竹内アンナ、初の弾き語りツアーで体感した“日常に触れるという非日常” 名古屋公演をレポート

 〈どんなわたしもわたしなの〉というメッセージが突き刺さる「I My Me Myself」のアレンジには両手放しで歓喜した。今日のライブで何度も覆ってきた「弾き語りという概念」をとうとうテーブルごと引っ繰り返してしまった感じ。歌がメインでも、アコースティックギターがメインでもなく、歌を歌うためのギターでもなく、竹内の凄さはがっつり歌って、全く別軸でギターを弾いている、その2本の軸が同居していることだと思う。そのことをこれでもかと叩きつけたのが「I My Me Myself」だ。ハウスミュージックやエレクトロニカを落とし込んだ「+imagination」や「Free! Free! Free!」のアコースティックアレンジなんて「こんな手法があるんだ」と関心と感心で胸の鼓動が早くなった。このスピード感とスリルを弾き語りで味わえるなんて思ってもいなかった。彼女の武器でもあるラップも「Free! Free! Free!」で思う存分堪能出来るが、ラップパートになると声の印象が大きく変わるのも面白い。きっと彼女は本当に沢山の音楽を世代もジャンルも関係なく聴いてきたのであろう。そこからひとつずつ、面白いものを取り入れて消化して表現する。そうやって生まれた楽曲だからこそ、弾き語りという打ち出し方をするときにも柔軟にその形を変えることが出来るのだと思う。溶けるほどのラブソング「ICE CREAM.」のふり幅だって竹内のポテンシャルの高さのひとつだし、「RIDE ON WEEKEND」の幸福感も音楽の素晴らしさを全身で体現している。

 アンコールでは「ペチュニアの花」「Lovin' Drivin' Darlin'」を披露。鳴り止まない拍手の中、丁寧に頭を下げながら360度取り囲む客席をぐるっと回り、最後はオフマイクでオーディエンスにお礼を言ってステージを後にした。

 音楽の無限の可能性を感じることが出来た竹内アンナの弾き語りツアー。きっと彼女ならエレクトロツアーだって、HIPHOPツアーだって、なんだって自由に出来るはずだから、色々な手段で音楽を楽しむ姿を観てみたいと思った。音楽に壁なんてないこと、全ては全てにおいて自由であることを今回のツアーを通して感じさせてくれた竹内の放つメッセージも音楽も、しっかり受け止めて抱きしめて、誰にも遠慮なく、誰とも比べることなく、音楽を思いっきり楽しみたい。根拠はないけれど、根拠なんかなくたって、時代や世界がどうなったってどう言ったって、音楽にドキドキしていたい。

■セットリスト
『竹内アンナ 弾き語り TOUR 2021 atELIER-アトリエ-』
2021年10月16日(土)名古屋・千種文化小劇場   
1. Sunny day
2. ALRIGHT
3. Ordinary days
4. 20 -TWENTY-
5. No Scrubs
6. SUNKISSed GIRL~Midnight Step
7. TOKYO NITE
8. if you and I were,
9. Love Your Love
10. I My Me Myself
11.  +imagination
12. Free! Free! Free!
13. ICE CREAM.
14. RIDE ON WEEKEND
en1. ペチュニアの花
en2. Lovin' Drivin' Darlin'

公式サイト

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