JO1、Snow Man、THE RAMPAGE、Da-iCE……勢い止まらぬダンス&ボーカルグループシーンの動向、各パフォーマンスから考察
オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』やボーイズグループ発掘オーディション『THE FIRST』が、お茶の間までを巻き込んで注目を集めた2021年。11月にはINIやBE:FIRSTといった前述のオーディション発の2グループ、さらにジャニーズ事務所からも今注目のなにわ男子がデビューするなど、男性ダンス&ボーカルグループシーンが活気付いている昨今。一言でダンス&ボーカルグループといっても見せ方は千差万別だが、今回はその中でも人気と実力を兼ね備え、シーンの勢いを語る上で欠かせないJO1、Snow Man、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE、Da-iCEという4グループのパフォーマンスについて考察しながらシーンの動向を見ていきたい。
JO1
オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』から誕生したJO1は、2020年3月にデビュー。これまでリリースしたほとんどの楽曲が韓国のダンス&ボーカルシーンで活躍するクリエイターたちによって手掛けられているほか、振付もやはり現地で活躍する振付師・ダンサーが担当しているケースが目立つ。デビュー当時、“日本のダンス&ボーカルグループの概念を超えてきた!”と驚きの声が上がったが、ワールドワイドに活躍できるグループを目指して制作された楽曲やパフォーマンスは、確かに国内の他のグループとは趣を異にするものだ。
11人全員がひとかたまりとなって魚群のようにフォーメーションを変えながら、ユニゾンダンスを展開していくパターンが多いが、結成から短期間でデビューを果たしたことを考えると、その驚異的とも言えるシンクロ感がまず目を引く。これはK-POPシーンではポピュラーな“カル群舞” (体を曲げる動きや指先の動きまで、刃物=韓国語で“カル”のように合わせるのが特徴)の影響が大きいのではないかと推察される。デビュー曲の「無限大(INFINITY)」では、万華鏡のようにフォーメーションを変えながらも、1つの生き物を思わせるようなシンクロダンスでリスナーを圧倒。そんなスタイルとは違う、新たなJO1の魅力が開花したと強く感じさせたのは2021年8月発売の「REAL」だ。
楽曲にもよるが、個よりも集団としての見せ方を優先してきた彼らが、この曲では“まだ見ぬ世界で新しい自分と出会う”というテーマで2人1組の「ハグダンス」を披露。1人ずつの魅力がみずみずしくフォーカスされていたのも記憶に新しい。
そしてJO1といえば世界を目指すためにYouTubeでスタートさせた『PROCESS JO1』での様々な企画も話題に。中でも“バズった”のが、ダンスリーダーの川尻蓮と豆原一成が振付を手掛けたAdo「踊」のダンスカバーだ。
メイキング動画では、JO1のレパートリーとは大きく異なる爆発力の高い世界観を体現しようと苦戦するメンバーの表情や、司令塔・川尻を中心に、パフォーマンスをより際立たせるための繊細なカメラワークをスタッフと組み立てていく様子がうかがえる。もともと持っている歌やラップ、ダンスの素養に加えて、総合的なエンタメ力を磨くためのこの企画にメンバーが全力投球する姿はかなり興味深い。
Snow Man
Snow Manは結成自体は2012年とキャリアの長いグループだが、2019年に現在の9人体制となり、2020年1月にアクロバットを組み合わせたダイナミックなダンスで魅了する「D.D.」でメジャーデビュー。近年CDデビューした若手ジャニーズの中でも、メンバーの大半は先輩グループのバックダンサーなどで長くキャリアを積んでおり、曲や場面ごとに踊りのニュアンスを変えながら魅せられる、ダンス職人集団としての側面も持っている。9月29日発売の1stアルバムに収録される「EVOLUTION」でも、中盤のダンスブレイク部分が長めに取られており、彼らのアピールポイントである完成度の高いパフォーマンスをじっくり見せる狙いが感じられる。
人気曲「Grandeur」の振付をEXOやTWICEらを手掛けたチェ・ヨンジュンに依頼するなど、シングルのリード曲は外部の振付師に依頼しているということだが、カップリング曲などでリーダーの岩本照が手掛ける振付には計算された緻密さや、国内外のダンスのトレンドも押さえたエッジー感が漂っている。雑誌『ダンススクエア vol.43』で掲載された岩本とダンサー/振付師として活躍する東京ゲゲゲイのMIKEYとの対談では、彼らのレパートリーでも人気が高い「Crazy F-R-E-S-H Beat」の振付が、首や手などの幾何学的な動きが特徴の東京ゲゲゲイへのリスペクトを込めて作られたものだとも明かしている。
これまでのリリース曲ではヒップホップ要素の強い攻めたダンスのイメージが強いが、舞台でキャリアを重ねていくジャニーズのグループらしく、しっとりとしたジャズなどの要素を採り入れたダンスもお手の物。「KISSIN’ MY LIPS」の椅子を使ったシックなダンスも意外なほどハマっているのではないだろうか。ダンス&ボーカルグループとしての彼らが今後どの次元まで進化していくのか楽しみだ。