ピアニストYouTuber ハラミちゃん、音楽番組やバラエティにも続々出演 各方面からオファー殺到の理由

 実際に彼女の演奏はこれまでピアノに興味がなかった人の心を掴み、ハラミちゃんはポップスピアニストとしての地位を確立した。YouTubeでの「広瀬香美の○○歌ってみた」シリーズで再ブレイクした広瀬香美にもその活動が目に留まり、2020年3月にコラボが実現。以降も互いのコンサートにサプライズで登場するなど、二人の交流は続いている。

【広瀬香美&ハラミちゃん】ロマンスの神様 即興ライブ@横浜関内【ストリートピアノ】

 また、親しみやすさの一方でハラミちゃんのピアノの腕前は凄まじい。迫力と繊細さを兼ね備えており、ピアノだけで様々な楽器で構成されている音色を取りこぼすことなくアレンジした演奏スタイルに引き込まれる。原曲へのリスペクトがあるからこそ、ボーカル不在でも、その曲が伝えたいメッセージや世界観がまるで歌となって聴こえてくる感覚を味わえるのだ。

 ハラミちゃんは弾く曲をあらかじめ決めている際には、その曲が生まれたきっかけや背景、そこに込められたメッセージを徹底的に調べるのだそう。5月19日に発売された自身初のエッセイ本『好きのパワーは無限大 挫折から学んだ多くのこと、笑顔のヒミツがココにある』の「悲しい気持ちで弾いても、悲しい音は出ない」(718P)で触れられているように、感情を曲に合わせるのではなく表現テクニックを駆使して作曲者の思いを伝道するハラミちゃん。作曲者が乗り移ったように笑顔で鍵盤を叩く姿は、彼女が憧れているジャズピアニスト・上原ひろみの情熱的な演奏スタイルを思い起こさせる。

 「ピアノが好き」という純粋な思いが、様々な奇跡を呼ぶことを証明してくれたハラミちゃん。彼女の演奏は無限の可能性を秘めている子どもから、好きなことを諦めてしまった大人までたくさんの人を勇気づけているはずだ。

■苫とり子
フリーライター/1995年、岡山県出身。中学・高校と芸能事務所で演劇・歌のレッスンを受けていた。現在はエンタメ全般のコラムやイベントのレポートやインタビュー記事を執筆している。Twitter:@bonoborico

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