングにこの「透明な世界」が流れるとホッとするような感覚があったんですよ。

MAYU:わかります!

かれん:しかも、アニメのエンディング映像は本編とは違って、主要キャラクターが現代っぽい服装をしていて。それもまた新鮮で引き込まれました。

ーーリトグリがアニメのテーマソングを担当するのは『MIX』での「君に届くまで」以来、2年半ぶりなんですよね。

MAYU:あ、そんな前になるんですか!

ーーこれまでにもいくつかアニメのテーマソングを担当してきましたが、その上で今回のレコーディングでは作品に寄り添うこと以外に、どんなことを意識しましたか?

かれん:いつもは熱く歌い上げるのが皆さんのリトグリに対するイメージだと思うんですけど、それとは打って変わって今回の「透明な世界」ではちょっと引いているというか、儚げに歌うことを意識したので、初めて歌ったときは「こんなに肩の力を抜いて歌っていいんだ」と思いましたし、そういう面でもいつもと違うからこそ声の出し方もこだわって、考えながらレコーディングしました。いい具合に力を抜きながらも感情がしっかり乗っていて、儚さの中にも力強さがある、その塩梅を自分で探しながら完成させることができたと思います。

MAYU:自分の声的にこういう曲調が合っているのかもしれませんが、儚さの中に色っぽさとは違う艶感があるこの曲はすごく歌いやすかったです。私は普段ファルセットを使うことが多いので、そこも活かすことができましたし、本当にこの「透明な世界」というタイトルにぴったりの表現ができたと思っています。

ーー「REUNION」のような新境地的楽曲の延長線上にある、大人の雰囲気の楽曲ですよね。ひんやりしているんだけど冷たいだけではなく、人肌のような温もりも伝わる。また、コード進行がシンプルで、循環するコード進行の繰り返しで構成されていて、そこからもJ-POPというよりも洋楽的な魅力が感じられます。

MAYU:ありがとうございます。私もそう感じています。

ーー「透明な世界」というインパクトの強いタイトルや歌詞を、皆さんはどう解釈しましたか?

MAYU:歌詞はアニメに寄り添った世界観なんですけど、応援歌ではないしもちろん悲しい曲でもない、聴く人それぞれの状況によって捉え方が変わるような歌詞で、“変化していくことは悪いことじゃないよ”ということが大きなテーマなのかなと。変化っていろんな場面にあって、やっぱり最初は恐れてしまったりするんですけど、〈変わり続けていく世界に 恐れないで 繋いで 信じて〉というDメロの歌詞が今のコロナの状況下にも重なりますし、いろんな場面で変化に直面したときに、そのときの自分にフッと溶け込んでくれるような歌詞だと思います。

かれん:本当に綺麗なフレーズが多くて、言葉からも儚さを感じますし、最後の〈照らし出す道標〉というフレーズからも、MAYUが言ってくれたように未来への一筋の光が感じられて、迷いながらもあるべきところにたどり着いていくような感覚を受けました。

ーー聴いていて、無理に背中を押すよりもこの温度感がすごく心地よかったりするのかなと感じました。

MAYU:本当にそうですね。直接的な歌詞ではないんだけど、聴いているうちになんとなく励まされているような印象です。

ーーそのバランスを保つのってすごく難しいと思うんですが、今のリトグリはこういう表現ができるようになったんだと改めて驚かされました。

2人:ありがとうございます!

ーーこの曲、MVも面白い仕上がりですね。

かれん:壮大なものになりましたね(笑)。

Little Glee Monster 『透明な世界』

ーーこのMVはVRアーティストのせきぐちあいみさんとのコラボ作品ですが、あのCGはリアルタイムで処理されたものなんですか?

かれん:私たちはブルーバックの中にいるんですけど、せきぐちさんがリアルタイムで絵を描いてくだったり泡を加えてくださったりするのを、モニターで確認しながら撮影して、最終的な仕上げはその場で撮った実写とVRの画をきれいに合成する形でした。私たちも休憩時間にVRを体験したんですけど、本当に綺麗な世界が広がっていて、この曲の世界観にぴったりだなって。こんなに素敵なアートをリアルタイムで描いてもらえることもなかなかないので、せきぐちさんにも感謝ですし、かなり緻密な微調整を時間をかけて準備してくださったスタッフさんにも感謝しています。

ーーここにこの絵がくるからこの立ち位置と、すべて計算されているわけですね。

かれん:はい。何もない場所で私たちが歌詞をなぞるようなアクションをするんですが、それに対して「立ち位置はこのへんでいいですか?」と個人個人での微調整もあれば、機械的な微調整もあったので本当に大掛かりな撮影でした。本当に素敵な映像作品に仕上がったので、たくさんの方のもとに届いてほしいなと思います。

MAYU:かれんが昔、VRゴーグルを持っていたので借りて遊んだことがあったんですが、そのときの感動を自分たちのMVで体験できて、しかもあんなに素敵な世界観に仕上げていただけたのはうれしかったですし、すごく貴重な体験になりました。

かれん

ーーリトグリはこれまでもいろんなタイプのMVを制作してきましたが、特に今回は映像やその演出が放つ程よい温度感が、楽曲にぴったりだなと思って。

かれん:これまでも「曲だけじゃなくてMVも素敵だね」と周りに言っていただけることが多かったので、今回もそういう作品になっていたらうれしいです。

ーーカップリングには新曲「Hurry up!!」も収録。「透明な世界」とは異なるアップテンポの楽曲で、サウンド的にはEDMの香りもありつつファンクやポップスのテイストも散りばめられていて、そういう作風からもまたひとつ大人になったリトグリという印象を受けました。

かれん:「Hurry up!!」はライブでお客さんと一緒にタオルを回して楽しめるような曲を想定して制作していて。“コロナが明けて純粋に楽しめる日がもうすぐ待っているよ”という意味が歌詞にも込められているので、早くお客さんとこの曲を楽しめる日が来るといいなというワクワク感を込めて、楽しくレコーディングしました。

MAYU:もともと「SAY!!!」とか「Summer Days」みたいにライブで盛り上がれる曲を新たに作りたいねというところからスタートしたので、制作中も完成したイメージがしやすかったです。今までになかったガチガチのラップパートも含まれていて新鮮だったので皆さんの反応が楽しみですね。

かれん:ラップ風のラインはあったけど、こういうガチのラップは今までありそうでなかったですし。

MAYU:ライブではどうなるのか、そこも楽しみにしておいてもらえたら(笑)。

ーーシングルにはさらにカップリング曲として、9月26日に開催された『SPACE SHOWER TV×J:COM Little Glee Monster Precious Live』より「move on」「SPIN」「Waves」のライブ音源が各形態に1曲ずつ収録されています。当日は客席もまるまる使ってライブを行いましたが、ああいう形は初めてでは?

かれん:去年の配信ライブのときにアサヒが客席側に降りてMCをすることはあったんですけど、がっつりフロアを使ってパフォーマンスするのは初めてでした。

ーーそこを含め、無観客公演ならではの演出が随所に用意されていましたよね。

MAYU

MAYU:オープニングの「足跡」では、ステージに降ろされた幕の内側でパフォーマンスしましたが、あれも無観客ならではの演出でしたし。

かれん:まるでMVみたいな映像に仕上がりましたよね。

ーー6月から続いている全国ツアー『Little Glee Monster Live Tour 2020→2021 >BRIGHT NEW WORLD<』の合間に行われたわけですが、ツアー本編とは内容が異なるライブに挑んでみていかがでしたか?

MAYU:セットリストもツアーとは全然違うものになっていて。ツアーって時間が経つにつれて多少は変えていったりはするけど、基本的には同じものをお届けする形なので、このライブは新鮮さがあって楽しかったです。

ーー今作はリトグリにとって1年ぶりのCDシングル作品となります。今年は配信楽曲も複数ありましたが、リトグリにとってシングルというアイテムはどういったものなんでしょうか?

MAYU:リトグリのことを深く知ってもらえるのはやっぱりアルバムだと思うんですけど、手軽に知ってもらえるのがシングルなのかな。と同時に、シングルだからこそ出せる新しい感じとか存在感みたいなものもあるのかなと、私はなんとなく思っていて。この「透明な世界」も今までのシングルにはなかったような作風なので、ファンの方々はもちろんですが、リトグリのことをなんとなく知っているという方にも「こういう感じの曲も歌うんだな」と改めて気づいてもらえるような1枚だと思いますし、アニメのファンの方にも新鮮さを覚えてもらえる内容なのかなと感じています。

かれん:確かに、リトグリのことをちょっと気になっているという方が手に取りやすいのがシングルなのかな。アルバムはボリュームもあるので、これから深く知るためには最適ですが、今回みたいにアニメのテーマソングということで気になった方が手軽に聴くにはちょうどいいと。アニメバージョンの形態もあるので、リトグリファン以外の方も手に取ってもらいやすいのかなと思います。

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