山下智久「Beautiful World」バイラルチャートに浮上 アンニュイで色気溢れるボーカルの魅力
そして今週5位の「Beautiful World」は、端正なトラックや滑らかなビートなど、ワールドワイドなトレンドを取り入れながらも、ドメスティックなサビの力強いメロディが特徴的なミディアムチューンだ。この“力強いメロディ”を声を張ったり、声量をアップしたりする手法でなく、前半の抑えたボーカルとのメリハリで表現しているところが、山下ならではといえるだろう。吐息のようなニュアンスを効果的に使った、アンニュイな色気も健在である。
作詞は山下本人が手掛けていて、英語と日本語が半々くらいのバランス。言語としての発音の違いもあり、歌うにはかなり難しいバランスだと思うし、場合によっては聴く側も違和感を覚えかねないのだが、そこを見事にクリアしている。これは例えば、国際連続ドラマ『THE HEAD』(Hulu)で全編英語の役に挑むなど、山下がここ数年、海外での活動に力を入れてきた経験が実った結果だろう。それは歌詞にも表れており、メロディに対する言葉の乗せ方の引き出しが非常に多いのだ。特に〈Beautiful beautiful beautiful world〉の一節は、英語とファルセットでなければ成立しない言葉の乗せ方だと思うし、この楽曲の聴きどころでもある。重力から自由に解き放たれたような、新たな予感を感じさせる効果を後押ししている。
山下智久が羽ばたく、否、羽ばたいた。そんな1曲だ。