ReN、チャレンジングな姿勢と活動の本質 『ReNBRANDT』が見出す希望の光

ReN、チャレンジングな姿勢

自分が作るべき作品が今回も作れた

ーー今作にはコラボ曲が2曲収録されています。メイジー・ピーターズさんをフィーチャーした「One Last Try (feat. Maisie Peters)」はどのようにして実現したのですか?

ReN:この曲は、デモを作るタイミングでasicsさんのCMに起用されるかもしれないという話をいただいたんです。ちょうどその頃、緊急事態宣言が全国に広がり、オリンピックの開催も危ぶまれるようになって、これまで応援してくれていた人たちも表立って声を出しにくくなったり、それによってアスリートたちもますます孤独な思いをしたりしていた時期で。それって僕らアーティストや、応援してくれているファンのみんなと同じだと思ったんですよ。ライブやフェスに参加することに対し、何か後ろめたい気持ちになっていたというか。そういう人たちに対して、どんな苦境に立たされても諦めずに「これが最後の挑戦(One Last Try)」という気持ちを絶やさずに進んでいこう、というメッセージを込めた曲にしたかったんです。

 曲ができた時、これはアスリートやアーティストだけでなく世界中で困難に立ち向かっている人全てに向けてのメッセージソングになったと思ったので、国境や性別を超えたコラボレーションにしたくて以前から大好きだったメイジー・ピーターズに声をかけました。今回は一緒にスタジオに入ることはできなかったので、Zoomやメールなどでやり取りしながら仕上げていったのですが、優しさと強さを同時に感じさせる彼女の声が入ったことで、この曲のメッセージはより強いものになったと思っています。

ーー「Rainbow (feat. Taka)」は、ONE OK ROCKのTakaさんをフィーチャーした曲ですね。

ReN:Takaさんとは、2017年にONE OK ROCKのツアーでオープニングアクトを務めた時から親しくさせていただいているんですけど、ある時に僕に合いそうな曲があると言って聴かせてくれたのが「Rainbow (feat. Taka)」の原型だったんです。確か2018年だったと思うんですけど、その段階で「こういう曲にしたい」というイメージは浮かんだものの、その時はうまく作品として完成させることが出来なくて。それでしばらく寝かせておいたのですが、今回改めて聴き直してみたらいろんなアイデアがバババーっと浮かんできて。初めてこの曲を聴いたときに頭に浮かんだモノクロの世界を言語化しつつ、大切な人を失った喪失感が最終的に希望へとつながっていくような、まるで一本の映画を見たような気分になる楽曲にしたくて再チャレンジしました。

 出来上がったデモをTakaさんに聴かせたらすごく気に入ってくれて。お互い忙しくて1日しかスタジオに入れなかったんですけど、そこでも少し追加のセッションなどをしながらレコーディングしました。今まであまり出したことがない高いキーだったので、そこにトライできたのも良かったです。

ーー2人の声が、ときに混じり合い、ときにぶつかり合いながらハーモニーを奏でているのが印象的です。

ReN:おっしゃるように、2人の声の配分はものすごく考えました。歌う場所も変えてみたり、ハーモニーもその場で考えたりしたんですけど、程よい緊張感を醸し出すことが出来たかなと思っています。

ーー「あーあ。」はライブでも披露していた曲ですよね。

ReN:ギターを爪弾きながらふと浮かんできたのが「あーあ。」という言葉で、そこから女性目線で歌ってみようと思って作った曲です。好きな人の前だと、つい背伸びをしてしまう女性の気持ちを歌った曲なんですけど、思っていた以上に多くの方から反響をいただきましたね。作っている時は、もっとドラマティックな歌詞にしてサウンドも厚めにするアイデアもあったのですが、最初にイメージしていたような、肩の力を抜いた聴き手の感情を投影しやすいシンプルなアレンジに仕上げて正解だったと思いますね。すごく気に入っている曲です。

ーー架空の女性キャラクターを設定したというよりは、ReNさんの中にある「女性性」と向き合ったような曲に感じますね。

ReN:赤裸々に言うとそうなんだと思います。きっと僕だけじゃなくて、世の中の男性は少なからず持っているものなのかなとも思うし。

ーーそう思います。だからこそ、リアリティがあるのかなと。

ReN:ありがとうございます。そう言われるとすごく恥ずかしいんですけどね(笑)。

ーー「Teenage Dreamers」は疾走感あふれる、ライブで映えそうなロックチューンですね。

ReN:これも今までの僕の曲にはなかったバンドサウンドに仕上がりました。歌詞も、僕の中にある悔しさやもどかしさを思い切りぶつけた曲で、誰がどう受け取って、どう言われようがかまわないと思えるくらい、自分自身を色濃く反映させることが出来ましたね。10代の時に感じていた思いは僕自身今も何も変わってないんですけど、やっぱりいろんな知恵がついたり、邪念が増えたりして、昔持っていた根拠のない自信みたいなものは放っておくとなくなってしまう。それに気づかずに大人になってしまう人もいるけど、僕自身は絶対そうなりたくないし、今も追いかけている夢があるので、10代の頃と同じ気持ちでこれからも夢に向かって走り続けたいという決意表明のような楽曲でもありますね。

ーーアルバムを作り終えて今はどんな気持ちですか?

ReN:ドキドキしています(笑)。自信はあるんですけど、聴いた人がどう捉えるかはそれぞれの感覚だと思うので。でも、自分が作るべき作品が今回も作れたし、現時点では最高傑作になったので、「次はこうしたい」というビジョンも明確に出てきたという意味では、振り返った時に大きな通過点となるアルバムになったとも思っています。

ーー最後に、10月から始まる『ReNBRANDT Tour』への意気込みを聞かせてください。

ReN:今回こそは無事に開催して、新しい楽曲たち、新しいライブ、新しくなった僕をとにかく早く見せたいです。記憶に残るようなライブを今回もしっかりやりたいし、アルバムを作ったから「はい、完成」ではなくて。ライブを通して「答え合わせ」が出来たらいいなと思っています。

■リリース情報
『ReNBRANDT』
発売:2021年9月8日(水)
https://ren.lnk.to/ReNBRANDTAW
収録曲
1.City Lights
2.Running Forward
3.Can’t get enough of you
4.One Last Try (feat. Maisie Peters)
5.あーあ。
6.Rainbow (feat. Taka)
7.Laid back
8.Don’t Let Go
9.アナログの空
10.Teenage Dreamers
11.We’ll be fine

■ツアー情報
『ReNBRANDT Tour』
10月22日(金)札幌cube garden
10月24日(日)仙台 darwin
11月5日(金)鹿児島 CAPARVO HALL
11月7日(日)福岡 DRUM LOGOS
11月14日(日)広島 CLUB QUATTRO
12月3日(金)名古屋 BOTTOM LINE
12月23日(木)東京 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
12月25日(土)大阪 サンケイホールブリーゼ

オフィシャルサイト
http://ren-net.com/

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