Netflixドラマ『わかっていても』を彩る音楽 『愛の不時着』『トッケビ』……名ドラマには名OSTあり?

 Netflixで配信中の韓流ドラマ『わかっていても』が大人気だ。日本では以前から韓国発の恋愛ドラマが注目を集めることが多かったが、『わかっていても』も名作ドラマと名を連ねる勢いである。特に若い世代からの支持が厚い同作品は、これまでの韓流ドラマと様々な相違点が見受けられる。

J.UNA「Butterfly」

 『わかっていても』は題名の通り、王道のロマンティックな恋物語ではなく、好きになっても幸せになれない“ダメ男”であるジェオン(ソン・ガン)にナビ(ハン・ソヒ)が自ら惹かれてしまうという展開だ。そのため、物語では恋愛で沢山傷つくナビに対して憧れを抱く感情はあまり湧かないだろう。しかし、『わかっていても』は、このリアリティ溢れるストーリー設定が醍醐味となっている。これはSNSの普及により他人の恋愛体験を目にする機会が増えたからこそ、同作品も“主人公の青春エピソード”として視聴者の関心を引いているのではないだろうか。ハッピーエンドが予想できないことから今後の展開にも数々の選択肢を想定させ、目が離せないのだろう。相手役のジェオンは本作品では主人公を翻弄する悪い男でありながらも、そのビジュアルも相まって「好きになっても仕方がない」と感情移入する視聴者が多いようだ。ジェオン役のソン・ガンは本作品の他にも『恋するアプリ Love Alarm』などNetflixオリジナルシリーズをはじめとする映像作品に多数出演しており、韓国では“Netflixの息子”と呼ばれるほどでもあるから、要チェックだ。

 韓国ドラマといえばオリジナルサウンドトラック(以下、OST)も人気であるが、『わかっていても』のOSTもドラマの世界観を忠実に表現している。同作品では、蝶がキーワードの一つとなっている。ジェオンの首の後ろのタトゥーが蝶であることをはじめ、ナビにとってジェオンが「掴めそうで掴めない美しいもの」であるという関係性ともリンクしているためだ。今回OSTとして採用されているJ.UNAの「Butterfly」は、恋愛に対する緊張感と学生の爽やかさという二面性が絶妙に表現されている。様々な登場人物の心情が交わり、複雑な物語構成になっている同作品を、「どんなに愛を誓っても、蝶のように君はどこかへいってしまうんだろう」というメッセージでまとめているのも印象深い。また、KIMMUSEUMの「We're Already」は、Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」で首位になるほどの人気ぶりだ。恋愛ドラマの甘い雰囲気で包まれる楽曲ながらも切なさを感じさせる歌詞を聴くと、ナビのように胸を締め付けられる感覚になるだろう。

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