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第59回グラミー賞、ビヨンセ対アデルの行方は? 渡辺志保に訊く授賞式への期待

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 第59回グラミー賞授賞式まで、あと1カ月。ビヨンセ対アデルの対決をはじめ、ストリーミングのみで全米ビルボートのトップ10に入ったチャンス・ザ・ラッパーが最優秀新人賞他全7部門に名を連ね、日本人でも坂本龍一の映画『レヴェナント』のサウンド・トラックがノミネートされるなど、様々な点で注目を集めている。

 さらに、授賞式でのパフォーマンスも大きな見所のひとつ。日本でも生中継される同式では、毎年多くのアーティストが世界中に向け、大きなメッセージを訴えかけている。今年はどのような点に着目すると、よりグラミー賞を楽しむことができるのか。HIPHOPやR&Bを中心にアメリカのポップミュージック・シーンに詳しい、音楽ライターの渡辺志保氏に訊いた。

「まず、今年のグラミー賞には、音楽の聴き方は必ずしもフィジカルのCDを買うだけではないという現状が、如実に表れています。リアーナやカニエ・ウエストの作品もそうですし、その最たる例はチャンス・ザ・ラッパーです。これまでに2枚のミックス・テープを出し、3作品目となる『Coloring Book』はApple Musicのストリーミング限定で発表された、評価の高い作品です。これまで正規のアルバムを出していない新人が7部門にノミネートされることはありませんでしたが、今回はストリーミング限定の無料作品も受賞対象にすると、グラミーの委員会もルールを改変しました」

 また、近年では、同性愛や人種差別といった社会的テーマに向き合ったパフォーマンスも話題となっている。

「たとえば2014年にアメリカで世論の論点となっていたトピックのひとつが同性愛者同士の結婚です。その年の授賞式では、マックルモア&ライアン・ルイスが、同性婚がテーマの『Same Love』を披露しました。また去年はケンドリック・ラマーが、黒人の人種差別をプロテストしたパフォーマンスを見せてくれました。ケンドリックが自ら手錠をつけ、黒人男性が囚人服を着て檻の中に閉じ込められるというシーンには、グラミー賞もこれだけ社会的なパフォーマンスを良しとしているんだと気付かされました。さらにその直前に行われた『スーバーボウル』のハーフタイムショーでビヨンセは『Formation』を披露し、全米を巻き込んで人種問題を訴えています。昨年の同時期に二者のパフォーマンスを立て続けに見たことで、衝撃を受けた視聴者は多かったはず。今年も少なからずそういったテーマを踏まえ、授賞式が行われるのではないでしょうか」

 今年度、アメリカをはじめ世界中に大きな衝撃を与えたのは、ドナルド・トランプのアメリカ大統領就任だ。大統領選が行われる前から、多くのアーティストが楽曲を通してメッセージを発していた。同氏は、このことも受賞結果に影響を与えるのではないかと考える。

「見所のひとつは『ビヨンセ対アデル』ですが、今年はオバマが退任し、トランプ政権に突入した直後にグラミー賞が決まります。そういった情勢を考えると、最優秀レコード賞は今のアメリカの民衆の声としてビヨンセが選ばれる可能性が高いのではないでしょうか。さらに彼女が授賞式でこれまで以上のパフォーマンスを見せてくれるとしたら、アメリカのエンターテインメントの持つ力をグラミーが提示するという、意義深いステージになるはずです。とはいえアデルの『Hello』も強力な求心力を持つ曲ですから、最後までどうなるか分かりませんね」

      

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