花譜が大森靖子コラボ曲に重ねた“自分自身”の姿 両者に聞く、「イマジナリーフレンド」制作秘話

花譜×大森靖子メールインタビュー

「イマジナリーフレンド」=音楽を聴いてる自分

【歌ってみた】死神 covered by 花譜

ーーコラボ第二弾は大森靖子さんのコラボ曲「イマジナリーフレンド」です。大森靖子さんから楽曲を提供いただくと聞いた時はどんな気持ちでしたか?

大森:大森靖子さんが前にVTuberの響木アオさんとコラボしているのをテレビで見て「え!!! 大森靖子さんと、Vの世界の方がコラボするのか!!!! すごいな!!!!」と思ったのを思い出しました。その頃にこんな未来は一ミリも予想していなかったので、本当に驚いたし、すごく嬉しかったし、私、歌えるのか?? という不安もあって、渦巻いていました。

ーータイトル「イマジナリーフレンド」について、一般的には“空想上の友達”という意味がありますが、この言葉からどんなことをイメージしますか?

花譜:私は歌うときは自分がその曲の中にいるみたいに思って歌うんですけど、音楽を聴く時は自分を重ねるとかそんなことないなと思っていて。それこそ友達みたいに、自分とちょっと切り離されたところにあって、呼べばいつでも寄り添ってくれるようなイメージなんです。あと、歌の言葉って音に乗るから当たり前に小説とかより文字数が少なくて、その世界の詳細も少ないです。その隙間を埋める自分の想像はやっぱり自分のいいような感じにしがちだなと思っていて、だから「イマジナリーフレンド」を聴いたとき、音楽を聴いてる自分が思い浮かびました。

ーー初めて「イマジナリーフレンド」のデモ音源を聴いた時の感想を教えてください。

花譜:「早朝に上手くログインした」という歌詞があるのですが、私は大森靖子さんの曲を聴きながら登校するのが好きで、どんなに憂鬱な日でも、大森靖子さんの曲を聴くことでやるか〜〜〜〜、一日が始まるぞ!!という気持ちになれるんです! だからこの歌詞を聞いた時、私だ!!ってなって(笑)。

 めちゃくちゃ嬉しくなって、スッとちゃっかり自分を曲の中に想像して、早く歌ってみたい!!!!!! という気持ちでした。

ーー歌詞については余白がたくさんあるというか、受け手によって解釈が変わる歌詞だと感じました。花譜さんは今回の歌詞をどのように捉えていますか?

花譜:特に好きなのが「エラーばっかの人生で花火のあがるお城」と「夢でもできなかったことがリアルに出来るわけない」という歌詞です。ダメダメな自分から逃避するような気持ちで音楽を聴くときに、ああでもいつかここを出なきゃいけない、、、、ってふと我に返ってしまったり。たださみしくなるのが、めちゃくちゃ居心地いい最高の場所だけど、ちょっと孤独な「お城」からの花火で、やっぱり自分からちょっと離れたものを眺めてるって気づいていて、また一人でちょっとさみしくなって、でもやっぱり綺麗だ!っていうのを繰り返す毎日が私は嫌いじゃなくて、大森さんの歌詞を見てそれを思い出せたことが嬉しかったです。

 「夢でもできなかったことが〜」は、無謀に励ますのでなくて、内側から鼓舞してくれる感じがします。べつに夢みてもいーじゃん!!!!!って、自分のこととか未来のこととか考える時の重荷とか怖さとかを超えて楽しくしてくれる歌詞だと思いました!

ーー〈友達ってさ 都合良くね そばに居てくれる人なんだ〉と歌詞にはありますが、花譜さんにとって“友達”とはどんな存在ですか?

花譜:すごく愛しい存在です、、、!!! 大好きです。

ーー大森靖子さんから歌についてのディレクションはありましたか?

花譜:私の解釈で歌わせていただきました…!

ーー歌のメロディに関しては仮歌などを参考にするかと思いますが、歌への感情の込め方や歌の表現方法に関しては、どのように曲と向き合い、作っていきますか?

花譜:曲を聴くと頭に映像を思い浮かべるんですけど、それを頭で流しながら歌って、自分で録ったものを聴いて、ここはもうちょっとこうしたいな、とかこう聴こえて欲しいけど、どうすればそういう声になるかな、っていう試行錯誤を繰り返して、これがいい!!! と思ってから何度か聴き直します。録った当日は完璧!! と思っても次の日聴くとそんな自信はどこへやら…という感じになることもあるので。

ーー花譜さん自身、レコーディングではどんなことを意識しましたか?

花譜:「イマジナリーフレンド」では同時に色んな自分が渦巻いているような、頭がぐるぐるする感じを伝えたかったので、ニュアンスや声の高さを変えて声を重ねました。

 あと、大森靖子さんが「わ」って発音する時に「うぉゎ」って感じになるのがめちゃくちゃ好きで、私もしたい!!!と思って、「リアルに出来る、“わ”けない!」でそれをしたりしました。

ーー楽曲の性質によって様々だとは思いますが、花譜さんが歌う上で共通して大事にしていることはどんなことですか?

花譜:満足いくまで歌うということです!

花譜にとって大森靖子は「絶対安全地帯」

【歌ってみた】ミッドナイト清純異性交遊 covered by 花譜

ーー大森靖子さんの曲と初めて出会った時期やきっかけを教えてください。

花譜:YouTubeで音楽を探すのにめちゃくちゃハマってた時があって、そのとき「死神」に出会いました。たしか高校受験勉強期だったと思います…!

ーー花譜さんが思う大森靖子さんの魅力や好きになった理由を教えてください。

花譜:曲を聴いていると、抱きしめてもらってるような気持ちになります。絶対安全地帯です…! たとえば、人の前で表現できなくて、後で一人になってからじわじわ湧き出てくるかなしさとか怒りとか、私はよくあって。でもあっちにとっては「まだその話してんの?」って感じだし、どこにもぶつけようがなくて、誰にも言えなくて、しおれていきそうなところを、受け止めてくれるような感じです。時に一緒に悲しくなってくれて、時になんで私が泣かなきゃいけないんだ!!!と強気にさせてくれます。あとドキドキとかキラメキとか、忘れかけのものでも、色濃くもっとピカピカに写してくれるような存在です。

 止まること知らずというイメージが強くて、大森靖子さんはぼーっとすることってあるのかな…と思います。どんどんどんどん更新されていくみたいな、愛がめいいっぱいに溢れた世界に、とても憧れています!!!

ーー花譜さんは大森靖子さんの「死神」「ミッドナイト清純異性交遊」「ノスタルジックJ-pop 」をカバーしています。大森靖子さんの曲を歌いたくなる時や聴きたくなる時はどんな時ですか?

花譜:朝学校に着くまで聴くのが好きです。いつも(おい信号!!! まだ変わるんじゃないわよ!!!)となります。わざと遠回りしたりとかします!!

 歌いたくなるときは、ふと頭に浮かんだときです!!!! 授業中にくるとノートに歌詞を書き出しちゃいます。

ーー大森靖子さんの楽曲で特に好きな楽曲や思入れのある楽曲やエピソードを教えてください。

花譜:「死神」、「イミテーションガール」、「Re:Re:Love」がめちゃくちゃ好きです。きっかけも話せるエピソードもないですが、初めて聴いた時からずっと好きです!!!!!

 もう無理かも!!!!!助けてほしい!ってなった時や、気分をめちゃくちゃ良くしたい時に聴く、私だけのプレイリストがあるのですが、それに入れていつも聴いています。

ーー「鏡よ鏡」にしても、「イマジナリーフレンド」にしても、それぞれのアーティストから見た花譜像が曲に反映されていると思います。『組曲』を通して、今まで自覚はしていなかった一面に気付くような瞬間はありますか?

花譜:前に言ったことと少し被りますが、自分がどういうものかようやく客観的に見ることができるようになった気がしていて、そこにはたくさん花譜像があって嬉しいんですけど、じゃあわたしはどこらへんにいるんだろうっていう、地に足つかずな感じはずっとしてて、その状態にちょっと焦るというか、心細いなと思っていました。でも自分と違う!!っていうことがあるからこそ歌う時に取り出して「私この気持ちわかるかも!!!」ってなれることとか、妄想できることが増えるから、自分と他人からみた自分の間の差異があることをそんなに悲観的に捉えなくて良いし、それをたくさん知っていた方が歌うのもずっと楽しくなるじゃないか!!と、『組曲』で書いていただいた楽曲を歌わせていただき感じました。

ーー活動4年目に突入したわけですが、今後アーティストとして挑戦してみたいことと、プライベートで個人的に挑戦したいことをそれぞれ教えてください。

花譜:これも前のことと被りますが今まで歌った事のない英語の曲やラップの曲をみなさんに披露できるくらい歌えるようになりたいです。あとは自分で作った曲をいつか聴いてもらいたいです。個人的には観測者のみなさんともっと交流したいこと、ギターの練習と、自分で旨いご飯を作れるようになりたいです。

ーー花譜さんにとって「歌うこと」は生きがいに近いものと想像します。「歌が好き」という純粋な気持ちはずっとあると思いますが、プロの歌手としてたくさんの人々に感動を届ける中で、「歌うこと」に対して「好き」以上の何かが芽生えるような感覚はありますか?

花譜:歌が上手くなりたい!!! という向上心が強くなりました!!! できることが増えていくのが楽しいです!! 歌以外では自分のダメなところや課題を見つけては打ちひしがれることばかりですが、歌だけは、見つかれば見つかるほどやるぞーーー!!!!!! という気持ちが燃えます。そして、見つけてくれたプロデューサーさんや歌を好いてくれている方やいつもお世話になっている皆さんに恩返しをしたい気持ちは日に日に増しています。

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