スフィア、TrySail、イヤホンズ……女性声優ユニットラジオ、キャラクター活かしたトークの面白さ

  声優とラジオの関係性というのは、以前男性声優ラジオの紹介記事(※1)で書いたように、非常に濃密かつ重要な立ち位置にある。

 声優はラジオから始まった。ラジオというメディアがなければ、自らの声を用いた声優という職能は今のようにはならなかった可能性もあり得るのだ。

 かつては1967年よりスタートした『パックインミュージック』(TBSラジオ)にて、声優の野沢那智と白石冬美が木曜深夜のパーソナリティとして参加したほか、90年代には第三次女性声優ブームの影響を受けて、日髙のり子、林原めぐみらをパーソナリティに迎えた番組が各局で放送され人気を博した。

 その勢いは衰えることなく、アニメ・ゲーム・声優関連の番組を中心にした放送枠が生まれ、さらにはネット配信というフォーマットも加わったこともあり、これまで住んでいる地域によっては番組を聴くことすらできなかったアニメファンや声優ファンにも認知されていったのだ。

 そういったバックグランドもあり、2021年のいまでは多くの声優ラジオが展開されているが、今回は女性声優ラジオ、とりわけユニットとして活動しているスフィア、TrySail、イヤホンズの番組に注目していく。

スフィア『10s』(通常盤)

 2009年よりスタートしたスフィアの『Pl@net Sphere』は、ある種の過渡期のなかで始まったウェブラジオだ。寿美菜子、高垣彩陽、戸松遥、豊崎愛生によるスフィアにとって、当時はまだ結成して1カ月ほどのタイミングであったため、プレッシャーを感じることも多かったはず。

 その後、4人それぞれがソロでラジオ番組を担当するようになるなど、番組のメインMCとなって会話を回す力を養った結果、『Pl@net Sphere』でも4人のキャラクターを活かしたコントのようなトーク劇や、個々の趣味嗜好にフォーカスを合わせた話題でも盛り上がりを生み出せるようになっていく。

 加えて、2011年から2017年にかけて、ニッポン放送にて『スフィアのオールナイトニッポンR』を担当し、よりコメディに寄せたトーク力を発揮。ボケ続ける高垣・戸松・寿に、豊崎が少々呆れ気味でツッコみ場を進めていくという流れは、スフィアのライブMCや劇中劇にも活かされるようになり、定番となっていった。

 『Pl@net Sphere』はミュージックレイン内の特設サイトで配信中で(※2)、今年で12年目を迎えている。2020年春から寿がロンドン留学中、加えてコロナ禍ということもあり、ここ最近はリモートにて収録されているが、2021年8月25日の配信では「久しぶりの再会はありましたか?」というハガキ紹介から、自身らと関わったことのある声優やスタッフとの再会にまつわるエピソードを披露していた。

TrySailのTRYangle harmony 第399回【曲カット版・ 2週間限定公開】

 スフィアの後輩にあたるTrySailもまた、自らのラジオ番組『TrySailのTRYangle harmony』(ニコニコ動画)を2014年から現在に至るまで放送中(※3)。TrySailの場合、同番組を通してファンに自分たちのパーソナリティを知ってもらえたという部分も大きいだろう。クールそうな印象とは裏腹に、少々ズボラで騒ぎがちな雨宮天、夢中になってトークをしているとリスナーどころか共演相手をも魅了してしまう麻倉もも、そんな自由にトークする2人をバチっとまとめる、最年少でしっかり者の夏川椎菜。そんな3人の役回りを知ることで、よりTrySailに興味を持ったという人もいるのではないだろうか。

 2018年7月からは『MOMO・SORA・SHIINA Talking Box』(文化放送)もスタート。3人が週替わり形式でラジオを受け持つようになり、より個々人の話を深く聞くことができる番組として好評だ。

 8月21日には『TrySailのTRYangle harmony』の放送400回を記念したイベント『TrySailのTRYangle harmony 番組イベント2021〜Thank you 400〜』にて公開収録が行われ、8月28日に誕生日を迎える雨宮天をサプライズでお祝いしていた。「最近じゃTrySailのメイキング映像とかでも、私がグズってるところが流れるようになったよね?」とスタッフからの扱いの変化について指摘したり、「居酒屋で焼き鳥一品しか頼めないなら?」というトークテーマに熱くなったりと、ファンと同じ市井の人な表情を見せる。ラジオを通し、徐々に自然体な姿を見せていくTrySailの3人。今後どんな一面を見せてくれるか楽しみだ。

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