日向坂46、力強いパフォーマンスで交わした新たな約束 『全国おひさま化計画 2021』ファイナルでの挑戦と集大成

日向坂46が交わした新たな約束

 日向坂46の全国アリーナツアー『全国おひさま化計画 2021』の千秋楽公演が10月20日、愛知県・日本ガイシホールにて開催された。9月15日の広島公演を皮切りに、全国6都市13公演を回ったこのツアーは日向坂46としては初の全国ツアー。本来は昨年予定されていたものだったが、コロナ禍における情勢を鑑みて中止となり、今年改めて行われることとなった。

 金村美玖&上村ひなのによる影アナを経て、ライブはまずステージを覆う紗幕を通じて『全国おひさま化計画』の全貌が明かされるところから開始。「全国の人たちにハッピーオーラを届けたい」と大きな目標を掲げるメンバーの、「全国のおひさま(ファンの総称)、私たちにちょっと力を分けてくれ!」という魂の叫びを経て、突如「NO WAR in the future 2020」のイントロが会場に鳴り響く。するとメインステージ真向かいの、アリーナ後方に設置されたサブステージに日向坂46のメンバーが姿を現す。ライブの出囃子として定着した「OVERTURE」なしで突如パフォーマンスを開始するのは、彼女たちにとって異例のこと。2つのステージをつなぐ花道に沿って行き来する可動ステージの上で、オープニングから強烈な熱量を放ちながら歌とダンスを届けてくれた。

 メインステージに移動し終えると、キャプテン 佐々木久美が「今日はこの会場だけでなく配信で見てくださっている方もいます。皆さん、ライブがいよいよ始まりますけど、楽しむ準備はできていますか。それではツアーファイナル、スタートです!」と挨拶し、改めて「OVERTURE」からライブが本格的にスタート。紗幕が降ろされると、そこにはメリーゴーランドやゲームコーナー、映画館などが設置されたアミューズメント施設的ステージセットが用意され、その前には早くも衣装を着替えた日向坂46メンバーの姿が。そこから金村をセンターに据えた「青春の馬」で華々しくツアーファイナルの幕開けを飾った。冒頭からサプライズ連発のライブだったが、このような仕掛けは本公演の至るところに用意されており、特にライブ序盤は1曲ごとに衣装替えをするという驚きの展開に。また、曲ごとにステージセットを効果的に活用した演出もあり、「アザトカワイイ」では「Azatokawaii Game」と題したゲームが展開され、「キュン」では森本茉莉&髙橋未来虹を軸にした無声映画風ラブストーリーが繰り広げられたりと、これまでの彼女たちらしいエンタメ精神に溢れたステージが繰り広げられた。

 かと思えば、「My fans」では仮面を付けた佐々木美玲のソロダンスを筆頭にクールなパフォーマンスが展開され、「ドレミソラシド」では曲冒頭で丹生明里の指揮にあわせて森本、髙橋、山口陽世の3人が華麗なダンスを披露。特に「ドレミソラシド」では可動ステージ上でパフォーマンスしている最中にシャボン玉が舞うなど、一瞬たりとも目が離せない演出が続く。そういった楽曲の後に、昨年末の『ひなくり2020 ~おばけホテルと22人のサンタクロース~』の後日談のような朗読劇を高本彩花、丹生、松田好花、渡邉美穂、山口の5人が演じ、宮田愛萌がナレーションで花を添える。そして、序盤の熱量をクールダウンするように「声の足跡」「こんなに好きになっちゃっていいの?」といったミディアムナンバーでしなやかさと力強さを表現。楽曲のバラエティと演出の多彩さ含め、その緩急に富んだ構成は日向坂46がこれまで行ってきたライブの集大成と呼べるようなものだった。

佐々木美玲

 8曲終えると、この日最初の本格的なMCを挟んで、本ツアー恒例のご当地クイズコーナーへ突入。佐々木久美が司会進行を務め、4チームに分かれたメンバーがライブ開催地である愛知県にちなんだクイズで優勝を競い合った。設問ごとに珍回答も飛び出すあたりに、彼女たちの大喜利力の高さを感じることもしばしば。最終的には佐々木美玲、金村、河田陽菜、渡邉によるチームが逆転優勝を果たし、場を和ませた。

 ここからはライブも折り返し地点。聴き手の背中を優しく押してくれるような応援歌「何度でも何度でも」では、初めてセンターに就任した上村が頼もしさを見せる。また、佐々木美玲、河田、濱岸ひより、山口の“みーぱんファミリー”による「酸っぱい自己嫌悪」ではアコースティックベースの穏やかな曲調と4人の歌声とがマッチし、癒しの時間が展開。かと思えば、2期生による「世界にはThank you!が溢れている」では休養中の小坂菜緒に代わり金村&渡邉が先頭に立ち、花道を行進しながら楽曲を届けていく。

 新たな衣装に着替えた1期生によるMCでは、前日夜に起きたハプニングをテーマに笑顔に満ちたトークを展開。その後、「君しか勝たん」に突入すると、観客は来場者に配布されたスティックバルーンを使うことで、リズムを刻んでいく。「君しか勝たん」では加藤史帆が電話ボックスから他の場所へと移動するイリュージョンや、MVを彷彿とさせるついたてを使った演出、回転する円台上でのダンスなど多くの見せ場を用意。さらに、ステージの片隅には「ってか」MVにも登場したトリケラトプスのぬいぐるみも見つけられ、恐竜好きの小坂も一緒だというメンバーやスタッフの思いが伝わった。

 ここまでのピースフルな空気から一変、ダンストラックコーナーではメンバーの動きとバックの映像とがリンクしたパフォーマンスで、メンバー個々の技量、表現力の高さを再認識させた。その流れから「膨大な夢に押し潰されて」へと移ると、3段に高くそびえるステージセットを効果的に使い、力強い歌とダンスを提示する。さらに、「キツネ」「誰よりも高く跳べ!2020」とライブの盛り上げに必須のアップチューンを連発すると、観る側のテンションも急上昇。「誰よりも高く跳べ!2020」終盤の、佐々木久美による「おひさま、跳べ!」でライブの盛り上がりは最高潮に達した。

加藤史帆

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