BTSとColdplay クリス・マーティン、「My Universe」に至るまでの交流 2020年代グローバルスターに求められるもの

 「Permission to Dance」のミュージックビデオは、どんなに離れていても同じ空の下で私たちは生きているのだと励ましてくれるような映像だった。見た人の心に刻まれた青空を飛んだパープルの風船は、「Permission to Dance Challenge」バージョンのミュージックビデオで宇宙にまで到達している。

BTS (방탄소년단) ‘Permission to Dance’ (Shorts Challenge ver.) MV

 これは、ひとり真っ暗な宇宙空間を漂う宇宙飛行士にまで届くほどに、BTSから放たれたポジティブなエネルギーは、世界中のARMYたちによって増大したということなのかもしれない。誰もが地球上にいたとしても、まるで孤独な宇宙飛行士のような気分になってしまう日がある。

 この宇宙飛行士はARMY1人ひとりであるのと同時に、ARMYによって再びエネルギーをもらったBTSそのものだという見方もできそうだ。あるいは、Coldplayが今年5月にリリースした「Higher Power」の初プレイを、国際宇宙ステーションに搭乗しているフランス人宇宙飛行士とのビデオチャットで実施したことへの目配せになっているかもしれない。

 そう、クリスとBTSの大きな共通点で欠かせないのが、チャーミングさにあるからだ。頼れるリーダーでありながら「破壊神」と呼ばれる一面を兼ね備えたRM。最年長でありながら年下メンバーからのいじりを受け止め「ワールドワイドハンサム」を自称して場を和ませてくれるJIN。ヒリヒリするようなリリックを歌う顔と「おじいちゃん」と言われるほど穏やかな顔を持つSUGA。

 誰よりもダンスへの情熱を持ちながらも、常に大きな愛とスマイルで希望の光を照らし続けるJ-HOPE。ステージの上で見せる妖艶さとメンバーの前で見せるキュートさで魅了するJIMIN。バリトンボイスでうっとりとさせたかと思えば普段の言動はド天然という魅力が底なし沼なV。そして何でもこなす「黄金マンネ」と呼ばれながらも、完璧を求めて悔し涙を流す人間味あふれるJUNG KOOK。

 そんなBTSに対して、クリスもなかなか負けてはいない。BTSとのコラボが噂されていた時期に質問された途端、ヘッドホンが故障して聞こえないフリをして見せて話題になったことも。また、2019年にはトーク番組『エレンの部屋』で思春期の娘が働くアパレルショップにサプライズで訪れたというエピソードを披露。Tシャツを買おうとレジに並んだところ、声を出さずに口だけで「お父さん! 出ていって!」と怒られたという話で笑いを誘っていた。

 どれほど有名になり注目を集める存在になったとしても、人間的な魅力にほっこりとさせられる。彼らが言う「いい人になる努力」こそが、2020年代のグローバルスターに求められる魅力なのかもしれない。そんなポジティブさと、健気さ、そして微笑ましさを持つ2グループが歌う「My Universe」がどのような楽曲になっているのか。手元に届く日が実に待ち遠しい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる