ライブBlu-ray&DVD『“Where‘s My Yoyogi?” at Makuhari & Documentary』インタビュー

[Alexandros]、10周年を経て新たなステージへ ライブに対する自信、変化することの大切さを明かす

 ニューシングル『閃光』(映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』主題歌)がロングヒットを記録中の[Alexandros]がライブBlu-ray&DVD『“Where‘s My Yoyogi?” at Makuhari & Documentary』をリリースした。

 今年3月に発売されたベストアルバム『Where’s My History?』を携え、幕張メッセ国際展示場9〜11ホールで開催された『[Alexandros] 10th ANNIVERSARY LIVE at 国立代々木競技場 第一体育館 “Where’s My Yoyogi?”』2days公演の2日目の模様を完全収録。10年に及ぶバンドの歴史、そして、11年目に向かう決意を感じさせるステージはまさに圧巻だ。庄村聡泰(Dr)の“勇退”公演でもあったこの記念すべきライブについて、メンバーの川上洋平(Vo/Gt)、磯部寛之(Ba/Cho)、白井眞輝(Gt)、リアド偉武(Dr)に聞いた。(森朋之)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

『ガンダム』映画主題歌を担当して叶った“夢”

川上洋平

ーーまずはヒット中の「閃光」の手応えについて聞かせてもらえますか?

磯部:数字(CDの売り上げ、ストリーミングの再生数など)は聞いていて。MVもかなり観られてるみたいだし、嬉しいですね。映画(『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』)も順調だし、何よりだなと。『ガンダム』から入って我々のことを知ってくれる人も多いし、自分たちのファンが『ガンダム』に興味を持つこともかなりあるみたいで。“これぞタイアップの意義”じゃないですけど、いい作用が起こせているのかなと。ちょうどベストも出たし、このタイミングで初めて[Alexandros]のことを知った人には、どんどん聴いてほしいですね。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』Ⓒ創通・サンライズ

リアド:本来は『閃光』のリリースと同時に映画が公開される予定だったんですけど、状況が変わって、結果的に曲が先に出て。MVも観てもらって、みなさんにしっかり曲を知ってもらった時期に映画が公開されて、さらに盛り上がってもらえたのは良かったのかなと。

白井:「閃光」を使ってファンの人たちが作った動画も結構アップされていて、よく観てます。今の時代、好きなように遊んでくれたらいいと思うし、自分たちもけっこう楽しんでるので。

川上:そう、自由に楽しんでもらえたらいいかなって。面白い動画を見つけると、すぐにメンバーに教えてます(笑)。

ーーシングルの完全生産限定盤に付いていた、[Alexandros]オリジナル・ガンプラも話題になりました。ボディにRX-RECORDSのロゴがプリントされている特別仕様で。

川上:メンバーとチーフマネージャーが、デザインに関わってるんですよ。

磯部:ボディの配色とかね。マネージャーが『ガンダム』の大ファンで。

白井:“RX-RECORDS”([Alexandros]が所属するレーベル)のロゴが入ってるんです。

川上:そもそも“RX”ってガンダムの型番で、レーベル名もそこから取ってるので。ずっと前から「『ガンダム』の仕事ができたらいいね」と言っていたし、“夢が叶った”みたいなところもあるのかなと。子どもの頃に『ガンダム』を好きになって、自分のレーベルに“RX”って名前を付けて、その何年か後に、『ガンダム』の映画の主題歌をやって。夢があるなと思いますね。好きなものを好きって素直に言えるのって、素敵じゃないですか。

[Alexandros] - 閃光 (MV)

ーー本当ですよね。みなさんも10代の頃にロックやバンドと出会って、その時の気持ちを持ったまま、今ここにいると思いますが。

磯部:そうですね。幸せなことだなと思います。

リアド:バンドを好きになったときの気持ちはずっと残っているし、最近、そのことを改めて感じてるんですよ。まだ正式加入してからそんなに時間が経ってないんですけど、今ツアーを回っている最中で、メンバーとグルーヴを合わせたり、話し合いながら少しずつ良くなってきて。ロックバンドは人間同士がやっていて、すごく歪(いびつ)なんですよね。単なる演奏隊ではないし、上手ければいいってものでもないし、もちろんヘタでもダメで。どこにも正解がなくて、全員で手探りしながらカッコいい音を追い求めて。改めて「バンドはおもしろいな」と感じてますね。

音楽や楽器に向き合う時間は増えている

磯部寛之

ーー全国ツアー『ALEATORIC TOMATO Tour 2021』、終盤ですね(このインタビューは7月中旬に行われた)。

川上:そうですね。あとは札幌と大阪だけで。10月に横アリと武道館でライブがあるんですけど、そこがこのツアーのファイナルだと思ってます。今もすごくいい感じだし、順調ですね。

磯部:うん。ツアーの途中からさらにいい感じになったんですよ。セットリストも熟してきたし、さっきリアドが話してたバンド感みたいなものも、ここ何公演かもっと上がってきて。やればやるほど良くなるし、とにかく楽しいから、ずっとツアーをやっていたいテンションです(笑)。

ーーツアーの途中でさらにバンドの状態が良くなったのは、何かきっかけがあったんですか?

磯部:どうすればもっと良くなるかという話は常々しているし、それはもう何年も続いていることなので。「ここを変えよう」という具体的なこともあるし、もっと大きいビジョンのこともあるんですけどね。今回のツアーに関しては、リアドが正式に加入して初めてのツアーというのも大きいと思います。サポートとして2年くらい叩いてもらってたんですけど、4人のメンバーとしてツアーを回ることで、さらに良くなってるというか。

ーー全国のファンに向けて、改めて「この4人でやっていきます」と示すツアーでもあるんですね。

リアド偉武

リアド:そうですね。サポートとしても、全国ツアーはやってなかったんですよ。アジアツアーや九州ツアーはあったけど。

川上:あ、確かに。

リアド:なのでツアーが始まったときは新鮮でしたね。今の状況だと、ツアーをやれること自体が奇跡と言っても過言ではないし、こうやって回れてることが不思議な感じもあって。「はじめまして」という気持ちもあるし、いろんな思いを抱えながらやってます。

ーー白井さんはどうですか? 今のツアーの手応えについて。

白井:そうですね……。コロナ禍になってからだいぶ長い時間が経ちましたけど、我々は他のバンドに比べると、かなりライブをやっている方だと思うんですよ。コロナ禍におけるライブにも慣れてきたし、バンドとして熟してきた感じもありますね。以前のようにお客さんと対決するようなライブができない分ーーお客さんは声が出せないですからねーーステージ上でも音楽と向き合っている感覚があるというか。自分たちの演奏をさらに磨いて、それを観てもらうというのかな。いいことだと思います。

ーーなるほど。自分自身の演奏のハードルも上げてるんですか?

白井:そうですね。さっき話してた「バンドを始めた頃の気持ち」にもつながるんですけど、20年前、ギターを弾き始めた頃みたいに練習に没頭することも増えていて。気付いたら4時間くらい経ってて、「手首痛いけど、もうちょっと弾こうかな」みたいなこともあるんですよ。今はいろいろ制限があるし、そういうことに使う時間が増えてるんですよね。

白井眞輝

磯部:確かに音楽や楽器に向き合う時間は増えているし、意識してることを実現する力も付いてきてると思います。自分の場合は、もっとカッコ良くあるために想像する時間がいちばん大事だったりするんですけどね。

ーー理想の自分をイメージするというか。

磯部:そうですね。それはコロナに関係なく、ずっとやってます。ライブができなかった時期も、(ステージに立つ自分のイメージを)忘れないようにしていて。そういう意味でも、今ライブがやれているのは最高ですね。

ーー川上さんも、ライブにおける[Alexandros]の変化を感じてますか?

川上:いや、特に感じてないですね。演出においては照明、映像、音の合致を強化したんですけど、パフォーマンスはこれまでと同じようにやってるので。お客さんが声を出せないことも、あまり意識していないんですよ。それよりも、ライブの前の準備が好きなんですよ(笑)。今回のツアーもそうだけど、完成の形が見えてきたら、セットリストや演出をすぐに変えたくなって、そのために準備して。惰性になるのがイヤなんです、とにかく。

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