アデル、『30』で表現した“乗り越えようとする強さ” 自他の心を救うセラピーのような作品に

参照:https://spotifycharts.com/regional/global/weekly/latest

 Spotifyの「トップ50(グローバル)」は、世界的に最もストリーミング再生された曲をランク付けしたチャート。本連載では、同チャートを1週間分集計した数値のデータを元に、グローバルな音楽シーンの潮流をお届けする。第10回となる今回は、11月25日公開(11月18日~11月24日集計)のチャートを見つつ、アデルの『30』で表現された感情について考えたい。

『30』が多曲ランクインするなか、ザ・キッド・ラロイ「STAY」が2位をキープ

 1位は先週2位だったアデルの「Easy On Me」がランクイン。トップ20位には、他にもアデルのニューアルバム『30』に収録されている5曲が入っており、今後も順位が上がることが期待されている。また、ザ・キッド・ラロイの「STAY」が2位をキープ。アデルが新作をリリースしたなか、2位をキープしている「STAY」がいかに人気かということが伝わってくる。また、Imagine DragonsとJ.I.Dによる、ゲーム『League Of Legends』のアニメ『Arcane』のオープニング曲「Enemy」が13位にランクアップし、アニメの人気とともに楽曲の人気も広まっている。

The Kid LAROI, Justin Bieber - STAY (Official Video)
Imagine Dragons x J.I.D - Enemy (from the series Arcane League of Legends)

アデル『30』、今年最多の全米週間ユニットを記録

 2021年11月19日にリリースされたアデルの4thアルバム『30』。6年ぶりにリリースされたアデルのアルバムは、発売から4日で今年最多の全米週間ユニットを記録しており、ドレイクの『Certified Lover Boy』が保持していた記録を塗り替えた。(※1)

 『30』はアデルにとって非常にパーソナルなアルバムである。離婚や、母親としての経験が語られており、今までのアデルに比べても、格段とエモーショナルな作品だ。作中にはアデルという人間の様々な側面が描かれており、「みんなのために言いたいことではなく、自分が今聴きたいことをリリックにする」という考えで制作したと語っている(※2)。そのような意味でも、『30』はアデル自身にとってのセラピーとも言える。

 もし全員がTikTokのために音楽を作っているのであれば、誰が私の世代のための音楽を作るの?その役割は私が受ける。自分と同じぐらい生きていて、セラピーを受けている30代や40代に、手を差し伸べることができる人がいるか?(※3 )

 アデルはApple Musicのインタビューにてこのように語った。自身の経験、そして離婚や子育てのなかで渦巻く感情と対面し、自身のポジティブな感情だけではなく、ネガティブな感情も隠すことなく表現している。そのように自分の様々な側面を見つめ直し、歌と言葉としてアウトプットすることによって、音楽を通して自他をセラピーをしていることが伝わってくる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる