大森元貴、「French」での鮮烈なダンスパフォーマンス Z世代の海外アーティストとのリンクも

 とてもユニークな発想だと思うのだが、興味深いのは、大森元貴が「French」で追求しているサウンドデザインと、今の北米で大きな注目を集めているZ世代のベッドルームポップやアンチポップのアーティストたちのサウンドに、どこか通じ合うようなものを感じること。この原稿では、そうした海外シーンとの同時代性についても語っておきたい。

 たとえばその代表に挙げられるのが、カナダ出身の17歳、テイト・マクレーだ。EP『too young to be sad』をリリースしたばかりの彼女は、6歳でダンスを始め、ジャスティン・ビーバーのワールドツアーにキッズダンサーとして出演するなどダンサーとして抜擢された後に、シンガーソングライターとしても注目を集めた早熟の才能。昨年に一躍注目を集めた「you broke me first」の静かな、しかし沸々と感情が盛り上がってくるような曲調はとても生々しい。

Tate McRae - you broke me first (Official Video)

 サンディエゴ出身の22歳、コナン・グレイもZ世代の価値観を代表するようなシンガーソングライターの一人だ。母親が広島出身の日本人でもある彼。学生時代はアジア人差別やイジメの経験もありつつ、ローティーンの頃からYouTubeに自らの日常を発信してきた。カラフルなシンセポップを意匠にしつつ、その奥底には孤独や葛藤が根付く楽曲を歌っている。

Conan Gray - Wish You Were Sober (Official Video)

 ニューヨーク出身の21歳、サブ・アーバンも独自のポップセンスを持つシンガーソングライターだ。音数を絞ったダークな曲調で、悪夢めいたミステリアスな世界を描く。

Sub Urban - Freak (feat. REI AMI) [Official Music Video]

 ビリー・アイリッシュの登場以降、若い世代の奏でるポップソングが“個”のメランコリーに向き合う方に進んでいる海外の潮流と、大森元貴が「French」で開拓した新たな方向性は、意図せずして共鳴しているようにも思える。

 彼がこの先どんな方向性を目指しているかは未知数だ。しかし、こうした潮流の中で彼の音楽を捉えると、少なくとも歌声と身体表現のポテンシャルだけでも世界レベルのものだと思える。とても楽しみだ。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」/Twitter(@shiba710)

大森元貴『French』

■作品概要
大森元貴 1st Digital EP『French』
2021年2月24日(水)配信リリース
ダウンロードはこちら
<収録曲>
1. French
2. メメント・モリ
3. わたしの音(ね)

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