KAHOH×KENYA×BBY NABE「Summer Time」鼎談 同世代の3人が語り合う、コラボで広がる可能性
3月3日にリリースした6thシングル曲「GIRLS TALK」がTikTok急上昇ランキング9位にランクインするなど、今注目を集めているR&Bシンガーソングライター・KAHOH。リアルサウンドでは、KAHOHのアーティスト像や楽曲について深堀りする2回に渡るインタビューを企画。
第1回は、昨年8月にリリースした「Summer Time」についてKAHOHと楽曲を手がけたKENYA、BBY NABEの鼎談を行った。今回のインタビューが初対面となる3人。楽曲制作についてはもちろん、それぞれの音楽ルーツやTikTok発ヒットに対する考え方など同世代アーティストならではの会話に花が咲いた。(編集部)
過ごした時代が一緒なので、自分の感覚をシェアしやすい
ーー今日はまずこの三人に集まっていただいていますが、仲良くなったきっかけは?
KAHOH:それぞれ、「Summer Time (feat. KENYA)」(以下、「Summer Time」)がきっかけで仲良くなったんです。
KENYA:KAHOHちゃんと初めて知り合ったのは、僕のライブに来てくれたとき。
KAHOH:そうだ、Bleecker Chromeのワンマンライブで。
KENYA:共通の友達も多くて、そこから丸一年後に一緒に曲を作ることになったんです。それが「Summer Time」だった。ベビナベくんとは、今日初めて会いました。
BBY NABE:コロナになってから家を出ていないということもあって、「Summer Time」の時もリモートで曲を作ったんです。だから、KENYAくんとは初対面ですね。
ーー「Summer Time」はKAHOHさんの楽曲にKENYAさんが参加する形で、そこにBBY NABEさんがソングライティングとして携わったシングルですが、どういう経緯で制作することになったのでしょうか。
KAHOH:(Bleecker Chromeの)ワンマンを観て、「すごくかっこいい人がいる」と思って、そこからずっと、一緒に曲を作りたいなと思っていたんです。シングルの制作の時に連絡したら「いいよ」って返事もらいました。NABEくんにも手伝ってもらって一緒に作りました。まず、最初にフックができたんだよね?
KENYA:僕は結構、人見知りで、KAHOHちゃんとは対照的なんです。彼女はテンションも高くてムードメイカー。まず、スタジオに入ってトラックをいくつか聴かせてもらった中で、一つすごくポップな感じの曲があるなと思って。人見知りしちゃって気まずかったので、先にバーンって(レコーディング)ブースの中に入ったんです。そうしたら、1、2回のテイクの後にあのサビができて、それをまるまる使おうと。
KAHOH:フックを完成させて、宿題でバースを書いてこようという流れになって。次のセッションでは、KENYAくんがその場で自分のバースを書き直しながらレコーディングに挑んでくれて。すごく楽しかったですね。
ーー「Summer Time」をリリースした時のファンの反応はいかがでしたか?
KAHOH:私にとって初めてのフィーチャリングの曲だったから、「すごく新鮮だ」って言ってくれる人も多かったし、「KENYAくんの声と合ってる」っていう声もありました。配信チャートで1位もとれて、嬉しかったです。
KENYA:ポップ調な曲にも関わらず、ゴリゴリのヒップホップが好きな人にも受け入れられていて、そこにMatt Cabさんのヒップホップ的な808(※ドラム・マシーン)の入れ方とか、みんなで相談し合ったフロウの感じとかがうまく効いているのかなと思いました。
BBY NABE:それは間違いないね。
KENYA:あと、ダンサーの皆さんにも気に入ってもらえたみたいで。
KAHOH:それはすごく大きいよね。今も、タグ付けして動画を上げてくれる人がいるもん。冬も踊ってくれて嬉しい。
ーーKAHOHさんとKENYAさんが同い年で、BBY NABEさんが一つ年上。同世代のアーティストと楽曲制作する時は、いつもと違うバイブスがありますか?
KAHOH:楽しいですね。やりやすいし、緊張もしない。過ごした時代が一緒なので、聴いている音楽も基本的に一緒。だから、自分の感覚をシェアしやすい。
KENYA:変に気を遣う必要もないですしね。
BBY NABE:歳ってあまり関係ない、というのも分かるんですけど、やっぱり歳をとっていくと、中には対人関係をすごく気にする人が多いなって思うんです。業界内の自分のポジションみたいな。そういうことが多いので、同い年同士の方が、あまり何も気にせずに制作できる。それが、曲作りにおいて重要な時もあります。
ーーそれぞれ、どんなきっかけでアーティストを志したのでしょうか?
KAHOH:中学1年生のとき、ダンススクールに通っていたんですけど、それくらいの頃にKOHHさんのライブを観たんです。それで結構ヒップホップにドハマりしちゃって、同時に、表現する人にすごく憧れました。そのあとは、宇多田ヒカルさんやMISIAさんを追いかけていて、一人で歌っているシンガーソングライターに惹かれたんです。
KENYA:僕の場合、歌を始めたのは5、6歳で意外と早いんです。親に「やれ」と言われたわけではなく、物心ついた頃にはすでにシンガーになりたいと志していました。1998年以降、宇多田ヒカルさん達のおかげで、日本のR&Bもメインストリームなものになったというイメージがあって。当時は気がついてなかったんですけど、自分が子供の頃から聴いていた音楽が、意外と全部R&Bというふうに括れることに最近、気が付いた。他にも、テレビで放映されていたアニメ等にも、そういうR&B関連のものが多くて。なので、そこの影響が大きかったです。
BBY NABE:自分も、お母さんがクリスチャンで教会とかも一緒に行っていて、4歳くらいの時にそこで聖歌隊に入って歌っていたんです。あとは普通に、小学校の時にピアノをやっていたけど、そんなに深く音楽に関わることはなかった。ずっとニューヨークで育って、帰国してからは千葉の高校に通っていたんですけど、3年生の時に一度だけバンドをやっていました。そのころからずっとONE OK ROCKが好きで、友達と集まって「ワンオクの曲をやろうよ」って、文化祭で歌ったりしていましたね。実は僕、高校を卒業してから一年間浪人しているんですけど、浪人期間に勉強したくなくて、そこで音楽を本格的に始めました。
KAHOH:そうだったんだ、大事な1年だったんだね。
BBY NABE:高校を卒業してすぐ、SoundCloudに曲を上げた気がするな。そこから自分でiPhoneのガレバン(※楽曲制作ソフト/APPのGarageBand)とイヤホンを使って、最初の曲をレコーディングしてました。そこから知り合いのラッパーの家に行って宅録させてもらったり、どんどん友達も増えていったりして。今、大学2年生なので、それがここ2年半くらいの出来事です。
ーーKAHOHさんの楽曲のソングライティングに関わるようになったきっかけは?
BBY NABE:元々、プロデューサーのMatt CabさんやMATZさんらと一緒に楽曲制作を色々していくうちに、コンペティションや提供楽曲など、「ちょっと一緒にやってみない?」という機会が増えて。そこから、ノリで色々進めて行ったんです。そういうことをやっているうちに、僕もKAHOHちゃんの曲や、色んなアーティストの曲に入っていくようになりました。
KAHOH:NABEくんはマジでやばいんです。キャッチーなワードがすごく得意だと思う。しかもめっちゃロマンチストで、私も思い付かないような甘い言葉を持ってきてくれる。それに英語も日本語もできて、しかも韻もしっかり踏んでくる。初めて一緒に制作したのは「GIRLS TALK」なんですけど、その時は、NABEちゃんの実際の恋愛体験談とかを聞かせてもらって歌詞を書いたんです。NABEちゃんが、ケンカする時のエピソードを話してくれて。KAHOHもすごくわかるって内容だったから、そんな時は二人で「友達に電話するよね」とか話しながら作ったんだよね。NABEちゃん、めっちゃ女心わかるから。
BBY NABE:いや、分かんないから(笑)。いつも女の子に「なんでこんなこと分からないの?」って言われると「あ、俺こういうことが出来てないんだ」ってそのエピソードを曲に入れていくんです。KAHOHちゃんの曲みたいに女の子目線で考えるのは難しいけど、面白いですよ。