「寄り酔い」週間バイラルチャートで初1位 和ぬかが生み出す“アンビバレントな感情”への共感

 〈家まで送ってもらいたいの/今夜満たされてたいの/できれば君にちょっと/濡らして欲しいの〉と脚韻を利用した端切れの良いフレーズから始まる本楽曲は、全体を通して大胆でエロティックな香りのする歌詞とは裏腹に、あっけらかんとしたニュアンスすら感じる歌声やアレンジが展開されている。この歌詞の情景とサウンドのアンビバレントなバランスが、危うさをはらんだアダルトな雰囲気を演出しているようだ。本楽曲の魅力であるアンビバレントな構造は歌詞にも表れており、最後の一節〈家まで送ってもらいたい/朝まであなたといたいよ/家まで送ってもらいたい/朝まであなたといたいよ〉の部分では、本音と建前の相反する感情が入り乱れるままエンディングを迎える。

 ほろ酔いの帰り道を舞台にした、多くの人が感じたことのあるアンビバレントな感情への共感こそが「寄り酔い」に潜む甘い魅力であり、人気の秘密なのかもしれない。

■Z11
1990年生まれ、東京/清澄白河在住の音楽ライター。
一般企業に勤務しながら執筆活動中。音楽だけにとどまらず映画、書籍、アートなどカルチャー全般についてTwitterで発信。ブリの照り焼きを作らせたら右に出る者はいない。
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