ReN、チャレンジングな姿勢と活動の本質 『ReNBRANDT』が見出す希望の光

ReN、チャレンジングな姿勢

 シンガーソングライターのReNが、通算3枚目のアルバム『ReNBRANDT』をリリースした。先行シングル「We’ll be fine」や「Running Forward」を含む本作は、コロナ禍によるステイホーム期間中に書かれた楽曲が並ぶ。雲の隙間から太陽の光が差し込む現象「レンブラント光線」を意味するタイトルが象徴するように、先の見えない日々を生きる人たちに「希望の光」を届けたいという強い思いが刻まれたメッセージソングから、好きな人の前でつい背伸びをしてしまう気持ちを綴ったラブソングまで、今のReNの「等身大」がぎっしりと詰まった意欲作だ。これまでリアルサウンドでは、世界の様相が一変してしまったコロナ禍においてReNが何を大切にしてきたのか、あるいは何を変化させてきたのか、ことあるごとに聞いてきた。こうしてアルバムが完成した今、彼の目の前にはどんな景色が広がっているのだろうか。様々な議論を呼んだ『FUJI ROCK FESTIVAL‘21(以下、フジロック)』から帰ってきたばかりのReNに話を聞いた。(黒田隆憲)

自分が目指している方向へ、少しでも近づけるように

ーー先週末はフジロックだったんですよね、お疲れさまでした。

ReN:ありがとうございます。

ーー今回、参加してみていかがでしたか?

ReN:いろいろな意味でイレギュラーでしたよね。コロナ禍での開催ということで賛否両論ありましたし、参加している人全員が100パーセント楽しめるような空気感ではなかったのは事実です。ただ僕個人としては、こういう時こそ音楽を鳴らし続けるべきだと思うし、参加できてよかったなと思っていますね。

ーー入場者数も大幅に減らし、感染予防対策も万全の体制で行われたそうですが、実際の苗場はどんな雰囲気だったのでしょうか。

ReN:確かにルールはいつもよりも厳しかったですよね。酒類はもちろん飲めないし、ソーシャルディスタンスを保ちながら声も出さずに観なければならない状況は、結構大変だったと思います。でも、その中で迷惑をかけずに「音楽を楽しもう」と思っている人ばかりだったし、僕が見た限りでは何か残念な行為をしているような人は一人もいませんでしたね。本当に音楽が好きな人たちが、覚悟を持って参加しているのだろうなと。

ーーライブ自体も満足のいく内容になりましたか?

ReN:はい。フジロックに関しては思い入れがすごく強くあって。初参加は2015年、「木道亭」という場所で歌わせてもらったんですけど、やっぱりフジロックは音楽好きの耳の肥えたリスナーがたくさんいるフェスだから、その時はものすごく緊張したのを覚えています。今回、歌詞が飛んでしまうなどハプニングもあったのですが(笑)、演奏していると人が集まってくるフェスならではの雰囲気も久しぶりに味わうことができて、すごく嬉しかったし達成感がありました。

ーーでは今作『ReNBRANDT』についてお聞きしていきます。これまでコロナ禍でシングルをリリースして来られましたが、アルバムを意識し始めたのはいつ頃からですか?

ReN:コロナ禍になって活動の状況がどんどん変わっていき、コロナ禍の前に考えていた計画を一旦リセットしなければならなくなって。自分が書きためていた曲や、未完成のまま寝かせておいた曲などを、この期間に完成させようというモードになったんですね。その辺りから徐々にアルバムのことも意識するようになったのだと思います。今回、自分の中ではチャレンジングな曲も多く、とにかく時間もたっぷりある中で自分と向き合いながらいいものを作ろうと。今年の頭くらいにはアルバム半分くらいの楽曲数が揃い、そこからは全体を通して聴いた時に「こういう曲が足りないかな」みたいな感じで埋めていく作業をしていました。

ーー先行シングル「We’ll be fine」や「Running Forward」は、コロナ禍で世界の情勢も刻々と変化していく中、ReNさんのその時に感じていた率直な想いが込められていると感じました。実際にアルバムとして全11曲をまとめてみたときに、新たに浮かび上がってきたテーマやコンセプトなどはありますか?

ReN:まずタイトルの『ReNBRANDT』ですが、これは実は結構前からいつか付けたいと思っていたんです。レンブラントは画家の名前ですが、雲の切れ間から光が差し込む現象のことを、彼の名を取り「レンブラント光線」と呼ぶことを知って、すごくいいフレーズだなと思ったんですよね。自分が作ってきた楽曲や、ライブパフォーマンスの本質にあるもの、目指していることは、この「レンブラント」という言葉がしっくりくるなと。コロナ禍でみんなすごく苦しい思いをしているし、僕自身ももちろんそうなんですけど、時がすぎたときに「あのときはただマイナスだったな」としか思えない時期にはしたくなくて。この期間に、自分が目指している方向へ、少しでも近づけるようにしたいと思っていたから、それを今作のテーマにしました。

ーーアルバムは、車に乗り込むSEが印象的な「City Lights」から始まります。

ReN:この曲は最初からアルバムの1曲目にしたいと思っていました。僕自身、車に乗っているときに音楽を聴くのが大好きなんですよ。景色が移り変わっていくのを眺めながら、外の音と混ぜて聴く音楽も格別で、ドライブは自分にとって欠かせない楽しみの一つなので、自ずとそういう要素が入ってきてしまうのかも(笑)。実際、アルバムが完成したときにはまず車の中で聴いてみましたね。それと、この曲はシンセを大々的にフィーチャーするなど、今まで僕がトライしたことのないサウンドにも挑戦しています。強いてあげれば以前作った「Shake Your Body」もそうですが、80’sのディスコチューンあたりに影響を受けたサウンドというか。最近だとChvrchesとか、映画『ドライヴ』の挿入歌にもなったElectric YouthとCollegeの「A Real Hero」とか以前から大好きな世界観で、いつかやってみたかったんですよね。

ーー昼間の爽やかなドライブというよりは、夜の濃密な空気を纏ったドライブというイメージですよね。

ReN:僕がドライブをするときは夜が多いので、そのイメージが曲の空気感にも反映されているんでしょうね。ただ、自分は気分が乗っていると、ついついいろんな要素を足したくなってしまいがちで、周りの人たちから「ストップ!」と言われることが多くて(笑)。とりあえずいけるところまでいって、そこから引き算していくやり方を今回は取りました。それって時間がないとなかなか出来ないことですが、さっきも言ったように今回は時間がたっぷりあったので、気が済むまでやり切りましたね。

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる