稲垣吾郎は“理想を実現させる力”を持つーー『きれいのくに』などで発揮する、素材としての面白さ
『きれいのくに』に限らず、これまで稲垣には理想を実現させてきた役柄がいくつもある。その一つとして思い浮かぶのが、昨年11月放送の『いにしえの天文学者 安倍晴明』(BSプレミアム・BS4K)で約20年ぶりに演じた安倍晴明役だ。数多の俳優が演じてきた安倍晴明は、ある程度イメージが固執された役柄でもあり、ある種そこから打破できるかが一つのポイントでもあった。さらに稲垣にいたっては、20年前に演じた自らの演技をも越えていかなければならない。そんな難役を稲垣は今の40代の自分にしか演じられない安倍晴明で、いとも簡単に見るものを納得させてしまう。
【稲垣吾郎 20年ぶりの安倍晴明】
「今の自分の年齢なりに、20年たった今の自分にしか演じられない安倍晴明を…」
今回はドラマでなく科学番組の中で、稲垣さんが演じます。
コズミック フロント☆NEXT
「いにしえの天文学者 安倍晴明」
26(木)夜10:00[BSプレミアム]https://t.co/i0NDlHrjZK pic.twitter.com/clIt6BkbXT— NHK広報局 (@NHK_PR) November 11, 2020
『きれいのくに』と『安倍晴明』。一見、異なる作風であるが、そこに稲垣吾郎という点を置くことにより、「美」というテーマで2作は繋がれる。昨年9月に発売された19年ぶりとなるフォトエッセイ『Blume』は、その稲垣の美意識を強く痛感させられる一冊であった。インテリアやファッションにいたるまで、こだわりを見せながらも、それはすでに20代の頃から確立されていた感覚でもあった。私生活においても、理想を抱き、それに向けて努力していく姿は、役者としてのイメージとも重なり合う。
「みなさんが飽きずに僕のブレない価値観みたいなものを、“稲垣吾郎”という素材を必要として面白がってもらえるのがうれしいんです」ーー『Blume』についてのインタビュー(※2)でそう答える稲垣は、さらなる挑戦にも意欲的だ。理想を実現させる“稲垣吾郎”は、エンターテインメントの世界において必須の素材である。
※1:https://www.nhk.or.jp/drama-blog/7510/449501.html
※2:https://realsound.jp/2020/09/post-621922.html
■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter(@AKI_W_)