Glass Animals、slowthai、Rina Sawayama…今本当に熱いUKアーティストを紹介!【Kaz Skellingtonのディグリントン第2回】

 リアルサウンドでは、アーティスト/音楽ライター/スケーターとして活動するKaz Skellingtonを迎えた洋楽を“digる”新連載「Kaz Skellingtonのディグリントン」をスタート。第2回のテーマは「今熱いUKアーティストは誰だ!?」。

 Spotifyのグローバルチャートでも常連、今年ロングヒット中のGlass Animals「Heat Waves」。楽曲が世界的にヒットしていて、バンドとしても評価すべき彼らの名前を日本で聞く機会が少ないのはもったいない。そこで今回はGlass Animalsと、彼らの出身地であるUKの今熱いアーティストを紹介したい。

【Kaz Skellingtonのディグリントン:第2回】

(1)Glass Animals

 最初に紹介するのは、イギリス・オックスフォード出身のバンド・Glass Animals。2020年リリースの「Heat Waves」が今年の夏からバイラルヒットし、現役グループとしてはイギリス外で最も売れた曲となった。プロデューサーとしても知られるデイヴ・ベイリーが全曲・全アルバムでセルフプロデュースを担当。音楽性としてはインディーロック、サイケデリックポップスとして形容されることが多い。2016年リリースの2ndアルバム『How To Be A Human Being』では、ツアー中に現地で出会った人々にインタビューし、その人物たちについて描いた作品がマーキュリー・プライズ(英国やアイルランドで毎年最も優れたアルバムに対して贈られる音楽に関する賞)にノミネート。コンセプチュアルで文学的な作品を生み出す面白いバンドだ。その後、ドラマーのジョー・シーワードの交通事故をきっかけに、3rdアルバム『Dreamland』以降、デイヴ・ベイリーは身近な経験についても歌うようになる。同作に収められた「Heat Waves」はMVでも失った日々への愛や寂しさを表現している。自身の経験から真実を表現した作風も取り入れたことで、現代のリスナーに響く多くの共感性を生んだのかもしれない。

<オススメ曲>
・「Gooey」
・「Life Itself」
・「Mama's Gun」
・「Your Love (Déjà Vu)」

(2)slowthai

 slowthaiは、アメリカ国外で最も注目されているラッパーの一人。楽曲では労働者階級として育った人へのメッセージをアグレッシブに表現し、常に大きな話題を呼んでいる。1stアルバム『Nothing Great About Britain』では、エリザベス女王やボリス・ジョンソン首相を痛烈に批判するなど自らの強い主張を作品にしている。そのような作風からは想像できないほど明るいキャラクターである彼だが、音楽を聴けばイギリスの70年代パンクムーブメントの精神を現代に引き継ぐ存在であることがわかる。昨今では、パンクムーブメントがラップという形で表現されているのがUKのグライムのムーブメントであり、「グライムこそが新しいパンクだ」と言われることもあるほど。そのグライムのアーティストの中でも常に自分の意見を強く語ってきたのが、slowthaiだ。アルバム『Nothing Great About Britain』はメディアからも高評価を得た作品で、マーキュリー賞にもノミネートされた。slowthaiは例えるならばRage Against the Machineのような勢いを持ち、楽曲に強いメッセージ性を込めているアーティストである。

<オススメ曲>
・「Doorman (feat. Mura Masa & Kwes Darko)」
・「Inglorious (feat. Skepta)」
・「Northampton's Child」
・「Mazza feat A$AP Rocky」

関連記事