abingdon boys school×WOWOWオリジナルライブ 前代未聞、飛行場のロケーションで輝いたロックスピリッツ

絶景! 滑走路がステージ!

 「まさにこの曲のように、明けない夜はないと思って、皆さんに思いを届けたい」という、西川のコメントと共に演奏された「From Dusk Till Dawn」と、それに続く「キミノウタ」は、このライブのハイライトになったと言っていいだろう。

 柴崎のキラキラとしたギターが印象的で、曲の根底に流れる温かさと日本語の優しいメッセージが胸に染み渡る「From Dusk Till Dawn」。メンバーに優しい笑顔を向けながら、嬉しそうに演奏に聴き入る西川。すると格納庫の扉が開き、薄暗かった格納庫に明るい陽の光が差し込んだ。その奥に広がる滑走路には、多数のセスナ機がまるでメンバーを出迎えるように並ぶ。まさしく夜明けを表現した演出に、思わず涙がこぼれ落ちる。そして「キミノウタ」は、滑走路にバンドセットを組んで演奏された。「天候も当日にならないと分からないから一か八かではあった。でも滑走路で音を出すのはなかなかできないこと。僕が狙った演出も、より劇的なものになった」(西川)。「キミノウタ」は、皆が手と手を取り合って明日を作ろうと、苦難を乗り越えて立ち上がる前向きな思いを歌った曲。広大な景色の中で演奏する彼らを捉えた空撮は、まるで空を自由に飛ぶ鳥の視点。メンバーの足元に延びる滑走路は、まさしく明日への入り口。勇気とポジティブな思いが、自然と胸に広がった。

 再び格納庫内に戻ると、きらびやかなライティングが用意され、前半の無骨な様子とは一変、まるでライブハウスのようなミニマムな視点へと一気に引き戻される。

 轟音が鳴り響く「As One」、跳ねたビートの「Freedom」、さらに「stay away」と、ノンストップで楽曲が繋がれていく。どんどん跳ね上がる高揚感。ビートに合わせて目まぐるしく切り替わるカット。目の前に観客がいないというのはもはや関係ない。そんな様子で黙々と演奏に没入するメンバーを、多数のカメラが様々な角度から捉える。広角レンズで撮影する演出も施されるなど、画面から音が溢れ出すように臨場感が伝わってきた。

 「楽しくない? 俺、めちゃめちゃ楽しんでます!」と言う西川に、頷いて賛同した一同。「我々は2020年に本当にでかいものを置いてきた気がする。時間はかかるかもしれないけどこの6人(サポートメンバー含め)と皆さんとで、2020年に置いてきた何かを絶対奪い返しにいこうと思う。その時は、またよろしくお願いします。そんな思いを込め、最後に我々のデビュー曲を久々に。マジで久々じゃない(笑)?」という言葉を経て、ラストを飾ったのは、2006年のデビュー曲「INNOCENT SORROW」。痛みと悲しみの底から再び立ち上がる、勇気と希望を歌った曲だ。この曲からまた一緒に始めようぜ! といったメッセージが感じられた。ラウドに響くサウンドの中で、爽快なサビがキラリと光る。高々と手を掲げる西川の合図で、最後の一音が打ち鳴らされライブは終了した。

 全員50代の少年バンド。そこに宿るロックスピリッツは、決して色あせることなく、むしろますます色鮮やかに輝いていた。それを引き出した、前代未聞のロケーション。今しか撮れない、他では絶対見られない、必見のライブプログラムだ。

松井菜穂プロデューサー コメント

 『abingdon boys school JAPAN TOUR 2020 presented by WOWOW』で、一番意識したのが「ミュージックビデオ(MV)ではなくライブを届けること」でした。

 個人的に、MVとライブの違いはフィクションかドキュメントか、だと思っていて、無観客ライブの場合、作り込もうと思えば、納得のいくまで撮り直しをするなど、どこまでも作りこめてしまうのでMVのように仕上げることも可能です。

 ですが、今回は久々に行われるはずだったツアーの代わりに届けるライブ番組だったので、敢えて「ライブ」にこだわり、撮り直しもせず、実際のライブを収録するのと同じように進めました。そのお陰で、あの場の空気感もそのまま届けられたのではないかな、と思っています。

 西川さんのボーカルも、メンバーの皆さんの演奏も、とにかく凄い!そしてかっこいい!そんなスペシャルなアーティストと、飛行場という撮影場所や疾走感のある撮影方法、クールな編集の掛け算で、彼らの魅力を最大限に引き出せたと自負しています。

 待っているabsのファンの方々の期待を上回りたい、そしてWOWOWを通して初めてabsを見た方々にはこんなかっこいいバンドがいるんだ、という驚きを届けたいという気持ちで制作していたので、見終わった後にそんな風に思って頂けると嬉しいです。

■番組情報
『abingdon boys school JAPAN TOUR 2020 presented by WOWOW』
配信期間:2021年10月21日 15時~2021年10月28日 14時59分
https://wod.wowow.co.jp/content/075265

『abingdon boys school JAPAN TOUR 2020 presented by WOWOW Behind the LIVE』
配信期間:2021年10月26日まで
https://wod.wowow.co.jp/content/081848

『abingdon boys school JAPAN TOUR 2020 presented by WOWOW 座談会』
配信期間:2022年3月13日 夜8時まで
https://wod.wowow.co.jp/content/079396

WOWOWオンライン
https://www.wowow.co.jp/

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