JUJU、柔らかな歌声で照らす“ありのままの素晴らしさ” 『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』主題歌が描く2人の物語

 2021年10月期ドラマの放送が続々とスタートしている。今クールは、恋愛モノ、サスペンス、医療系などが揃い、非常にバラエティ豊か。同時に、ドラマのファクターの1つでもある主題歌も完成度が高く、全体的に見応えのあるラインナップとなっている。

 その1つである水曜ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)は、漫画『ヤンキー君と白杖ガール』を原作とする、笑って泣けてジンとくるラブコメディだ。盲学校に通う赤座ユキコ(杉咲花)とヤンキーの黒川森生(杉野遥亮)が、お互いのことを知っていくうちに次第に惹かれ合っていく……というストーリーが繰り広げられる。光と色がぼんやりわかる程度の弱視であるユキコと、喧嘩っ早い不良少年の森生との間には、周囲の反対やライバルの出現など、さまざまなハードルもある。ふたりは目の前に立ちはだかる壁を乗り越えられるのか。その恋の行方に目が離せない! と早くも話題だ。

【恋です!】第1話:ユキコ(杉咲花)と森生(杉野遥亮)「フツウ」の心温まるシーン

 そして、このドラマを盛り上げる主題歌が、JUJUが歌う配信中の新曲「こたえあわせ」。楽曲プロデュースは、JUJU「STAYIN’ ALIVE」のほか、米津玄師、Official髭男dism、SEKAI NO OWARIといった数々の人気アーティストの楽曲提供やアレンジ、プロデュースを行う蔦谷好位置。作詞はJUJU「ミライ」の作詞も手がけている蒼山幸子、作曲はYOSHIHIRO(KEYTONE)が担当している。〈あなた〉という存在によって、自分の気持ちや見える風景が華やぐように変化していく……そんな心情を紡ぐミディアムナンバーだ。

 同曲は、ドラマのクライマックスで流れ、ふたりの恋を鮮やかに彩る。例えばこんなシーン。自分は弱視で“普通”ではないと思っていたユキコ。だが森生もまた、自分は学歴もない不良で誰からも信じてもらえない存在だと感じていた。むしろユキコは“普通の世界”で生きている人で、自分とは住んでいる世界が違う、と吐露するのだ。ユキコにとって、“普通”と言われたことは驚きであり、喜びでもあったに違いない。またある時は、森生が少しでもユキコのことを理解しようと、目隠しをしながら日常の生活を試みる。そんな健気な姿に触れ、ユキコは森生のひたむきな純粋さに気づく、というシーン。さらに、「会いたい」「会えて嬉しい」というお互いの気持ちをそこで確かめ合う。これらは、ふたりが心を通わせていく重要な場面だ。こうした絶妙なタイミングで曲が掛かり、ユキコと森生の距離がぐっと縮まる瞬間を演出している。冒頭の〈連れ出してこのまま 戻る気はないわ/はじめての自由と出掛けたいの/ふたりで〉という歌詞は、いわばユキコの心情そのもの。その思いを体現するJUJUの優しく柔らかな歌声は、ふたりのいる情景を温かく包み込む。曲の世界観も相まって、観ていて微笑ましくなる1コマであり、穏やかな空気感に満たされる。

 ハンデを背負うゆえに傷ついた経験もあり、自分は世間の枠からどこか外れているのでは……という意識。実はユキコと森生は同じ思いを抱えていた。でもだからこそ、お互いに相手を先入観なく受け入れることができるのかもしれない。この曲の〈ずっとはぐれながら/そっと生きてきたから/同じ足音のあなたに気付けた〉という一節は、そんなユキコの胸の内をリアルにあぶり出している。

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