King & Prince、世界に向けて踏み出した力強い第一歩 『Magic Touch / Beating Hearts』の本気度を考察

 アジアを含め、海外のシーンを意識した楽曲、そして、世界標準と呼ぶべきダンスパフォーマンス。King & Princeの7thシングル『Magic Touch / Beating Hearts』は、彼らのキャリアにとてつもなく大きな影響を及ぼす作品だ。

 2018年5月にシングル『シンデレラガール』でデビューし、瞬く間にアイドルシーンの頂点に立ったKing & Prince。当初はジャニーズ王道のアイドルポップが彼らの持ち味だったわけだが、激しく移り変わるトレンドやメンバー自身の音楽的志向によって徐々に音楽性を広げ、“幅広い楽曲を表現できるパフォーマンスチーム”としての実力を蓄えてきた。メンバー自身も(それぞれ趣味趣向は違うが)かなりディープな音楽ファン。以前インタビューした際にも、古き良きソウル、ファンクから、トム・ミッシュ、邦楽ロックまで様々な音楽への愛を口にしていたが、デビューから3年が経ち、彼ら自身の嗜好がKing & Princeの楽曲に反映されるのも自然なことなのだろう。

 個人的には、ブルーノ・マーズ、D’Mile.(ラッキー・デイ、H.E.R.などの楽曲を手がけるプロデューサー)がプロデュースした嵐の「Whenever You Call」からの流れも感じている。BTSの世界的なブレイク以降、欧米からの注目度が高まっているアジアの音楽シーン。その潮流をいかに掴むかが今後の活動を左右することはまちがいなく、シュリンクし続ける日本の音楽業界やコロナ禍によって多大なダメージを受けているライブ市場を考えても、“海外”を視野に入れることは必要不可欠。その流れを明確に示したのが嵐の「Whenever You Call」であり、King & Princeの『Magic Touch / Beating Hearts』なのだと思う。

 では、シングルの内容について紹介していきたい。まず「Magic Touch」(作詞:EMI K. Lynn 作曲:P3AK / Adrian McKinnon 編曲:P3AK)は、全編英語詞によるナンバー。トラップを軸にしたダークかつエキゾチックなトラック、官能的なラインを描き出すメロディ、心地よい浮遊感を感じさせる音響がバランスよく共存する上質なダンストラックだ。メンバーは英語詞の楽曲にかなり苦戦したようだが、ドープなサウンドを自然に乗りこなし、快楽的なフロウを描き出すボーカルからは、彼らの成長ぶりが明確に感じられる。

 特筆すべきは、今回のシングルの最重要ポイントであるダンスパフォーマンスをじっくり堪能できるミュージックビデオ。最先端のヒップホップダンスを軸に、シャープな動きとゆったりとしたタメをバランスよく配した、緩急の付いたパフォーマンスを繰り広げている(サイバーパンク的な映像もカッコいい!)。振り付けは、LAのトップダンサー/コレオグラファーであるメルビン・ティムティム。昨年のアメリカ武者修行(2ndアルバム『L&』収録曲「Bounce」のレコーディング、ダンスレッスン)の際に実現したメルビンとの出会いは、King & Princeのダンススキルと表現を大きく向上させた。難易度の高い振り付けを完璧に血肉化し、セクシーかつエモーショナルな身体表現へと結びつけた「Magic Touch」のMVは、パフォーマーとしての彼らの進化を証明している。特にダンスを正面から捉えた“Dance ver.”は必見だ。

King & Prince「Magic Touch」YouTube Edit
King & Prince「Magic Touch」MV -Dance ver.- YouTube Edit



インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる