Kroiの音楽に感じる5人の優れた創造力 ストリーミングライブ『FOCUS』レポ

Kroiストリーミングライブ『FOCUS』レポ

 2021年6月23日にメジャー1stアルバム『LENS』をリリースしたばかりのKroi。様々な色を混ぜると黒になるという意味合いも込められたバンド名が示す通り、同作は様々な音楽からのルーツとリスペクトを隅々から感じる作品に仕上がっている。6月27日に行われたストリーミングライブ『FOCUS』の30分間のステージでは、そんな『LENS』から6曲が披露された。

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 ステージ中央に置かれた照明を取り囲むようにしてメンバーが向き合う形のステージセット。青く照らされたセットが映し出される。全員での歌いだしが始まりを彩った「夜明け」では、ファンキーなドラムとギターに乗って内田怜央(Vo/Gt)が〈もうじき朝が来る 正直まだ寝てない〉と夜明けを告げる。サビの歌詞の分かりやすさが聴き手をぐっと掴むと同時に、他の部分のリリックが音として気持ちよくリズムに乗る。身体を揺らしながら演奏するメンバーによって心地よいグルーヴが形成されていく。円形の配置で向き合っているためメンバーを映しにくかろうと思ったのもつかの間、様々な画角でステージが切り取られていく。中でもベースソロの際、少し離れたところから関将典(Ba)を映し、パンを振りじっくりと見せていたのが贅沢だ。最後のサビでは少し激しくカメラが動き、視聴者の気持ちを昂らせる。

 益田英知(Dr)が鳴らすスネアが牽引する「Pirarucu」では、照度の低い青い照明とゆったりした楽曲のテンポ、カメラの動きが闇夜を泳いでいるような感覚に陥らせる。たゆたうような長谷部悠生(Gt)のギターと柔らかくつややかな内田の歌声が心をほぐしていく。朝になる直前の時間帯を思わせる2曲でライブの世界に引きこんだのちに続くのは「selva」。小気味良いカッティングのイントロや楽器隊がつくりあげるアップテンポにリリックを重ねていくボーカルでライブは温度を上昇させていく。千葉大樹(Key)はもちろん、それぞれのメンバーの手元がアップで切り取られ、臨場感が増す。5人が織り成す楽曲全体を聴くことができると同時に、ひとつひとつの楽器に近距離で着目しやすいという2つの楽しみ方があるのは配信ならではだ。

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益田英知
千葉大樹
長谷部悠生
内田怜央
関将典
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益田英知
千葉大樹
長谷部悠生
内田怜央
関将典
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 Kroiの楽曲はサビがキャッチーだ。コード進行や曲調ではなく、日本語の歌詞の響きがその印象の中核を担っている。ヒップホップやブルース、フュージョンなどさまざまな場所や年代の音楽からの影響を感じる彼らの楽曲だが、それらが耳に残る日本語のサビと組み合わせられることで、5人の紡ぐ音楽は非常に新鮮なものとして聴こえる。いくつものジャンルから影響を受けて生まれたものは、決して難解であったり時代に馴染まないものではない。さまざまな要素をKroiとして消化し落とし込むことでまったく新しい音楽性がうまれていく様子は、なにより彼らの優れた創造力を表している。

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 「Kroiちゃんです」と挨拶を挟んだ内田は「Kroiちゃんって言いすぎて浸透してきちゃったんだよね、メンバー的には大丈夫?」と力の抜けたMCで笑いを誘う。「配信はMCが大変。ガンガン次の曲いきます。家で踊っててください」とライブは後半へと突入する。

 「帰路」では、内田の声の揺らぎが楽曲のリズムを心地よく揺らす。全体的にゆったりと包み込むように進行していく楽曲だが、内田のファルセットがサビ前で盛り上げると同時に益田のドラムが静かに高揚していくその抑揚には陶酔をおぼえた。あくまでも内田のボーカルをメインの聴かせどころとしているが、間奏など楽曲中では他の楽器がぐっと存在感を増し、メンバーそれぞれが主役になる瞬間が存在する。短時間のライブであるにもかかわらず充足を感じるのは、密度の高い展開のためだろう。

 内田のギターから静かに「侵攻」へ。サビ前のカメラの切り替わりが楽曲のリズムと合い、強烈なインパクトを刻み込む。絞り出すような内田の声とコーラスが楽器隊の演奏と絡み合って昂ぶり、かと思えばギターだけでひそやかに締めくくられる急激な展開に聴き惚れてしまう。

 ライブの最後を飾るのはアルバム1曲目を飾る「Balmy Life」。フュージョンの影響を感じるギターに畳みかけるようなリリックが乗る。視界が開けるような明るいサビやアップテンポな曲調は、アルバムの導入として引力を持つと同時に、ライブの最後にラストスパートをかける役割としてもふさわしい。夜から朝の時間帯を彷彿とさせるライブを〈混乱から逃れる術どこ?〉〈どうしようもない さんざんだ〉などと現在の情勢と重ねたくなるようなリリックで現実と繋ぐ。Kroiからのメッセージにも聴こえる〈さんざんだ〉に続く〈おどれ おどれ〉の歌詞を届け、悠然と音楽が紡がれる贅沢な時間は幕を閉じた。

■村上麗奈
2000年生まれ。2019年、音楽系専門学校在学中に執筆活動を開始。卒業後、フリーランスとして活動を本格化する。
Twitter:@r_dorfer_

■無料配信ライブ情報
Kroi Streaming Live『FOCUS』
2021年7月3日(土) 23:59までアーカイブ配信中
https://live.line.me/channels/52/upcoming/17055214

Streaming Live『FOCUS』より「Balmy Life」映像
https://youtu.be/gjeqbPzQ1iw

■配信
「shift command」配信サイト一覧
https://lnk.to/shift_command

■リリース情報
Major 1st Album『LENS』
発売日:2021年6月23日(水)
CD+DVD…4,400円(税込)
CD Only…2,970円(税込)

特設サイト:lens.ponycanyon.co.jp

<CD収録曲>(全12曲)
01.Balmy Life
02.sanso
03.selva
04.夜明け
05.Pirarucu
06.ichijiku
07.a force
08.侵攻
09.NewDay
10.shift command
11.帰路
12.feeling

<DVD収録内容>(全18曲予定)
Kroi「3rd EP 『STRUCTURE DECK』Release Tour “DUEL”」 from 2021.03.27 Shibuya WWW X
01.Noob
02.Finch
03.Monster Play
04.Suck a Lemmon
05.dart
06.Mr.Foundation
07.flight
08.侵攻
09.Never Ending Story
10.MAMA
11.Polyester
12.risk
13.Custard
14.Page
15.HORN
16.Network
17.Fire Brain
18.Shincha

■ツアー情報
Major 1st Album「LENS」リリース記念全国ツアー『凹凸(オウトツ)』
7月4日(日)北海道PLANT
7月10日(土)横浜FAD
7月11日(日)千葉LOOK
7月16日(金)大阪バナナホール 
7月18日(日)名古屋SPADEBOX
7月30日(金)福岡DRUM Be-1
8月1日(日)京都 KYOTO MUSE
8月6日(金)東京CLUB QUATTRO

前売 自由3,800円(税込、ドリンク代別)
チケット受付:https://w.pia.jp/t/kroi-t/
※来場に関する注意事項など最新情報は公式サイトにて

Kroi HP/ECサイト
HP:https://kroi.net
ECサイト:https://store.kroi.net

Kroi SNS
Twitter:https://twitter.com/KroiOfficial
Instagram:https://www.instagram.com/kroi_official/

Kroi official YouTube
https://www.youtube.com/channel/UCc9CJVSnJx5WTq8E9T4bIoA



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