ONE OK ROCK、主題歌務める映画『るろうに剣心』シリーズとの深い共鳴
そして、約7年の時を経て、ついにシリーズ完結作となる『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』が公開される。4月に公開予定の『The Final』の主題歌は、ONE OK ROCKにとって約2年ぶりの新曲となる「Renegades」だ。
現時点における最新アルバム『Eye of the Storm』において、ONE OK ROCKは、欧米のポップミュージックシーンの最前線と完全なリンクを果たした。EDMなどの他ジャンルのエッセンスすらも大胆に取り入れながら、ソングライティングの手法とサウンドデザインを一気に変革してみせたのだ。しかし今回の新曲においては、(あくまでも現時点で確認できる部分を聴く限り)ロックバンドの表現、その原点に回帰しているように思う。「The Beginning」を彷彿とさせる疾走感があり、原初的とも思えるけたたましいビートもしっかりと轟いている。これこそが、一度は「ロック」を超越したONE OK ROCKだからこそ鳴らせる、新しい時代の「ロック」なのだと、そう予感させてくれる。
今、「ロック」は、他のジャンルとの相対化の果てに、その求心力を弱めている。しかし今のONE OK ROCKであれば、世界に向けて、今一度ロックバンドの「志」を高らかに鳴らすことができるはずだ。そしてそのスタンスは、やはり、同じく日本から世界へ向けて、この2020年代において「侍」の精神性を伝える『るろうに剣心』シリーズとも深く共鳴していると思う。
最後に、Takaが、佐藤健との対談(「CUT」2014年9月号)において語っていた言葉を紹介したい。
(「The Beginning」を書く時)この映画に携われることは、この先の僕の人生においても、ちょっと始まっていく感じがしたんですよね。
二作(『京都大火編』『伝説の最期編』)の話をもらった時に、もうこれはーー言葉的に誤解されるかもしれないけど、心中ものだなと思ったんですよね。ここまで入ってしまったら、どこまでも行くしかないだろみたいな。この映画が日本だけにとどまらずに、どんどん海外に出ていってほしいっていうのもあるし。日本だけにウケるようなものをこの映画は作ってないんですよ。僕もここであたりまえのように、そういった広い視野で作りたいなっていう。この映画でもっと自分を振りきっていきたいみたいなところはありましたね。
ONE OK ROCKと『るろうに剣心』シリーズの関係性は、もはやタイアップという言葉で安易に表せるものではない。であれば、6月公開の『The Beginning』に提供するであろう主題歌も、きっと、同シリーズにとっても、ONE OK ROCKにとっても、極めて重要な楽曲になるはずだ。
■松本侃士
音楽ライター。映画ライター。Voicyパーソナリティ「ポップ・カルチャーの未来から」。1991年10月1日生まれ。慶應義塾大学卒。2014年、音楽メディア企業ロッキング・オンに新卒入社、編集・ライティングなどを経験。2018年、渋谷のITベンチャー企業へ転職。現在は、本業と並行しながら、noteを拠点として、音楽コラムや映画コラムを執筆中。2021年1月からは、Voicyパーソナリティとして音声コンテンツの配信を始めました。
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